トランスジェンダーをめぐる議論について~個人の尊厳を守りジェンダー平等をめざす立場から

日本共産党ジェンダー平等委員会
2020.10.30
 
2018年ごろ、女子大学へのトランスジェンダー(出生時に割り当てられた性が男性で、性自認が女性の人。トランスジェンダー女性)学生の入学が話題になった時期から、トランスジェンダーと「女性専用スペース」の使用をめぐっての議論が、主としてツイッター上で交わされ、一部論争に発展しています。
 
この問題の背景には、日本社会における様々な遅れ――性暴力被害者の心情に寄り添い性暴力をなくす取り組みの遅れ、女性や性的マイノリティが恐怖心なく安全に生きられる環境整備の遅れ、国際水準に基づいて女性やトランスジェンダーの人権を保障していく取り組みの遅れなど――が横たわっており、この間の議論には、現状に対する多様な当事者の苦痛の深さがあらわれています。
 
その根源にあるのは、政治的社会的に形成された日本社会の非常に厳しいジェンダー規範です。構造的な性差別のもとで、性暴力が温存され、多くの性的マイノリティが排除・分断されてきました。こうした構造を、被害の実態把握に基づいてひとつひとつ変革し、多様な性のあり方の尊重と性暴力の根絶を両立させる社会を実現していくことが、当事者の苦痛を軽減していくうえでも必要です。
 
日本共産党は、党綱領に、以下のように明記しています。
 
“ジェンダー平等社会をつくる。男女の平等、同権をあらゆる分野で擁護し、保障する。女性の独立した人格を尊重し、女性の社会的、法的な地位を高める。女性の社会的進出・貢献を妨げている障害を取り除く。性的指向と性自認を理由とする差別をなくす。”
 
ジェンダー平等を掲げた政党として、この問題でも建設的な議論を続け、ともに具体的課題の解決に向けて力を合わせ、共通の目標へ向かって手を携えていけるよう、歩みを進めていきたいと思います。
 
以上
 

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