エマさん「海外と比較して感じる日本のジェンダーギャップ」―ジェンダー平等 私たちのメッセージ

ジェンダー平等についてのインタビュー「私たちのメッセージ」。第5回は大学院生のエマさんです。
 
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オセアニア、中東に滞在して

大学院でジェンダー社会科学を専攻しているエマです。私は日本生まれの日本育ちですが、ミックスルーツで、自分のルーツのある海外に在住していた時期もあります。
 
また、オセアニアにも長く滞在していた経験があるんですが、海外に行って強く感じたことは、多くの日本の女性は、空気を読みながら、女性に求められるふるまいを予想して、そこからはみ出ないように日々過ごしているんだなということでした。高校生まではあまり意識していなかったんですが、大学時代に海外に行って、いろんな人たちと出会って視野が広がる中で気づいたことでした。オセアニアでは、性別で判断されるということがとても少なくて、そのことで私自身の考え方も変わったせいか、日本に戻ってきたときに非常に落差を感じました。
 
一時期在住していた中東との比較で言うと、やはりあちらはイスラムの教義に敬虔な人が多いため、中学生のころに行ったときには、やっぱり日本よりも女性の生きづらさがあるなという感覚もありました。また、女性の給料は男性の半分とか、交通事故で女性が亡くなっても損害賠償は男性の半分というようなことが法律で決まっていたりしたので、それを知ったときは、日本ではそこまでの差別はなかったため、少しびっくりしました。
 
でも一方で、日本では見てこなかったようなたくましさを、中東の女性たちに感じたんです。もちろんあちらにもシングルマザーの人はいるんですが、彼女たちは、生活は大変だけれども、他人に勝手につくられた境界線の中にはおさまらない、私は一人でやっていくというような意志の強さがありました。
 
離婚に対する考え方についても日本と違っていて、結婚する前から、何かあって離婚しなくてはいけないときのためにきちんと備えていたり、結婚することで仕事を辞めることになったりしても、何かあったときに自分の収入もなくてはいけないっていうふうに考えます。先を見た、女性ならではの知恵というのかな。そういったことを中東の女性たちはみんなでエンパワメントし合いながら、「あなた職はあるの? 貯金はあるの?」ってお互いに訊きながら、励まし合いながら生きている姿が新鮮でした。
 
日本で同じような状況になったときに、「何かあったときに収入がないと大変だよ。専業主婦で本当にいいの?」なんて言ったら、「結婚する前からそういう縁起の悪い話はだめだよ」とか、離婚に備えるということが、非常に縁起の悪い、もしくは卑しいことに考えられてしまう傾向があるように思います。

私がめざすジェンダー平等社会

私がめざすジェンダー平等社会の一歩で、今度の総選挙でできることとしては、女性議員を増やすことだと思っています。
 
そして、世帯主制度を廃止したい。それ以外にも、日本の婚姻制度に付随していることで変えていきたいことがたくさんあります。選択的夫婦別姓や、同性婚、それから事実婚が認められないこともおかしいと思っています。これから誰かパートナーを見つける、もしくはパートナーがいなくても子どもを持ちたいと考える人も増えている私の世代からすると、いまの婚姻制度がネックになっている問題がいろいろあります。
 
コロナ禍で多くの人が困窮していますが、中でも女性は大変な困難を強いられています。非正規雇用が多いのも女性ですし、ひとり10万円の給付金も世帯主に振り込まれて、一人ひとりに振り込まれませんでした。これはいまの政権の大きな失策だと思います。
 
もっと女性議員が増えて、ジェンダー平等の概念も広まったら、このようなことも減っていきますよね。私は、今度の総選挙でジェンダー平等がもっと議論されること、そしてさらに広がっていくことを期待しています。
 

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