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日本共産党

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赤旗

35 原発問題

原発の「最大限活用」という逆流を許さず、原発ゼロの日本を――再稼働をやめ、原発・核燃サイクルからの撤退、福島原発事故被害者への全面賠償を

2022年6月

 岸田文雄首相は、ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略などを背景に、エネルギーの安定的な確保をめぐって原発を「最大限活用」(4月8日記者会見)するなどの発言を繰り返し、6月閣議決定とされる「クリーンエネルギー戦略」でも「最大限活用」を明記しようとしています。自民党内の電力安定供給推進議連は、原発の再稼働を進めるために、停止中の原発の速やかな稼働を政府が決定すること、原子力規制委員会が「効率的な審査」や「規制上の制約を一時的に解除する等の措置を講ずること」を強く要求しています(3月15日付緊急決議)。また、日本維新の会は、規制基準で義務付けられたテロ対策施設抜きでも「内閣の責任で再稼働させる」よう求めています(3月15日付緊急経済対策)。

 地域と住民に甚大な被害をもたらした福島第一原発事故の痛苦の教訓を踏まえない、安全置き去りの姿勢です。原発に頼らずに電力・エネルギーを確保する政策への転換を急ぐべきです。

 福島原発事故では、大量の放射性物質が放出され、地域社会に甚大な被害をもたらし、自治体丸ごとの避難など多くの人が避難を余儀なくされ、故郷を奪われました。原発が抱える危険性と事故被害の深刻さが明らかとなり、「原発安全神話」は完全に崩壊しました。2年近い(2013年9月~15年8月)「稼働原発ゼロ」も経験し、日本社会が原発なしでやっていけることも明らかとなりました。世論調査では一貫して、再稼働反対、「原発ゼロ」が国民多数の声となっています。2018年には、日本共産党、立憲民主党、自由党(当時)、社民党が共同で、「原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案」(原発ゼロ基本法案)を国会に提出しました。

 ところが岸田内閣は、「第6次エネルギー基本計画」で、「重要なベースロード電源」として原発を唯一残し、2030年度の発電量(9340億kW時)の20~22%を原発で賄うとしました(2020年度の原発比率は4%)。これは、規制基準審査未申請9基を除く27基(建設中2基含む)すべてを、2030年時点で運転期間40年を超える12基も含めて、フル稼働させるという、とんでもない計画です。さらに、2050年を展望して「必要な規模を持続的に活用していく」としています。

 日本経団連は、着実・迅速な再稼働とともに、建替え・新増設を国の政策に位置づけるよう求めています。さらに、原則40年(最大60年)という運転年限について、停止期間を控除すること、60年超への延長を検討することを要求しています。重大事故の危険を顧みず減価償却が済んだ老朽原発で儲けることに執着することは、国民と日本社会に対してあまりに無責任な態度です。

 いま日本は、原発を再稼働させ原発依存社会を続けるのか、再稼働を許さず「原発ゼロの日本」にすすむのか、大きな分かれ道にあります。日本共産党は、原発の「最大限活用」という無謀な道をやめさせ、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現するため尽力します。

原発事故は「収束」とは程遠く、事故被害は続いています

 事故から10年以上たちますが、福島第一原発は、「収束」とは程遠く、事故の真っただ中にあり、いまなお「原子力緊急事態宣言」下にあります。政府は「収束宣言」(2011年12月)を誤りと認め、きっぱりと撤回すべきです。放射能「閉じ込め」にむけた懸命の努力が行われていますが、溶け落ちた核燃料の位置や状態はほとんどわかっていません。破壊された原子炉建屋への地下水などの流入により、核燃料から溶け出した放射性物質を含む汚染水が128万トンを超えて増え続けています。

 廃炉に向けた政府の「中長期ロードマップ」は、事故後30年~40年で廃炉完了するという枠みを変えていませんが、汚染水対策やデブリ取り出しの難航という現実を踏まえた見直しが求められています。

