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日本共産党

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赤旗

36、エネルギー

気候危機を打開するエネルギー政策で自給率を高め、化石燃料高騰に抜本的な対策を

2022年6月

 エネルギーは食料とともに経済・社会の存立の基盤ですが、日本のエネルギー自給率は1割程度と先進国で最低クラス(OECDでデータが利用できる36カ国中35位)です。原油価格の高騰、ロシアのウクライナ侵略など、エネルギーを外国に依存している経済の危うさが浮き彫りになっています。ほぼ100%輸入にたよっている化石燃料の国際的な供給量や価格の変動に振り回されないように、エネルギー自給率向上が急務になっています。

 同時に、気候危機とよばれる非常事態が進んでいます。すでに世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題になっています。パリ協定(2015年)は、それを避けるために、産業革命前に比べ地球の平均気温の「上昇幅を2度を十分に下回り、1.5度以内に抑える」ことを目的として締結されました。すでに世界の平均気温は1.1~1.2度上昇しており、破局的な気候変動を回避するために取り組める時間は長くありません。10年足らずの間に、全世界のCO₂排出を半分近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっています。

 ヨーロッパでは、ロシアからの化石燃料輸入の規制を契機に、気候危機対策である省エネと再エネの推進を、さらに前向きに取り組もうとしています。

政府のエネルギー基本計画は、依然として石炭火力、原発だのみ

 2011年3月11日の東日本大震災で東京電力福島第一原発が爆発し、それによる広い地域への放射性物質の飛散によって、「原発ゼロ」を望む国民の世論が高まっています。しかし、岸田自公政権が昨年10月に決定した第6次エネルギー基本計画では、原発を唯一の「重要なベースロード電源」と位置づけ、第5次計画と同様、2030年度の発電量の20~22%を原発で賄うとしとしています(2020年度の実績は4%)。これは27基の原発を再稼働させることになります。また国連から2030年までに撤退するよう求められている石炭火力についても国内での新規建設を進めたまま、30年度に19%の比率を見込んでいます。

 純国産エネルギーともいうべき再生可能エネルギーについて、環境省の調査でも、再生可能エネルギーの潜在量は、現在の電力使用量の5倍から最近では7倍(環境省「再生可能エネルギーゾーニング基礎調査」2019)にもなると見積もられています。現時点では、発電量の2割です。政府のエネルギー基本計画で、初めて「主力電源化」と明記したものの、2030年度の再生可能エネルギー電源の比率は36~38%にすぎません。これはドイツ、イギリス、イタリア、スペインなどでは達成ずみであり、これらの国々は2030年までに6~7割をめざしているのを見ると、日本は完全に"周回遅れ"といわざるをえません。

 再生可能エネルギーの普及が十分でないもとで、アンモニアや水素を生成しようとすれば、原料を化石燃料に頼ることになり、CO₂フリーとはなりません。それにもかかわらず、政府は、それでも強引に「CO₂が出ない」燃料だとして、東南アジアや中東、オーストラリアまで広げた供給システムを作ろうとしています。

 また原発の電力を再生可能エネルギーの電力と合わせて「非化石エネルギー」とひとくくりに名付け、市場づくりをすすめるなど、世界でも異例な施策をとっています。

 石炭火力、原発にしがみつき、再生可能エネルギーを後景に押しやっていることが、遅れの最大の要因です。あい変わらず原発と石炭火力の依存するこのようなエネルギー計画では、全世界平均より低い目標である政府の温室効果ガス排出「2013年度比46%削減」も、さらにその先の「2050年実質ゼロ」の達成も見通せません。

省エネと再エネの組み合わせで、30年度に CO₂排出50~60%削減を―――「気候危機対応2030戦略」

 日本共産党は昨年9月、「気候危機打開の日本共産党の2030戦略」を発表しました。

 そのなかで、自公政権のエネルギー政策には4つの問題点(①2030年までの削減目標が低すぎる、 ②石炭火力の新増設と輸出を進めている、③原発依存―――最悪の環境破壊と将来性のない電源を選択する二重の誤り、④実用化のメドも立っていない石炭火力でのアンモニア混焼など「新技術」を前提にする無責任)があることを指摘し、自公政権がやっと昨年「2050年カーボンゼロ」をかかげたものの、中身を見れば「口先だけ」というほかないものであることを指摘しました。

