日本共産党は18日、党創立104周年記念講演会を党本部と全国をオンラインでつないで開催しました。田村智子委員長が「歴史の岐路 希望の明日を切り開く生き方を」と題して講演し、日本共産党への入党を心から呼び掛けました。冒頭、田村氏は、戦後81年間で世界と日本が歩んできた道がどちらも大きな分かれ道―歴史の岐路にさしかかっていると述べ、「どういう道を選び、切り開くのかが問われる、とても大切な時代を、私たちは生きている。この時代にどう生きるのか、ともに考え合う契機となることを願い、心をこめてお話しします」とあいさつしました。俳優の日色ともゑさん、ニューヨーク在住のライターの佐久間裕美子さん、パリ在住のファッションデザイナーの宮白羊さん、東京大学大学院教授の本田由紀さんがビデオメッセージを寄せました。(関連)
(写真)講演する田村智子委員長=18日、党本部
国連憲章をめぐる岐路
第一は、世界の岐路―国連憲章にもとづく平和の国際秩序をつくる道を歩むのか、それとも形骸化を許してしまうのかという岐路です。田村氏は、トランプ米政権による無法な戦争によって国連憲章に基づく秩序が揺らぐと同時に、トランプ政権の国際的孤立も深まっていると指摘。▽イラン攻撃で「得たもの」は何もなく、自ら孤立と没落を深めた▽核不拡散条約(NPT)再検討会議で、米国をはじめとする核保有国が、条約6条に基づく核軍備撤廃を求める圧倒的多数の国々に包囲された―と語りました。
さらに米国内でのDSA(アメリカ民主的社会主義者)の急速な伸長による変革の動きを指摘。4~5月に行った北米訪問では、日本共産党とDSAの連帯が確認されたと紹介し、「『帝国』の心臓部で、平和と進歩の希望ある流れが力強く発展し、その流れと日本共産党との連帯が始まった。日米の進歩勢力の連帯で、対等・平等・友好の立場にたった、本当の“日米新時代”をつくろう」と呼び掛けました。
こうした世界の動きのもとで、「米国にものが言えない政治」―日米同盟絶対の「思考停止」では、日本は世界から相手にされなくなってしまうと指摘。国連憲章と国際法を軸に平和と核廃絶を求める流れこそが本流だとして、「平和の国際連帯で歴史を前に進める生き方をしよう」と訴えました。
日本国憲法をめぐる岐路
第二は、日本国憲法をめぐる岐路です。田村氏は、高市政権のもと憲法9条にもとづく「平和国家」の原則が次々と壊され、9条そのものの改悪も狙われる、戦後、最も危険な局面だと指摘。同時に、高市政権の「戦争国家づくり」に立ち向かう新しい市民運動が広がっていることは大きな希望だと強調しました。
「大軍拡と憲法改悪を許さない揺るぎない国民多数派をつくることはできるか」と問いかけた田村氏は、国民の圧倒的多数が持っている「戦争はいや」という気持ちから出発し、平和の道を探求する学習と対話の大運動を国民的規模で起こそうと呼び掛けました。
田村氏は、高市政権が中国の「脅威」をあおり「抑止力強化」の主張を繰り返していることを批判し、「軍事的抑止力強化では平和はつくれない」と指摘しました。「安心」を与える外交によってこそ平和はつくれると述べ、憲法9条を生かした外交で戦争の心配のない東アジアを築く「東アジア平和提言」や、中国との関係を前向きに打開する外交を進める日本共産党の立場を力説。「104年前に党をつくって以来、一筋に反戦平和を貫いてきた日本共産党とともに進もう」と呼び掛けました。
暮らしと経済
第三は、暮らしと経済です。田村氏は、「失われた30年」といわれる長期の経済低迷のもと、高市政権が「これまでにない無謀で危険な道に踏み出そうとしている」と強調しました。来週発表予定の「骨太の方針」について、「成長戦略」と称して「AI(人工知能)・半導体」「軍需産業」など17分野に370兆円もの投資を行う「前代未聞のバラマキだ」と告発。大企業を優遇すれば経済が成長するという「トリクルダウン」政策では、「富の一極集中」が進んだだけだったと指摘し、「失敗が明らかになった道を、さらに速度を上げて暴走しようというのか」と厳しく批判しました。
経済政策の大変質が狙われている―。田村氏は、高市政権が「防衛と経済の好循環」と称し、軍事で経済成長をめざす「軍事経済化」にかじを切っていると指摘。「戦争と軍事的緊張が続かないと成長できない国に堕落する。憲法9条を持つ国に最もふさわしくない『戦争待望国家』になる」と述べ、「このような『落ちぶれた国』にさせないために力を合わせよう」と呼び掛けました。
高市政権の「成長戦略」と「軍事経済化」に対しては、「骨太の方針」骨子が発表されただけで、約30年ぶりの長期金利の高水準、40年ぶりの異常円安となる「骨太ショック」が起こり、市場から「赤信号」が示されていると警告。暮らしと経済に希望を開く道は、「富の一極集中」に切り込むことだとして、「タックス・ザ・リッチ(大企業と超富裕層への課税)」で、働く人が生み出す富を働く人と国民の手に回そうと力を込めました。
資本主義を乗り越えた未来社会
第四は、資本主義というシステムをこのまま続けていいのか、それを乗り越えた未来社会をめざすのか、「人類史的」な岐路です。田村氏は、貧富の格差拡大や気候危機など、資本主義の矛盾が「人類の生存の自由」さえ脅かしているもとで、資本主義を乗り越えた未来社会への展望を多くの人々が模索していると語りました。
第29回党大会で「『人間の自由』こそ、社会主義・共産主義の目的であり、最大の特質である」と解明し、それから2年半、大会決定の実践として取り組まれた志位和夫議長による「青本」(『Q&A 共産主義と自由』)、「赤本」(『Q&A いま「資本論」がおもしろい』)、「緑本」(『自由な時間と「資本論」』)が、未来社会への展望を豊かに広げる力となっており、「とくに『自由な時間』―『自由に処分できる時間』を軸としたマルクスの未来社会論に光をあてた探究は、未来社会の豊かさを、多くの人々が日常の生活のなかで体験しているさまざまな苦しみを解決することと一体につかむ力を発揮している」と強調。また、「自由な時間」がジェンダー平等や気候危機、AIなど、現代の課題をどう解決するかの手掛かりとなることが、この間の国際的な理論交流で深められていることは重要だと述べました。
全国で8000を超える支部が『赤本』『青本』の学習に取り組んでいると紹介し、社会の発展の法則を明らかにした科学的社会主義の古典を学ぶことは、人生の羅針盤を得ることになり、人生を生きるかいのあるものとするとの確信を述べて、日本での民主主義の改革をやり遂げ、さらに未来社会への道を切り開こうと呼び掛けました。
最後に、田村氏は、委員長となって2年半の苦闘と、その中でも党の前進への可能性・条件を切り開いてきたと述べ、第30回党大会にむけて党勢の後退から前進への歴史的転換を果たす決意を表明。「党創立から104年、私たちの先輩は、どんな困難なもとでも、社会進歩の羅針盤を持ち、国民の多数を結集しようと粘り強い、奮闘、たたかいを紡いできました」「ともに時代を前に進める生き方をしよう。日本共産党への入党を心から呼び掛けます」と訴えました。