 放射能汚染水はALPS等で処理しても高濃度のトリチウムなどが残ります。岸田内閣はALPS処理後の汚染水を来年から希釈し海に流そうとしています(ALPS処理水の処分に関する基本方針)。政府が漁業者に表明してきた「関係者の理解なしに放出は行わない」という約束を破るものです。汚染水の海洋放出は、環境汚染のみならず、水産業をはじめ事故後10年にわたる福島の復興の努力を台無しにしかねないものです。全国漁業組合連合会は、「我が国漁業の将来にとって壊滅的な影響を与えかねない」として断固反対する特別決議を採択しています(2020年6月の総会)。今年4月にも、全漁連会長が首相と面会し、「断固反対の立場は変わりない」と伝えています。福島県内の7割以上の自治体をはじめ茨城県、宮城県、岩手県の自治体からも反対の声が上がっています。海洋放出方針を撤回し、タンク増設などの対策を取りつつ、英知を集めて関係者が納得できる解決の道を探求すべきです。

 岸田内閣は、帰還困難区域を除き避難指示を解除してきたことをもって「復興・再生が本格的に始まっている」(「東日本大震災からの復興の基本方針」2021年3月9日閣議決定)としています。しかし、福島県と避難指示等が出された12市町村が把握しているだけでも、いまなお6万人以上が避難生活を余儀なくされています。避難指示が解除されても、暮らしを支える商店や病院がなかなか整わないなど帰還と復興を進める上での課題は山積です。ところが被害者への賠償は避難解除と連動して打ち切られようとしています。全面的な賠償をはじめ暮らし・地域の再建まで、政府と東電が責任を果たすべきです。

 岸田内閣は、帰還困難区域について、復興再生拠点区域以外も、避難指示解除に必要な除染・インフラ整備等の費用を「東京電力に求償せずに国の負担」とする方針です(2021年8月31日「特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除に関する考え方」)。除染・インフラ整備等の費用は、汚染者である東京電力が負担するべきであり、「東京電力に求償せず」という方針は撤回すべきです。

 政府は東京電力と一体となって、「稼ぐことが福島事業への貢献」(経産省東電・1F委員会「東電改革提言」2016年12月)だとして柏崎刈羽原発を再稼働させようとしています。事故被害者に対する賠償などの責任を原発再稼働の口実とするなど、事故被害者を愚弄する自・公政権を許すわけにはいきません。

「世界で最も厳しい水準の規制基準」は事実に反し、破たんしています

 安倍政権以来の「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた」原発の再稼働を進めるという方針は根底から破たんしています。

 「新基準」は、福島原発事故の原因究明もないまま、再稼働を急ぐために「スケジュール先にありき」で決定したものです。重大事故(「炉心の著しい損傷」)への対策は部分的で、EUで義務づけているコアキャッチャー(溶融炉心を受け止めて冷やす装置)はなくてもよいとしています。活断層があっても、その真上に原子炉など重要な設備でなければ建設してもよいなど、きわめてずさんなものです。火山対策に至っては、火山学者が無理だと指摘しているのに、原発の運転期間中に巨大噴火が起こる可能性は十分小さいと判断できると強弁し、「巨大噴火によるリスクは、社会通念上容認される」(設計対応不可能な火山事象に関する原子力規制委員会の「基本的な考え方」2018年3月)と開き直る無責任なものです。

 事故が起きた場合の避難対策は自治体任せであり、実効性の保障もありません。アメリカでさえ住民の避難対策は稼働の前提とされています。「世界で最も厳しい水準の規制基準」という言明は完全に破たんしています。

 司法においても、「生存権を基礎とする人格権」が奪われる可能性がある(2014年5月福井地裁、大飯原発)、「過酷事故対策について・・・危惧すべき点があ」る(2016年3月大津地裁、高浜原発)、「実現可能な避難計画が整えられていると言うにはほど遠い」(2021年3月水戸地裁、東海第2原発)として、原発の運転差し止めを命じる判決がだされています(いずれも係争中または後に高裁等で差し止め命令取り消し)。原子力規制委の耐震性審査に「看過しがたい過誤、欠落がある」として設置許可取り消し判決もだされています(2020年12月大阪地裁、大飯原発。高裁係争中)。