 そして、脱炭素社会に向けて、多くの環境団体・シンクタンクが、2030年までの目標と計画を示しており、政治的、経済的な立場の違いはあっても、エネルギー消費を20~40%減らし、再生可能エネルギーで電力の40~50%程度をまかなえば、CO₂を50~60%程度削減できる、という点で共通しています。

 こうした状況を踏まえ、日本共産党は、次のような提案をしています。

――――2030年度までにCO₂を50~60%削減する(2010年度比)ことを目標にします。

――――この目標を省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせて実行します。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば60%の削減は可能です。

――――2050年までに、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現します。

――――即時原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、2030年度に原発と石炭火力の発電量はゼロとします。

――――再生可能エネルギーの優先利用の原則を確立し、大手電力会社が原発や石炭火力を優先し、太陽光の出力抑制を行っている現状をあらためます。再エネを最大限活用できる電力網などのインフラを整備します。

――――CO₂排出量が大きい業界、大規模事業所に、CO₂削減目標と計画、実施状況の公表などを「協定」にして政府と締結することを義務化します。

――――農地でのソーラーシェアリング、小規模バイオマスの発電の普及など、脱炭素と結びついた農業・林業の振興を進めます。

――――省エネの取り組みを産業、都市・住宅など、あらゆる分野ですすめます。

―――現在の燃料高騰は、省エネや化石燃料の使用抑制に働いているはずですが、今後、燃料課税の全体をCO₂排出量と関連付けて見直すべきです

 詳しくは、「気候危機打開の日本共産党の2030戦略」をご覧ください。
 https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/09/post-882.html

 また今回の参院選挙政策の各分野政策「38、気候危機」をご覧ください。
 https://www.jcp.or.jp/web_policy/2022/06/202207-bunya38.html

「電力不足」をいい立てて、原発の「最大限活用」を図る動きに反対する

 岸田文雄首相は、ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略などを背景に、エネルギーの安定的な確保をめぐって原発を「最大限活用」(4月8日記者会見)すると発言し、6月に閣議決定した「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針2022)でもこの「最大限活用」を明記しました。自民党内の「原子力規制に関する特別委員会」はその中間報告(5月)で、「安全規制の執行は、(原発の)運転を止めるものとなってはならず、...事業者に大きな負担を求めることがないよう、留意すること」という立場から、規制委員会の「審査迅速化」を要求しています。原発の再稼働を進めるために、「効率的な審査」を強く要求していますまた、日本維新の会は、規制基準で義務付けられたテロ対策施設抜きでも「内閣の責任で再稼働させる」よう求めています(3月15日付緊急経済対策ならびに参議院決算委員会3月28日の音喜多駿議員の質問)。

 新規制基準は、重大事故対策としては十分なものではないとはいえ、福島第一原発事故を踏まえて制定されたものです。その基準適合審査を「効率化」するというのは、安全軽視の議論と言わざるを得ません。そもそも政府が新規制基準を「世界で最も厳しい基準」ということ自体、欧米の基準に照らして事実に反しています。

 今年3月の東京電力管内などでの電力ひっ迫は、3月16日の福島沖地震によって福島・宮城などの火力発電14基、出力合計約648万キロワットが停止し、そこに3月には異例の寒波が重なって、起きたものです。研究者の分析では、片方だけであれば乗り切ることは大丈夫だったといいます。

 こうした電力供給のリスクを軽減するためにも、次のような対策をすすめます。

―――東電福島第1原発事故が起きた2011年3月の東日本大震災や、北海道全域が停電(ブラックアウト)した2018年の北海道胆振東部地震の教訓だった大規模電源の集中リスクや、遠隔地電源への依存リスクを軽減します。そのためにも再エネなどの分散型エネルギーシステムへの転換を実施します。

―――電力の安定供給を確保するために、太陽光や風力など再エネのポテンシャル(潜在量)が大きい地域と、大都市圏のエネルギー大量消費地をつなぐ送電線を増強します。九州電力は太陽光の発電抑制を繰り返し実行していますが、本州へ電力を送る連系線(門司線)の増強は行われていません。他地域の発電抑制を解消するためにも、送電線の強化と一体運用を図ります。

―――周波数の違う日本の東西の間での電力融通のため、連系線の設備能力の強化を実施します。

―――蓄電システムの整備とともに、ヨーロッパで導入が進んでいる需要側のタイミングの調整による電力需要のピークカットのためのデマンドレスポンス制度の導入、蓄電システムの強化。

