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日本共産党

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赤旗

38、気候危機

気候危機を打開する取り組みは、人類と地球にとって待ったなしの課題です

2022年6月

 昨年10月末からイギリスのグラスゴーで開かれたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)では、地球の平均気温の上昇を産業革命前に比べて「1.5度に制限するための努力を継続する」ことを宣言しました(「グラスゴー気候合意」)。その実現のために今年エジプトで開かれる次回のCOP27までに、温室効果ガスの排出量の削減目標をさらに引き上げるよう求めています。

 日本がCOP26に報告した削減目標は、2010年度比に換算すれば42%に過ぎません(山口壮環境大臣の答弁)。COP26の「気候合意」では、「2010年比で2030年までに世界全体の二酸化炭素排出量を45%削減」することを明記しました。国民一人当たり、全世界平均の2倍の温室効果ガスを排出している日本が、削減目標の引き上げを再検討するのは当然です。ところが、岸田首相は目標を見直すことを拒否しています。

 しかも日本は、国連が繰り返し「先進国は2030年までに石炭火力を段階的に廃止せよ」と求めたのに、COP26でも何ら答えませんでした。2030年どころか、温室効果ガス排出の「実質ゼロ」を達成すると自ら約束した2050年にむけても石炭火力を残す考えを持っているとして、国際NGOから厳しい批判を浴びました。G7で石炭火力からの撤退期限を示していないのは日本だけであり、G7の会合でも石炭火力の廃止期限を声明に盛り込むのに唯一反対しました。大型石炭火力の建設を続ける政府の姿勢に内外の批判が集まっています。

2030年までにCO₂を最大60%削減する―――日本共産党の2030戦略

 IPCCは昨年8月から今年4月にかけて最新の3つの報告を公表しました。いずれも、COP26で各国が合意したように、地球の平均気温の上昇を産業革命前にくらべ1.5度以内におさえようとすれば、この「決定的な10年」に、思い切ったCO₂の排出削減に各国が取り組まなければならないという強いメッセージを発しています。

 日本共産党は、昨年9月に「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表しました。その中で掲げた次のような目標は、COP26の合意やIPCCの提起にもこたえるものです。

 日本共産党は、2030年度までに、CO₂を50~60%削減する(2010年度比)ことを目標とするよう提案します。それを省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせて実行します。エネルギー消費全体を4割減らし(電力消費を20~30%削減)、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、50~60%の削減は可能です。さらに2050年に向けて、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現します。

「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」の全文は、以下のURLでご覧ください。
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/09/post-882.html

 野党各党と市民連合が今年5月に確認した「2022年参議院選挙における野党に対する市民連合の政策要望書」では、「人びとの暮らしを脅かす異常気象の頻発にかんがみ、また将来世代や未来の人々、生きものに対する責任を果たすために、気候変動と環境保全の対策を加速し、国際社会による温暖化対策の強化に向けて働きかけを強める」としています。

省エネの推進と純国産の再エネの大量普及で、エネルギー自給率の向上を

 エネルギー転換は、エネルギー自給率向上の観点からも急務です。日本のエネルギー自給率は10%程度と先進国で最低クラス(OECD加盟国のうち比較可能な36カ国中35位)です。原油価格の高騰、ロシアのウクライナ侵略、急激な円安の放置など、エネルギーを外国に依存している経済の危うさが浮き彫りになっています。

 環境省の調査でも、再生可能エネルギーの潜在量は、現在の電力使用量の5~7倍にもなります。しかし、政府のエネルギー基本計画では、2030年度の再生可能エネルギー電源の比率は36~38%にすぎません。これはドイツ、イギリス、イタリア、スペインなどでは達成ずみであり、これらの国々は2030年までに6~7割をめざしています。石炭火力、原発にしがみつき、再生可能エネルギーを後景に押しやっていることが、遅れの最大の要因です。

―――即時原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、2030年度に原発と石炭火力の発電量はゼロとします。

―――再生可能エネルギーの優先利用の原則を確立し、大手電力会社が原発や石炭火力を優先し、太陽光の出力抑制を行っている現状をあらためます。再エネを最大限活用できる電力網などのインフラを整備します。

―――二酸化炭素排出量が大きい業界、大規模事業所に、二酸化炭素削減目標と計画、実施状況の公表などを「協定」にして政府と締結することを義務化します。

―――農地でのソーラーシェアリング、小規模バイオマスの発電の普及など、脱炭素を結びついた農業・林業の振興を進めます。

―――省エネの取り組みを産業、都市・住宅など、あらゆる分野ですすめます。

気候危機への本気の取り組みが新しい投資と雇用を生み、持続可能な成長を実現する

 自動車工業会は、電力の脱炭素化が遅れれば、製造時の CO₂の排出量が減らず、日本の車は海外に輸出できなくなり、最大で約100万人の雇用が失われ、経済影響はマイナス26兆円となるとしています(2021年10月「カーボンニュートラル 自工会発信メッセージ」)。石炭火力など化石燃料にしがみつき、日本経済の新しい成長の芽を摘み取り、産業の競争力さえ奪ってしまうことは許されません。