プルトニウム利用計画(核燃料サイクル)の破たんも明らかです

 岸田政権の「エネルギー基本計画」は、「核燃料サイクル政策の推進」を明記し、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して核燃料として再利用するとしています。しかし、核燃料サイクルの中心だった、プルトニウムを利用する高速増殖炉「もんじゅ」は事故・不祥事続きで廃炉となりました。既設の原発でプルトニウムを利用するプルサーマルは4基しかありません。プルトニウム利用計画の破たんは明らかです。

 プルトニウムは核兵器の原料でもあります。六ヶ所再処理工場がフル稼働すれば、取り出されるプルトニウムは年間8トン近くになります。日本は、すでに約46トンのプルトニウムを保有しています。使う当てのないプルトニウムをさらに大量に抱えることになれば、世界から疑惑を持たれるだけでなく、核拡散防止の国際的努力の支障にもなりかねません。

低コスト・安定供給という原発推進の「看板」は剥がれ落ちました

 岸田内閣は、原発を「低廉」で「安定的なベースロード電源」(「エネルギー基本計画」)と位置付けています。しかし、福島原発事故以降、原発が高コスト電源であることが露わになっています。

 事故以前の政府試算では、原発は1kW時あたり5.9円とされていましたが、21年8月の試算では、原発は11.7円以上となり、太陽光発電(事業用8.2円~11.8円/住宅用8.7円~14.9円)や風力発電(陸上9.9円~17.2円)より高くなりました。しかも、事故賠償費用について上限を見積もることができないため原発コストには上限がありません。原発は高コストだという事実を、政府も否定できなくなりました。

 政府が成長戦略の一環として進めてきた原発輸出(外国での原発建設事業)は、東芝、三菱重工、日立製作所すべてとん挫し、総崩れに陥りました。福島原発事故により「安全対策」コストが増え、事業費が膨れ上がったためです。国内では、原発を再稼働させるための「安全対策」費が、電力会社11社で5兆7千億円(「東京」2022年2月21日付)と建設費の4割超にもなっています。これまで切り捨ててきた「安全対策」コストが顕在化し、原発はもはや、ビジネスとして成り立たないものになっています。

 福島第一原発事故の事故処理費用は、賠償額だけでも12兆6千億円となり(第4次総合特別事業計画。2022年4月27日時点)、政府見通し(「原子力災害からの福島復興の加速のための基本方針」2016年12月)の1.6倍となっています。どこまで膨らむか見当もつきません。

 福島原発事故後、原子力損害賠償法が改定されましたが(2018年臨時国会)、事故の賠償に備えて義務づけられた保険金額(賠償措置額)は1200億円のまま据え置かれました。福島原発事故の被害と比べてあまりにも過少な賠償措置額が据え置かれたのは、保険業界が引き上げを拒否したためです(原子力委員会の第17回原子力損害賠償専門部会(2017年5月30日))。民間で事故のリスクをこれ以上負うのはごめんだとしながら、事故が起きれば国民に巨額の負担を押し付けようというのです。原発は、ビジネスと呼べるものではありません。

 安定供給という点では、北海道胆振東部地震(2018年9月)で起こった全道停電が重要な教訓を示しています。大規模停電になったのは、電力供給を大きく担っていた大規模発電所が地震で停止したためです。大規模集中発電の危さと分散型への転換の必要性が浮き彫りにしました。原発は、大規模集中発電の典型であり、電力の安定供給という点で重大なリスクを抱えています

甚大な放射能汚染を引き起こす原発を、「温暖化対策」を口実に推進することは許されません

 政府は、原発を「脱炭素電源」と位置づけ、温暖化対策を原発推進の口実にしています。しかし福島原発事故が明らかににしたように、ひとたび重大事故が起これば、放射能汚染は極めて甚大なものとなります。地域社会が破壊され、その被害から立ち直るには多大な努力と時間が必要となります。大飯原発の運転差し止め訴訟で福井地裁が判示したように、「環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋ちがい」(2014年5月)であり、許されません。