 原発についてのより詳しい政策は、各分野の政策「35、原発問題」をご覧ください。
 https://www.jcp.or.jp/web_policy/2022/06/202207-bunya35.html

国民の立場から、電力システムを抜本的に見直す

 2011年3月の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故をきっかけに進められた「電力システム改革」によって、2016年4月には電力の小売り「全面自由化」が始まり、20年4月には、大手電力会社の送配電部門が法的分離されたことになっています。

 消費者側では、原発の電気を買いたくないと思う人も多く、地球温暖化の原因となるCO₂を出す石炭や石油などの化石燃料ではなく、再生可能エネルギーの電力を使いたいと思う人もおり、新たな電力小売りへの参入企業=新電力への期待もありました。しかし消費者は自分が望む電気を、自由に買うことができたわけではありません。さまざまな業種の企業が小売電気事業者として登録され、新電力は700社を超えるほどとなりました。その新電力は発電所をもっている一部の事業者を別として、自分で発電所を持っていない小売業者の多くは、電力卸市場から電気を調達して販売しています。その供給構造の下で、昨年来の市場価格の高騰によって苦境に立たされ、契約停止や撤退・倒産が急増しています。国際的な化石燃料の値上がり、円相場の急落に直撃されています。市場からの調達価格が販売価格を大きく上回り、赤字が拡大しているためです。

 それと同時に、電力市場の不透明さも問題視されています。需給が緩むはずの時間帯になっても価格が下がらず、高値に張り付いているのです。大手電力会社による市場外の相対取引が7~8割をしめ、しかも実際上は内部取引であり、売り出し量・価格の不透明さもあります。

 昨年1月にも電力市場で異常な高値が長期間続く事態が起きましたが、予想外の冷え込みとLNG価格の高騰のせいだと政府・電力会社はいいました。しかし実際には関西電力の2つの原発に故障や点検の延長が必要となり、老朽化する原発に依存することによる不確実性からLNG火力の炊き増しが急きょ必要となり、LNGの調達が間に合わなかったことが原因でした。

 実態として、発電・販売が事実上一体であり、大手電力会社が依然として、圧倒的な市場支配力をもつもとで、公正な市場ルールの確立が迫られています。電気料金には、原油・LNG・石炭の平均燃料価格の変動に応じ、自動的に電気料金を調整する「燃料費調整制度」があります。それによって急激な燃料価格の値上がりから、利用者を保護するために、電気料金に上乗せできるのは、基準燃料価格の1.5倍までという歯止めが置かれています。今回の燃料高騰で大手電力会社を中心に条件の撤廃を求める声が上がっていますが、制度上、経産大臣の認可とそれに先立つ公聴会の実施が必要であり、小売料金の値上げ認可申請によって、料金の総括原価を開示し、不透明な部分にメスを入れるべきです。

 電力は、水道やガスと同様に、私たちの生活や経済活動を支える不可欠の公共インフラです。新電力の減少で、一部の大手企業に再び集中し、競争が消え、大手企業優位に立って消費者が料金設定などを受け入れざるを得ない事態も懸念されます。先に自由化が進んだ欧米の経験では、多数の小売業者が出現したものの、やがて数社にまとまっていって競争が効かなくなったといわれています。政府も「現状では大手電力の値上げを抑制させるような新電力が十分に存在」せず、「新電力と大手電力の間で電気の調達環境の公平性に懸念がある」(梶山経済産業大臣=当時。2020年5月22日)と認めています。現時点では電気料金に関する規制は残っていますが、消費者側が参加できる公的なコントロールが大事です。

 自公政権は、福島の原発事故の賠償費用2.4兆円を2020年から40年間に渡り、沖縄電力以外のすべての電力消費者に負担させる仕組みを導入しました。再生可能エネルギーの電力を選択している電力消費者にも負担を強いるものであり、「自由化」の看板に逆行し、発電部門内の原発のコストとして計上されるべき賠償費用を、送配電部門に移し替えるものです。このような原発優遇は、やめるべきです。