 再エネは、密度が低いものの、日本中どの地域でも存在します。この特徴を生かして、地域と住民の力に依拠して活用をすすめてこそ、多様で大規模な普及が可能になります。そうすれば地域経済の縮小に悩むところでも、地域おこしの貴重な資源となります。地域のエネルギーとして、地域が主体になって開発・運営し、エネルギー費用の域外流失を減らし、地域での資金の新たな循環を生み出す。住宅や小規模工場での省エネの普及・改修、その屋根への太陽光パネルの設置、自治体主導や住民の共同による事業、屋根貸し太陽光発電事業などを推進することで、地域に仕事と雇用を生み出せます。

 日本共産党の「2030戦略」を実施すれば、省エネや再エネの推進を柱に10年間で民間と公的な投資は合計202兆円、GDPは累計で205兆円の押し上げとなります。雇用の創出も年間平均で254万人になります。国内に「新たな成長産業」を創出することになります。

 気候危機打開のための経済・社会の大転換は、文字通り日本経済の構造的な大改革を意味します。その達成のためには、広範な国民の参加と共同が必要であり、目先の利益にとらわれ国民に分断をもたらす新自由主義から、中長期の展望をもった環境的にも持続可能な経済への転換が同時に求められています。地球環境を犠牲にした大量生産・大量消費・大量廃棄型から、持続可能な地域循環型経済への転換、大都市集中から地方の強化、非正規の不安定な労働から安定した雇用の拡大と労働者の権利の保障へ―――こうした転換が同時に取り組まれてこそ、省エネ・再エネなどによる新たな仕事と雇用の創出の効果が、地域経済にも波及し、パリ協定にも盛り込まれた「公正な移行」による「雇用の移動」もスムーズに行われます。大企業内に滞留している巨額の内部留保を、賃上げとともに再生可能エネルギー・省エネルギーなどの国内投資へまわるようにするために、日本共産党は大企業の内部留保について期間を限定した課税を提案しています。

自治体の「実行計画」策定へ市民の積極的参加を

 地球温暖化対策推進法や政府の「地球温暖化対策計画」にもとづき、自治体では区域内の「実行計画」(区域施策編)の策定を求められています。2050年のCO₂排出「実質ゼロ」や30年までの思い切った排出削減を踏まえて、「低炭素」社会ではなく「脱炭素」社会に向けて計画を立案していく必要があります。

 環境省によれば、「2050年までにCO₂排出ゼロ」を表明した自治体は、東京都・京都市・横浜市を始めとする702自治体(42都道府県、415市、20特別区、189町、36村)に達しています(2022年5月31日時点)。排出ゼロを表明した都道府県と市区町村の人口を重複しないように数えると1憶1837万人にたっし、今年5月1日現在の推定人口1億2505万人の95%に相当します。この目標の達成のためにも、いよいよ自治体レベルでの具体的かつ計画的な取り組みが求められています。

 「2030戦略」でも示したように、日本のCO₂の排出量のうち、60%は排出量の多い上位200余りの施設・事業所から排出されています。こうした特別な大口排出事業所への対応は、国が積極的に乗り出すべきです。「2030戦略」では、大口排出企業は政府と削減の協定を結ぶよう提案しています。

 全国の1700余の自治体の多くは、大口排出事業所がなく、規模の小さな工場や農林水産業、建設業、オフィス・商業施設などの業務部門、運輸部門、家庭部門からのCO₂の排出となります。これらの全体の省エネをどう進めるのかが課題です。電力に着目すると、CO₂排出の相当部分が購入電力による場合が多く、区域内での再エネ発電所や建物・農地での太陽光発電の増設を図るとともに、住民・事業者がCO₂排出の少ない電力を選んで購入することが大事となります。

 実施計画では、光熱費の削減とともに、地域外へのエネルギー費用の流出を削減でき、地域の事業者への受注や農業者の再エネ収入増による地域経済の底上げに寄与します。地域の住民・専門家・事業者の連携による新たな地域活動の創出にもつながります。

「実質ゼロ」の実現にふさわしい自治体の目標を、住民参加で策定する―――自治体の領域内の特徴を踏まえた野心的な削減目標の設定。住民の年齢や職種などの構成比に合わせくじ引きで参加者を選出して開く市民会議など、市民の意欲や知恵、協力が反映できる計画の策定会議を工夫します。

省エネを推進する―――断熱に優れた住宅・建物の普及、省エネに優れた機器への買い替え、EV車の普及や、公共交通などの利用による省エネ交通システムの整備を図ります。

再生可能エネルギーの導入拡大を進める―――地域の条件をいかした多様な再生可能エネルギーの導入、排熱の地域利用、地域の企業や家庭が再エネ比率の高い電気をえらぶように助言する仕組みの導入。

対策の立案に専門家の知見を生かす―――自治体と地域の専門家。実務者が協力し、省エネの診断、ひも付きでない中立の立場での紹介・アドバイスを実施しできるよう、支援組織の設立。

脱炭素を地域発展につなげる―――地元企業が省エネ対策や再エネ導入で仕事を受注し、雇用が増えるよう協力や支援の体制を整備。

自治体施設・事業での脱炭素計画を重視する―――建物の断熱や省エネ設備の導入、再エネ100%を追求するなど、地域の模範となるような計画を推進します。

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