老朽原発の再稼働や核のゴミ処分場を巨額の交付金で押し付けるのはやめるべきです

 21年春、40年超の老朽原発3基(美浜3号、高浜1号・2号)の再稼働に対する福井県知事の同意を引き出すため、政府は、発電所あたり25億円(美浜と高浜で50億円)という巨額の交付金を新設することを表明しました。また、20年秋に、北海道の寿都町と神恵内村が「核のゴミ」最終処分場の文献調査(立地調査の第1段階)を受け入れましたが、その際も、2年間で20億円という交付金が大きな誘因となりました。国の農林水産業政策や地域振興策の失敗により地域経済が疲弊し財政的にも苦しんでいる自治体に、金の力で国策協力を押し付けることはやめるべきです。

日本共産党の提案

汚染水の海洋放出方針を撤回し、汚染水対策をはじめ事故収束・廃炉を、日本の英知を結集した国の一大事業として位置づけやりぬく

 事故の収束と廃炉を、日本の英知を結集した大事業として位置づけ、国と東電は総力をあげる取り組むべきです。

 増え続ける汚染水は、事故収束・廃炉で直面する大問題です。建屋への地下水流入を止めない限り汚染水は増え続けます。汚染水の海洋放出という政府・東電の方針は、凍土壁などの対策が前宣伝ほどの効果をあげていないことへの責任を棚上げするものです。汚染水の海洋放出方針を撤回し、タンク増設などの対策を取りつつ、広く英知を集めて汚染水の発生抑制に取り組みます。

 収束作業に従事する労働者の安全と健康の管理に万全を尽くし、その仕事の重要性にふさわしく労働条件を抜本的に良くすることを要求します。

 福島第一原発事故の進展過程はいまだに解明できていません。福島原発事故の原因とプロセスを科学的に検証するため、東京電力や経産省から独立し、調査権限を持った第三者機関と研究機関を確立します。

賠償打ち切りを撤回し、全面賠償と除染をすすめる

 政府は、避難指示解除を口実に賠償を打ち切り、福島原発事故を終わったことにしようとしていますが、絶対に認めるわけにはいきません。賠償と除染、生活支援、復興支援で、不当な「線引き」をせずに、いわゆる「自主避難者」を含むすべての被災者・被害者を対象にすることを求めます。生活と生業(なりわい)が再建され、希望する人が故郷に帰り、命と健康を守る医療や介護、子どもたちの教育を保障し続け、「安全・安心の福島県」をとりもどすまで、そのすべての過程で、国の責任で復興を支援します。

 原子力損害賠償紛争審査会の「指針」を被害実態に見合うよう見直し、全面賠償を行います。東電、経産省の賠償打ち切りを許さず、精神的損害への賠償を含め被災者が納得できるまで賠償を行わせます。長期にわたる原発事故被害には「時効」などあってはなりません。賠償金はすべて非課税とします。

 政府と東京電力の責任で除染を進めさせます。福島県内の住宅等の除染はおおむね完了した(帰還困難区域除く)とされていますが、放射線量が十分下がらず再除染を求める声が少なくありません。再除染を含め除染の徹底とスピードアップをはかります。森林についても生活圏に限定せず住民要求をふまえて除染をすすめます。危険手当の支払いなどすべての除染作業員の権利を守り、除染事業が確実、迅速にすすむようにします。

 福島県の18歳以下の子どもの医療費・検査料は国の負担で無料とします。「子ども・被災者生活支援法」を生かし、子どもの成長と権利を守るよう施策をすすめます。

事故の後始末費用は汚染者負担原則で

 福島原発事故の廃炉・賠償・除染等の費用は、汚染者負担原則にもとづき、事故原因者・加害者である東京電力が第一義的責任を果たすべきです。同時に、国の法的責任をも認めた一連の原発避難者訴訟判決を踏まえ、歴代自民党政府が原発を推進してきたことへの根本的な反省を行い、国が責任をとること、「原発ゼロ」への政策転換を明確にすることが不可欠です。

 政府見通しの21兆5千億円をも超えかねない巨額の事故処理費用を電気料金に上乗せし、賠償費の「過去分」と称して将来世代にまで負担させ、さらに税金投入によって際限なく国民へツケを回す仕組み(原賠・廃炉等機構法及び2016年12月閣議決定「福島復興加速化基本指針」等)は根本的に見直します。東電の経営陣、株主、メガバンク、原子炉メーカー、ゼネコンなど「原発利益共同体」に応分の負担をもとめ、国民負担を最小化します。