 政府は、送配電網の電気料金(託送料)の値上げ認可申請を公聴会の対象から外すなど、料金コストの情報公開を一層後退させています。従来でさえ、電気料金には放射性廃棄物の処理・処分費用をはじめ、隠れた「原発賦課金」が電力料金の明細書への記載もなく、上乗せされるなど、批判のある電気料金の根拠がいっそう不透明になりかねません。

 今求められているのは、消費者・需要家の選択肢の拡大と、系統運用など情報の全面的開示を両立させることのできる電力システムの制度設計です。そして、国民に開かれた公正な市場と競争条件の整備を進め、さらに新しい独立した強力な民主的規制機関の創設することによる国民的な監視の強化です。それによって、電力大企業への民主的な規制と再生可能エネルギーの本格的な推進、地域へのメリットの還元する電力システムへの転換を進めます。

再エネ小売業者の負担で、原発や石炭火力を支援する「容量市場」の廃止を

 「電力システム改革」のなかで、既存の原発、石炭火力、大型水力に有利に働き、再エネ小売業者に重い負担がかかるのが、昨年からスタートした「容量市場」です。容量市場とは、4年後の電源確保を目的に電源設備の供給力(キロワット)を取引するしくみです。経済産業省は、容量市場の必要性を、①電力価格の低下により投資意欲が減り、将来の容量が不足すること②容量が不足することで卸電力市場価格が高止まりするリスクと説明します。

 容量市場で確保する電源設備の総容量を決め、オークションを実施します。入札できる電源は、政府が「安定電源」だといっている火力、原子力、大規模水力に極めて有利な条件になっています。低い価格で入札されたものから順に落札され、目標調達量に達した価格が約定価格になります。容量市場の最大の問題は、この約定価格が、落札した電源全てに支払われる仕組みになっており、1兆円を超える規模になる点です。

 大手電量会社がすでに減価償却を済ませた電源にも、一律の約定価格で支払われます。ここには CO₂排出量の大きさなどへの考慮はありません。石炭火力などの設備を持つ事業者にとって、容量市場は老朽火力もできるだけ長く維持しつづけようという動機づけになります。容量確保のための費用は全ての小売電気事業者、送配電事業者が支払う仕組みになっており、その料金は電力料金に転嫁され、原発や石炭火力の電気を購入したくないと再エネ新電力に切り替えた消費者までもが、その維持費を支払わなければなりません。再エネ新電力にとっては極めて不利な制度で、過重な負担となります。なぜなら、原発や石炭火力、大型水力を持っている大手電力会社は容量市場から得た費用で拠出金を相殺できるのに対して、再エネ新電力にはそれができず、電力料金に加算するしかないからです。

 このように、容量市場は気候変動対策、再生可能エネルギーの普及などの流れと矛盾し、極めて問題の大きな仕組みです。このような気候変動対策に逆行しる市場の廃止を求めます。

再エネの豊富な地域に送電網を整備し、再エネの優先使用を義務付ける

 日本の地域それぞれの条件にあった再生可能エネルギーの開発・利用を計画的に拡大することに、エネルギー政策の重点をおきます。太陽光・熱、小水力、風力、地熱、波力、海洋深度の温度差や、あるいは畜産や林業など地域の産業とむすんだバイオマス・エネルギーなどは、まさに地域に固有のエネルギー源です。この再生可能エネルギーの活用を地元の中小企業の仕事や雇用に結びつくように追求し、そこから得られる電気やガスを販売することで地域に新たな収入が生まれます。事業の成果や副産物を地元に還元したり、雇用や技術、資金の流れを地元に生み出すことで、地域経済の活性化に役立ちます。ドイツでは、地域の電力供給を担う公的企業「シュタットベルケ」が各自治体に設立され、地元の住民が地域の再生可能エネルギー開発に関与し、収益を公共サービスで還元するなど、地域で生み出したエネルギー資源を地域の財産として生かし、エネルギーの「地産地消」、地域の活性化、地域経済の発展に重要な役割を果たしています。

 自然エネルギーによる発電が期待できるのにもかかわらず、人口が少なかったために送電網が不十分な地域もあります。また十勝地方の畜産にかかわるバイオマス発電でも、送電網が使えないために、せっかくの発電能力が生かせないという悩みもあります。国がイニシアチブを発揮してこうした地域に、送電線の建設を進め、既存の送電網の有効利用を図ります。そのさい、再生可能電力を全国で融通できるように、必要な送電網の整備をすすめます。9電力(沖縄電力を除く)に区切られた送配電体制を東西2つの体制にするなど、送配電体制の整備・統合をすすめます。

