政府提出の「消費税・支援金法案」に関する質問主意書
2026年10月15日 提出者 田村智子 辰巳孝太郎 畑野君枝 塩川鉄也
政府は九日、「消費税・支援金法案」を閣議決定した。
日本共産党は、一九八九年の消費税創設以来、消費税に一貫して反対してきた。「応能負担・生計費非課税」という税の原則に反する消費税は、廃止することをめざしつつ、当面の緊急対策として、食料品に限定せず、すべての品目で消費税を一律五%に引き下げる恒久的な減税を実施し、フリーランス、小規模事業者を苦しめるインボイスは廃止することを主張してきた。減税財源は、タックス・ザ・リッチ、大企業や大資産家への優遇税制を改めて確保することを提案している。
高市総理は、所信表明の中で今回の法案の目的を「切れ目のない物価高対策として、かつ、中低所得者の皆様の負担を直接軽減するため」と述べている。総理はかねて「食料品消費税率ゼロは私の悲願」と言い「食べるものにも困ることがないようにするのは、国家の品格だ」と述べた。食料品価格は毎年連続して上昇し、この秋も、九月に五千品目、十月には三千品目を超える食料品が値上げされ、国民の負担は耐え難いものになっている。
いま、イラン戦争の影響に加え、異常な円安が進み、生活必需品を含めすべての物価があがっている中、減税の対象を食料品に限定する道理はない。
ところが本法案は、食料品の消費税率を一%へと引き下げる措置を二年間に限ることとしている。
以下質問する。
一 「食料品消費税率ゼロは私の悲願」と言いながら、なぜ二年間に限るのか。いま起きている急激な物価の上昇は二年間で収まると考えているのか。
二 過去五年間の食料品価格は、年平均五・八%で上昇している。そのもとで二年後に消費税率を一%から八%に戻しても、単純に元の税込み価格に戻るわけではない。結果として、家計には計り知れない増税とならざるを得ない。総理は必ず二年間で元に戻すと言明しているが、その際の家計への影響をどう考えているのか。
三 一方で、総理は、消費税減税は二年後に「就業者負担軽減支援金」制度を本格導入するまでの「つなぎ」とも言っている。要するに、「就業者負担軽減支援金」で手当てするので、消費税減税の必要はなくなるということだ。そこで聞くが「就業者負担軽減支援金」を受け取る対象者の所得の下限と上限はいくらと考えているのか。また、下限と上限間で、給付額を逓増し逓減させることとしているが、その始まりと終わりの所得額はいくらと考えているのか。
その結果、対象者は何人と想定しているのか。そして、一人当たりの額はどれくらいと想定しているのか。
四 「就業者負担軽減支援金」制度が本格導入されるまでの二年間は、消費税率一%相当分を「就業者負担軽減支援金」として給付することとしている。その論理で行けば、二年後の支援金の総額は食料品消費税率八%分に相当するとの考えか。
五 消費税率一%相当分を「就業者負担軽減支援金」として配分するのは、高市総理自らが「悲願」としていた「食料品消費税率ゼロ」とつじつまを合わせた結果である。しかしながら、アルバイトなどの低所得の就業者や疾病・障害等により就業が困難な人、年金生活者などは、生活が苦しくてもこの支援金の対象外である。このような対象外の人たちに対しても消費税率一%相当分の支援を検討しているのか。
六 この支援金の対象外となる低所得者等には、二年後、消費税率八%へ戻る際に大増税の負担が直撃することになる。その人たちは総計で何人になると想定しているか。政府は必要な措置について検討を行うとしているが、「就業者負担軽減支援金」の対象者と同額の支援措置を検討しているのか。
七 今回の消費税率引き下げ措置で、農家は、JA特例を受ける場合に売上に含まれる消費税分の収入が減り、仕入れに係る消費税分を自ら負担せざるを得なくなり、手取りがそのまま減ることになる。二〇二六年度産の米価の下落で収入の大幅な減少が見込まれるうえ、肥料や飼料、燃料費の価格高騰で仕入れ額が急増し利益を圧迫している。多くの農家にとっては廃業の危機に直面しかねない問題である。本法案で措置される農家に対する給付制度で、損失額はすべて補填されるのか。また、申請書類の準備などで農家に過大な負担が課されないか。
八 食料品に係る消費税率の引き下げにより、食品事業者や外食産業等の経営にも多大な影響を与える。食料品の税率は内食・中食が一%で外食が十%と差が出るため「外食離れ」が進む懸念が生じる。政府は影響の及ぶ業態などを見極めた上で「的確な支援を講じる」としているが企業が倒産してからでは遅い。給付金も含め影響が及ばないような支援は検討しないのか。
九 総理は所信表明で、「切れ目のない物価高対策を講じてきた」と述べた。しかし、この間の物価高の大きな要因の重要な一つは異常な円安による輸入物価の上昇にある。政府はこの円安に対して手をこまねいているばかりか、「責任ある積極財政」の名のもとに、軍拡と大企業奉仕のために湯水のように財政を投じることで、円の信用を損なわせ、さらなる金利上昇と円安を加速しようとしている。むしろ、アベノミクス以来の放漫財政をやめ、円安リスクを是正すべきではないか。
十 総理は消費税減税の財源について「赤字公債には頼らない」「御心配には及びません」と無責任に答弁するばかりで、具体的に示していない。そのことが、国際金融市場において、日本政府の財政政策に対する不信感を広げる要因となっている。日本経済はいま、アベノミクス前と比較して大企業の純利益は四倍となったが、実質賃金はむしろ下がりつづけ、労働分配率も四十%を下回ってしまった。いまこそ、大企業や富裕層を優遇し続けてきた不公平税制の是正に踏み込んで消費税減税の財源を確保すべきではないか。