原発を再稼働させず、新増設も輸出も認めない

 原発なしでも電力不足にはならず、節電や再エネ導入がすすんだ結果、「稼働原発ゼロ」の2014年度以降、エネルギー起源の二酸化炭素排出量は年々減っています。日本社会は原発なしでも十分やっていけます。原発を再稼働させず、建設許可済みのものや計画中のものも含めて、新たな原発の建設は認めません。

 自国で大事故を起こし、国内では原発に「絶対安全はない」(原子力規制委員会委員長)と言いながら、他国には「世界一安全な原発技術を提供できる」(安倍晋三首相(当時))と原発を売り込むことほど罪深い所業はありません。無責任な原発輸出政策をきっぱり断念すべきです。

原発・核燃料サイクルからただちに撤退する

 福島第一原発事故から10年余の体験は、原発と人類が共存できないことを示しています。とりわけ日本は地震大国です。この間、規制委員会の専門家チームは、敦賀原発、志賀原発の直下の断層を活断層と認めました。ずさんな評価で原発が立地されてきたことが改めて明らかになりました。東海地震震源域にある浜岡原発はもちろん、日本で大地震が起きないといえる場所はなく、原発は直ちにやめるべきです。

 原発の使用済み核燃料は、各原発と六ヶ所再処理工場で約1万9千トンが貯蔵されており、平均すればあと6年半で貯蔵能力の限界に達します。原発を動かせば使用済み核燃料の置き場所がなくなる状況です。再処理しても、使う当てのないプルトニウムと処分場の目途がない高レベル放射性廃棄物という、いっそう厄介な荷物を抱え込むだけです。

 高速増殖炉「もんじゅ」の廃止にとどまらず、新たな高速実証炉開発も中止し、再処理工場を廃止し、核燃料サイクルからただちに撤退します。

 政府は、核のゴミの最終処分場について国土の65%が「好ましい」特性を持つとする「科学的特性マップ」を公表し、「国が前面に立って」立地調査を自治体に押し付けようとしています。しかし、地殻変動の活発な日本で「万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界がある」と日本学術会議は警告しています(「高レベル放射性廃棄物の処分について(回答)」2012年9月)。使用済み核燃料の処分の手段・方法については、既定路線にとらわれず、専門家の英知を結集して研究・開発をすすめる必要があります。その結論が出るまでは、政府の責任で厳重な管理をおこないます。

 「原発ゼロ」実現後も残る「核のゴミ」や原発廃炉など「負の遺産」に取り組むためにも、原子力に関する基礎研究とこの仕事を担う専門家の確保・育成をすすめます。原発の廃炉にいたるプロセスの管理、使用済み核燃料の管理などを目的とし、従来の原発推進勢力から独立し、強力な権限をもった規制機関を確立します。

再生可能エネルギーへ抜本的に転換し、原発立地地域も再エネ関連産業で再生をはかる

 原発・核燃料サイクルから撤退し、再生可能エネルギーの大幅導入への抜本的転換の計画を立てて、実行していきます。再生可能エネルギーの電源には天候などにより出力が変動するものもありますが、各地で普及が進めば進むほど、また、太陽光、小水力、バイオマス、風力、地熱といった多様なエネルギーを組み合わせることで、変動がならされて安定します。日本でも、事業用太陽光発電の入札価格は1kW時あたり10円となっています(2021年度)。日本の多様で豊かな再生エネルギーの潜在力を生かし、自然エネルギー大国に切り替えます。

 原発立地地域の多くは経済的に原発に依存していますが、そのように誘導した国と電力会社の責任は重大です。大きな成長が期待される再生可能エネルギーと関連する新産業の誘致・育成、原発廃炉によって可能性が広がる漁業、農業と関連産業の育成など、本格的な地域経済再生に国として取り組み、「原発ゼロ」と一体に立地自治体の住民のくらし、地域経済再建の支援をすすめます。

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