 再エネ発電の普及には、長期的な採算の見通しが重要であるため、電力の固定価格買い取り制度があります。市場価格との連動制を導入する電力多消費業種として賦課金を減免される対象範囲や、買い取り対象の規模、買取価格の水準の見直しなど、国民への情報提供と論議をつくすべきです。

―――改定で削除された送電事業者による買い取り義務の項を復活させ、再生可能エネルギーによる発電施設の設置者の立場を守ることが必要です。経産省は、大手電力会社に、東日本大震災前の原発の供給力(廃炉決定済みや建設中も含む)を算出させ、それを前提に、再生可能エネルギー電力の「接続(受け入れ)可能量」を計算させました。動いてもいない原発を想定した発電量が、再生可能エネルギー電力の買い取り拒否の口実になっており、いわば原発による「空押さえ」です。買い取り義務規定の削除は、電気事業法にも、再生可能エネルギー電力を優先するという規定はない以上、あきらかに普及のブレーキとなります。

―――送電網を運営する一般送配電事業者には、送電網を増強する「系統拡張義務」を課します。ドイツでは、前項の優先接続と系統増強の義務や、送変電設備の容量不足などの解消の責任を課されており、容量不足で再生可能エネルギー電力の接続を拒否できないことになっています。ところが日本では、接続拒否だけでなく、送配電網への接続を求める際に、送電線や変電施設の整備の費用を負担するよう要求され、小規模な再生可能エネルギー発電事業者には参入への高いハードルになるという事態が起きています。2016年のFIT法の改定にあたり、日本共産党は、ドイツの例をみならって、送電会社に送電網の増強義務を課す修正案を提出しました。引き続き、実現を目指します。建設コストを抑えるためにも、情報公開と多面的な検討を国が進めるよう求めます。

―――電力利用者の負担を軽減するために、電源開発促進税を系統強化費用に充てるようにすべきです。すでに電気料金には電源開発促進税という 電源を生み出すための税金が含まれており、年間3,050億円(2021年度予算)も、電力使用者は負担しています。いまはこの財源が主に、原発のために使われています。日本共産党は国会でも提案したように、この財源を系統増強に充てることで、ユーザーの負担を抑えるように使います。

―――買取価格を低減するとして、入札制度が導入されました。条文上は、「一定の導入量」を低い価格で落札した事業者から順番に調達する仕組みになっています。拡大されると地域密着型・中小規模の再生可能エネルギー事業社の参入を阻害する恐れがあります。19年11月以降順次、余剰電力買取制度の適用を受けた住宅用太陽光発電設備の買い取り期間10年が満了となります。地域にとっては「地産地消」の電源の典型であり、各家庭にとっては再エネへの関心をたかめ、電力消費の節約意識の喚起や災害時の電源確保としても重要です。住宅や小規模工場の屋根への太陽光パネルの設置、自治体主導や住民の共同による事業、屋根貸し太陽光発電事業などを推進します。そのために、再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度を地域の多様な取り組みを促進するように改善します。住宅用太陽光発電、市民の共同による取り組みをFITの重要な柱として、位置づけます。

 地域密着型・「地産地消」型の再生可能エネルギー利用をすすめるために、大規模開発や大型太陽光発電(メガソーラー)の偏重是正も考慮して、買取対象を見直すべきです。地域・自治体主導の取り組みで、地域経済への寄与を評価して、優遇する仕組みを導入すべきです。

 アメリカの世界的な投資銀行であるラザードのレポートが示すように、世界では太陽光発電、風力発電を中心に1kW時あたりの発電単価の低下が大幅に進んでいます。日本でも買取制度導入以来、低下していますが、それでも日本の発電単価は、海外と比べると高くなっています。発電パネルや発電タービン、建設費や建設の熟練度合いなど、分析的に評価し、発電単価の削減にむけて誘導していくことが大事です。それによって、買取価格は下がります。廃止された小型風力の買取価格を、復活させます。

乱開発を規制するため、環境アセスメントなど法体系の強化と住民合意の義務化を

 「気候危機打開ための2030戦略」でも強調したように、再生可能エネルギーの普及の大きな障害になっているのが、メガソーラーや大型風力発電のための乱開発が、森林破壊や土砂崩れ、住環境の悪化や健康被害の危険を広げていることです。目先の利益追求での乱開発・環境破壊を放置するなら、再生可能エネルギーへの大胆な転換を阻害し、気候危機も打開できなくなってしまいます。

