日本共産党本部でジェンダー連続講座始まる   初回は「ジェンダー教育と性教育」をテーマに

 
3月9日、日本共産党本部にて、浅井春夫先生(立教大名誉教授、〝人間と性〟教育研究協議会代表幹事)をお招きし、「ジェンダー教育と性教育」についての学習会を開きました。この学習会は、党ジェンダー平等委員会が企画する党本部内ジェンダー連続講座の第1回目です。党本部勤務員、「しんぶん赤旗」記者、国会秘書ら41人が参加し、国際水準を踏まえたジェンダー教育、性教育のあり方について、学び、交流しました。
 
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講演する浅井春夫先生
 
浅井先生は冒頭、「日本共産党がジェンダーの問題を『自己改革にも挑むべきテーマ』と位置づけていることは大変重要です」と述べ、そのために必要な取り組みについて、研究の蓄積を踏まえて具体的にお話しされました。
 

学校教育の中に「包括的性教育」を

 
セクシュアリティには4つの構成要素があります(①生物学的な性、からだの性②性自認、こころの性③性役割(社会から期待される性)④性的指向(自分がどういう相手に対して恋愛感情、性的魅力を感じるか))。浅井先生は、ジェンダー平等を実現するためには、この4つの構成要素を踏まえたセクシュアリティ教育(性教育)が不可欠の要素であるとし、とくに学校教育の中に国際水準を踏まえた「包括的セクシュアリティ教育」を位置づけること、「知識・態度・スキル」の各レベルにおいてジェンダー平等を推進していくことなどの必要性を強調しました。
 
また、子どもの性的発達段階を分析すると、男児においては小学校の高学年ごろに「男性意識」の形成が行われると指摘。このときに、「二重の排除」の思想(女性排除と同性愛排除)と、「男らしさ=暴力と支配への依存傾向」の刷り込みが起きると述べ、だからこそ学童期からのジェンダー教育・性教育が重要であると解き明かしました。
 
さらに「ジェンダーを基礎にした暴力」が「戦争」と深く結びついていることに注意を喚起し、自民党「日本国憲法改正案」が個人を軽視し、「家族」の協力を強調するなど、伝統的性別役割論と〝標準家庭〟を前提にしていることを批判しました。
 

男性にとっても「解放」だとどう伝えるか

 
質疑応答では、男性の性の暴力的側面が、子どもたちの成育過程を通じて強化される現在の社会文化をどのように変えていくかについて、活発な意見交換がありました。「ジェンダー平等は男性にとっても『解放』なのだと、どうやって伝えるかに苦心している。ジェンダー平等に反する発言や態度に直面した時にどうしたらいいかわからない」という男性参加者からの質問に対し、浅井先生は「『おかしいよ』と指摘した方がいい。相互関係の中で、やりとりし、言い合える雰囲気をつくることが大切。スルーすると、認めたことになります」と、積極的な態度表明の大切さを強調しました。
 
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感想文では、「従来型の〝古い〟教育を受けた私にとって、今日のお話は〝学び直し〟のスタートとなりました」、「男性が多い部署におり、ジェンダーについて学習する必要性を感じていた。学ぶ機会を得られて良かった」、「身近な人の無自覚なジェンダー言動に日々心が折れそうになる。こういう学習会が本当に勇気につながります」、「男性でジェンダーについての基礎知識がない私には難しいと感じたが、同じ部局から参加した若い女性の同志は、『非常によく理解できて面白かった』とのこと。女性の勤務員は学習会で意識が一層進み、男性の勤務員の意識はなかなか進まないということになると、意識の格差がますます拡大して、問題が大きくなりかねない。もっと入門的な学習の場をつくり、希望者だけでなく男性勤務員は受講を必須とすることも検討してほしい」などの声が寄せられました。
 

党員自身が学び、認識を高めよう

 
学習会に先立ち、開会のあいさつに立った坂井希・ジェンダー平等委員会事務局長は、「今年1月の党大会を受けて、新たに設置されたジェンダー平等委員会の中心的な任務・活動の柱の一つに、『ジェンダー平等を求める党内外の多様な運動や先駆的研究・活動に学ぶ』ことがあります。委員会として、今日を皮切りに年間を通じて、多様な切り口からの学習の場を設けていきます。党本部で働く私たち自身が大いに学び、ジェンダーについての認識を高め、豊かにしていきましょう」と述べました。
 
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