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2026年11月5日

改定綱領案・未来社会論で熱い討論--韓国・ソウル

志位議長 大いに語る

 【ソウル=遠藤誠二】韓国・ソウルを訪問中の日本共産党の志位和夫議長は3日、韓国国会議員会館で開かれた公開講演会で、「21世紀における社会主義の展望 日本共産党の理論と実践」をテーマに、1時間にわたり講演しました。その後、社会主義は何をめざすべきか、社会変革の道筋、日本共産党改定綱領案、国際連帯などについて韓国の学者や学生、運動家と活発で熱い議論を2時間以上にわたり交わしました。(講演全文)


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(写真)国会議員会館内で開かれた公開講演会で講演する志位議長(正面奥右から4人目)と丁教授(同右端)=3日、ソウル市内

 志位議長の訪韓は9回目ですが、社会主義をテーマに講演するのは初めて。主催は慶尚国立大学校韓国社会科学研究所(SSKクラスター、キム・ドクミン代表)と仁川(インチョン)国立大ポスト産業社会研究所(梁峻豪〈ヤン・ジュノ〉所長)、閔洪喆(ミン・ホンチョル)国会議員事務所(「共に民主党」所属)。国会議員会館の会議場には大学教授や労働組合幹部、大学生らが集まりました。

 講演会では丁声鎭(チョン・ソンジン)慶尚(キョンサン)国立大教授と梁所長があいさつ。両氏は、「日本共産党はOECD(経済協力開発機構)加盟国では最大規模の党員を抱える共産党で、地方議員が2200人を超える、地域に根ざした政党」と紹介。丁氏は「志位議長が、最近の著作『自由な時間と資本論』において、自由と『自由時間』がマルクスのポスト資本主義思想において核心的であることを示し、これを21世紀の社会主義の土台として具体化している作業に大きく共感します」と表明しました。梁氏は、日本共産党が「高度な理論学習と、地域社会に深く根ざした地道で綿密な政治活動を同時に追求している」ことに深い感銘を受けていると述べました。

 講演で志位氏は、主催者と参加者に感謝を表明。▽現代資本主義の限界▽社会主義の構想▽社会主義への道筋―について、日本共産党の綱領一部改定案を巡る議論を交えながら縦横に語りました。

 現代資本主義の限界について志位氏は、(1)貧富の格差拡大(2)気候危機(3)AI(人工知能)への対応―の三つの問題について、具体的な数字を挙げながら話を進めました。このなかで、世界中から富を吸い上げ貧富の格差を加速させている巨大テック企業への民主的な規制、気候危機を不可逆的な臨界点を超える前に抑制する国際的取り組み、AIの深刻なリスクを回避し、技術的恩恵をすべての人々のものとする社会的ルールづくりの必要性を説きました。

 志位氏は「これらの問題は、資本主義というシステムに人類の未来を委ねていいのかという問いを深刻な形で突きつけています」と指摘し、「世界でマルクス・ブームが起こっています」「それは、資本主義社会に代わる社会システムの可能性をマルクスの思想と理論のなかに見いだそうとしているものにほかなりません」と強調しました。

 「社会主義の構想」について志位氏は、今回の党綱領一部改定案では「人間の自由」の全面的な開花を最大の特徴・目的として打ち出したとして、「人間の自由」について二つの角度―(1)利潤第一主義からの自由(2)「各個人の自由で全面的な発展」―について、マルクスの文献を引用しながら説明。改定綱領案では「生産手段の社会化」を「人間の自由」を実現するための「条件であり手段」として位置づけたことを紹介しました。さらに、綱領一部改定案は、旧ソ連流の社会主義論を全面的に清算、決別した意義をもつものだと強調しました。

 「社会主義の道筋」については、▽異常なアメリカいいなり▽財界・大企業中心という日本政治の「二つのゆがみ」をただす民主主義革命に取り組み、それをやりとげたうえで国民多数の合意で社会主義的変革の道に進むビジョンを語りました。

 志位氏は最後に、民主的改革のための多数派を結集しながら、未来社会の魅力を語り対話を広げる活動に取り組んでいる日本共産党の方針を紹介。社会主義をめざす運動の国際連帯の必要性を説き、マルクス主義の理論交流を進めていくと抱負を語りました。

質問と疑問に丁寧に回答――今日を出発点に交流の強化を

 講演会後半は、討論者、会場参加者との質疑応答となりました。

 討論者の一人、緑の党のイ・サンヒョン氏は、韓国の緑の党は資本主義をこえることを目標としており、「人間の自由」の概念を全面に打ち出し、エコ社会主義をめざしていると述べ、「日本共産党と連帯していきたい。草の根活動のノウハウを学びたい」と発言。志位氏は、「自由な時間と人間の発展は地球環境を守る上でも一番の要になります。連帯の関係を築いていきましょう」と答えました。

 討論者からは、「指摘された問題は韓国でも広がっており共感します」「問題意識に迫力、重みがあります」などの感想とともに、講演や綱領一部改定案に対するたくさんの質問と疑問が出されました。志位氏は「真剣な問題提起に感謝します」と述べ、一つひとつに丁寧に回答しました。

 「『自由な時間の拡大』は革命的ではないのでは?」―この問いに志位氏は、『資本論』にも書き込まれた記述で、マルクスは、「労働日の制限は労働者解放の先決条件」であると指摘していたことを紹介。「これは革命的な要求です。労働者が知的・精神的能力を発展させ、団結してたたかうためにも自由な時間は必要です」と説明しました。

 「マルクスは資本主義が必然的に崩壊するという立場にたっていたのでは?」―志位氏は、資本主義の「必然的な没落」の根拠をどこに見いだすのかが大事だとして、「資本主義の発展のなかでつくられる未来社会への客観的条件だけでなく、労働者階級の成長・発展という主体的な条件の両方があって社会が変わることを、マルクスは『資本論』で明らかにしました」と回答。討論者は、「主体的条件の強化が必要で、そのために階級闘争が重要だと思う」と応じました。

 「資本主義が労働時間の短縮に貢献したのでは?」―この質問に志位氏は、19世紀のイギリスでの工場立法について、マルクスが「資本家階級と労働者階級の半世紀にわたる内乱」をへて工場法が確立したと強調していることを説明。「労働時間短縮は労働者階級のたたかいでかちとったものです」と強調しました。

 参加者からは、「旧ソ連の崩壊の原因をどうみているのか?」「日本共産党と西欧社会民主主義勢力との違いは?」「日本共産党の段階的発展論は適切か」「世界資本主義の危機を全体として捉えるのか?」「綱領に『必要に応じた分配』が盛り込まれていないのはなぜか」「日米関係をどうみているのか?」「地方の衰退(消滅)、農業政策についての日本共産党の所見・対策は?」「綱領一部改定案はどのように党内論議をしているのか」など多くの質問が出され、志位氏はすべての質問に丁寧に答えました。

 最後に志位氏は、「社会主義を巡る理論交流がアジアで始まったことはうれしいことです。今日は歴史的な一歩です。これからの連帯と交流の発展を心から願います」と締めくくり、大きな拍手を受けました。