 それを打開するには、①環境を守る規制を強化し、乱開発をなくす②「新たな開発」ではなく、既存の施設・建築物・未利用地などの活用を推進する―――という二つの方向での解決が必要です。

 全国知事会の「令和4年度国の施策並びに予算に関する提案・要望」でも、「再生可能エネルギーの地域との共生」のために、「発電設備の設置に当たって、防災・環境上の懸念等をめぐり地域住民との関係が悪化するなど問題が全国的に生じていることから、事業計画の認定に際し、一定規模以上の発電設備を設置する事業者に対し、地域住民への事前説明とその結果の国への報告を義務付けるなどの法整備を図るとともに、地元自治体の意見を反映させる仕組みを早期に構築する」ように要求しています。

 2016年のFIT法改正を受け、17年から条例を含む関係法令遵守をFIT事業認定の基準として規定し、違反した場合は認定を取り消すことも可能となっています。また、「事業計画策定ガイドライン」(以下、ガイドラインと表記)において、住民との適切なコミュニケーションを努力義務化しています。ところが、ガイドラインを遵守していない事業者も多く、「住民合意の義務化」が必要です。FIT事業の認定要件は省令で規定しており、ガイドラインを省令に格上げすれば、住民合意をはじめとした努力義務規定が「義務化」されることになります。

 昨年4月に成立した改正地球温暖化対策推進法の審議のなかで、日本共産党は、法案にある促進エリアに加えて、自然環境や生活環境を「保全するエリア」を指定する必要があると求めていました。また再エネ設備の設置によって、土砂災害や生活環境への影響が懸念されている各地域の実態をふまえ、地方議会でも国会でも、危険な地域や生活環境に影響がある地昨年7月の熱海市での土石流の発生で、域などには再エネ設備は建設出来ないように規制するよう要求してきました。

 昨年7月の熱海市での大規模な土石流の発生を契機に、盛り土を行う土地の用途やその目的にかかわらず、危険な盛り土を全国一律の基準で包括的に規制する「盛土規制法」(宅地造成等規制法の一部を改正する法律)が今年5月下旬に公布されました。これまでも再エネ設備の設置場所について、土砂災害の危険地域など除外している自治体の条例や、「地域の状況に応じた防災、環境保全、景観保全の観点から適切な土地の選定、開発計画策定に努める」という文言がガイドラインにあります。しかし、実際には、土砂災害防止法における開発規制では太陽光発電施設等の再エネ設備を対象に入れていないことや、保安林内で計画される場合も「再エネ事業としての手続のなかで検討される」として林野庁が規制する仕組みになっておらず、しかも林道扱いで手続きを免れ「期間短縮」を図る例も増えています。住民の安全にかかわる問題として、関係する省庁が責任を明確に負うよう法制度を整備します。再エネ設備の導入から廃棄までの各段階(土地開発の前後、運転中、廃止・廃棄)に応じたて、適切な対応ができるよう行政側の監督システムの構築も必要です。

 規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業は環境影響評価(アセスメント)手続が義務付けられています。しかし、事業を分割して制度の対象外としてアセスメント手続を逃れる事業者もいます。政府は9月末、太陽光発電、風力発電所の環境アセスメント逃れに対応する「事業の一連性の考え方」について公表し、都道府県・政令指定都市と太陽光発電、風力発電の関係事業者に対し正式通知しました。事業者がアセス対象規模の事業を分割してアセス逃れしている実態を国会質問で取り上げた結果、梶山弘志経産相(当時)が「環境影響評価法の趣旨が十分に踏まえられるよう環境省と連携して議論を進めたい」と答弁したことを受けたものです(昨年5月31日、岩渕友参院議員への決算委員会質問)。同通知は広い敷地内の川で隔てられている場合や、風力発電など設備の距離がかなり離れていても事業が一体の場合があるなど管理の一体性を中心にみるとしています。

 他方で風力発電の法対象規模要件が政令改正によって10月31日から、現行1万㎾以上から5万㎾以上へ引き上げられます。また環境省は、洋上風力発電の導入促進に向けて「導入が見込まれる海域において環境調査を実施し、取りまとめた情報をデータベースから事業者や地方公共団体に提供することで、現在設置が検討されている着床式洋上風力発電における環境影響評価の合理化・迅速化を図る」(4~6年程度かかる環境アセスの期間を1~2年短縮する)取り組みに着手するとしています。

 太陽光発電施設の建築物や土地の区画形質の変更として扱うなど、きちんとした法的な位置づけを明らかにします。関連法令の整備や環境基準を制定で、環境アセスメントの手続きの中に組み込んでいくことが必要です。

 森林法などの現行法は、森林を伐採してメガソーラー発電所をつくるなどの事態を想定していません。環境保全のための森林法改正、土砂崩れの危険性も評価事項に加えるなどアセスメントの改善が必要です。発電開始後も点検を行い、環境破壊や人体への悪影響がある場合には必要な是正措置をとらせます。

 事業の立案および計画の段階から情報を公開し、事業者、自治体、地域住民、自然保護関係者、専門家など広く利害関係者を交え、その地域の環境保全と地域経済への貢献にふさわしいものとなるようにします。

 風力発電も大規模化・集中化によって、騒音、低周波、シャドーフリッカー、基礎工事の巨大化による安全面や周辺環境への影響など、住民の不安・不満は高まっています。環境省は2017年に「風力発電施設から発生する騒音に関する指針」を作成しましたが、1基あたり出力2,000kWの風車を想定した調査をもとにしており、最近では1基4,000kW以上の出力の風力発電計画が増えているもとで、「指針」の見直しが必要です。とくに集中立地にともなう累積的影響を検討すべきです。

 地域での乱開発を防ぐ手法として、環境保全を優先するエリア、風力発電の導入促進が可能なエリクに区分けするゾーニングの導入も有効であり、環境省はマニュアルを作成していますが、国として住民の健康・安全や環境保全を脅かす恐れがある地域への立地を規制すべきです。

 太陽光パネルの大量廃棄に備えて、リユース、リサイクルを含めた適切な処理が確実に行われるよう、関係省庁・自治体・業界団体で連携のとれた体制を今から構築しておくことも必要です。

バイオ燃料の開発は、森林破壊を起こさず、環境保全を重視したものに

 日本共産党は、バイオ燃料の開発・導入を再生可能エネルギーの重要な柱であると考えています。地域の森づくり・林業と結びついた木質バイオ燃料の利用や、畜産業の廃棄物を活用したバイオガスの利用などは、地域経済の活性化にとっても重要です。

 ところが木質バイオ燃料を取るためとして森林の植林抜きで皆伐したり、あるいは熱帯林を破壊して切り開いたヤシ畑から出たヤシ殻を輸入して焚くというのでは、陸上で最も大きな CO₂の吸収源である森林を損なうことになります。EUでは再生可能エネルギーとしてバイオを認めるにあたって、その由来や炭素の循環周期を確認するなど厳しくなっています。

 国内産・バイオ地域産の資源を優先的に活用する(「地産地消」)、生産・加工・流通・消費のすべての段階で環境を悪化させない持続可能な方法を採用するなど、新たな環境破壊をひきおこさないためのガイドラインを設けます。熱源としてバイオ燃料の利用も促進します。

市民と野党の共同で政権交代を実現し、エネルギー政策への転換を

 これまでも野党はエネルギー政策の転換のために協力して、原発ゼロ基本法案(2017年)やその実施法である再生可能エネルギー等の推進関連4法案(2019年)を国会に共同提出してきました。

 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)は5月9日のシンポジウムで、日本共産党、立憲民主党、社民党、参院会派「沖縄の風」・「碧水会」から出席し、市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)の「政策要望書」を確認しました。

 その要望書のなかの「3 気候変動対策とエネルギー転換の推進」で、「人びとの暮らしを脅かす異常気象の頻発にかんがみ、また将来世代や未来の人々、生きものに対する責任を果たすために、気候変動と環境保全の対策を加速し、国際社会による温暖化対策の強化に向けて働きかけを強める。また、経済や安全保障上のリスクを軽減する観点からも、原発にも化石燃料にも頼らないエネルギーへの転換を進め、脱炭素社会を早期に実現する。」としています。

 野党と市民の共同によって、地球環境と若者の未来を守るエネルギー転換へ全力を挙げます。

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