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2026年5月17日

核兵器廃絶・日米進歩勢力の連帯・理論交流―北米を訪問して

大学人と共産党つどい 志位議長が報告

 日本共産党の志位和夫議長は16日、党本部で開かれた「大学人と日本共産党のつどい」で講演し、「核兵器廃絶、日米進歩勢力の連帯、理論交流―北米を訪問して」と題して、米国・カナダ訪問(4月23日~5月6日)の報告を行い、現地でのエピソードもまじえながら熱く語りました。インターネットでライブ配信され、全国で約5000人が視聴しました。浜矩子・同志社大名誉教授が開会あいさつ(ビデオ)し、萩原伸次郎・横浜国立大名誉教授がコメントを寄せました。(関連)


NPT再検討会議の成功に向けた活動

写真

(写真)講演をする志位和夫議長=16日、党本部

 講演で志位氏は、今回の訪米は、(1)NPT再検討会議が、「核兵器のない世界」にむけて積極的成果をおさめるよう働きかける(2)アメリカ民主的社会主義者(DSA)をはじめ米国の左翼・進歩勢力と本格的な連帯の関係を築く(3)党の理論活動―とくに自由論の発展を踏まえた理論交流―の三つの活動目標があったことを紹介。いずれも「重要な成果をあげることができたと思う」と述べました。

 志位氏はまず、NPT再検討会議の成功にむけ、会議主催者、国連担当者、各国政府に要請文を持って働きかけた活動を紹介。要請文は、NPT体制が深刻な危機にある中、すべての締約国が受け入れ可能でかつ積極的意義をもつ内容との観点から4点(別項)にまとめたと説明。とくに、核保有国にNPT第6条の履行を強く求めることに力点を置いたと語りました。

 要請は積極的に受けとめられ、「四つのポイントはすべて大多数の締約国がその方向で前進をめざしたい、同じ方向だ」(再検討会議議長、ビエット・ベトナム大使)、「指摘されたポイントは再検討会議のハート(核心)の部分」(同会議第1委員長、クマー・ガーナ大使)、「まったく同じようなものを考えています」(中満泉・国連事務次長)―など、会議の当事者の思いにかみあったものになったと報告しました。

 志位氏は、再検討会議の議論では、(1)核保有国にNPT第6条の履行を迫り具体的行動を求める(2)「核抑止」を安全保障に不可欠なものとする(3)核兵器の「透明性」を高める、「核リスクの低減」が先決―の三つの流れが見えてきたと指摘。核保有国による第6条の不履行に対する批判が多くの非核保有国からあがったとして、その履行を迫るかどうかが最大の対決点だと強調しました。

 会議2週目に示された成果文書の第1草案を巡り、志位氏は党要請文の内容を全面的に反映したものとなったと報告。「すべての締約国がこの方向でコンセンサスをつくり成果文書を発出するよう強く要請する」と述べました。

 志位氏は、再検討会議の行方は予断を持っていえないものの、間違いなくいえる点として、▽党の要請が会議主催者、国連担当者の努力方向と一致し、世界の圧倒的多数の声に立ったものであることが明らかになったが、ここには党の野党外交の力が示されている▽国際政治の表面だけをみれば、トランプ政権などの無法な戦争が横行し「法の支配」は崩壊したように見えるが、深部をとらえれば再検討会議の経過が示すように理性の声が圧倒的多数だ。植民地体制の崩壊と100を超える主権国家の成立という党綱領が示した世界の構造変化の力が働いている―ことをあげました。

 その上で「核兵器問題でも前進をつくり逆行を許さない最大の力となっているのは各国の草の根からの市民社会の力。ここに確信をもって『核兵器のない世界』をつくるために力をつくそう」とよびかけました。

米国、左翼・進歩勢力との交流・連帯

 代表団は米国で、アメリカ民主的社会主義者(DSA)など左翼・進歩勢力と会談し、公式に連帯の関係を築きました。志位氏は、「きわめて大きな意義をもつ、訪問の重要な成果になった」と強調。昨年秋のニューヨーク市長選でマムダニ市長を誕生させたDSA指導部と会談したことを報告しました。

 志位氏はDSAとの会談で、マムダニ氏勝利に祝意を示すとともに、「日米の左翼・進歩勢力が、今日を出発点にして連帯を公的に確認し、双方が一致点で協力し、学びあう機会になれば、大変に素晴らしい」とあいさつ。DSAは指導部から、東京・清瀬市長選勝利に祝意を示した上で、沖縄の基地問題、核兵器廃絶に向けた運動、米軍の海外基地の閉鎖・縮小などに加え、高い家賃の改善、無料保育、富裕層への課税(タックス・ザ・リッチ)などについてDSA側の参加者全員が積極的に発言したと紹介しました。

 志位氏は、外国の米軍基地撤去など、アメリカ帝国主義をやめさせる根本問題が強調されたことは「大きな驚きだった」と語り、「DSAが政権につけば日本の米軍基地全面撤去への道が開かれる、『アメリカ帝国主義を終わらせる』革命的な変革につながる」と述べました。

 その上で、(1)トランプ政権による無法な戦争に力をあわせて反対し、国連憲章に基づく平和の秩序をつくる(2)日米で進行している大軍拡に反対する(3)在日米軍基地を撤去させ、対等・平等・友好の日米関係をつくる(4)「核兵器のない世界」の実現、核兵器禁止条約を広げる―という四つの課題での双方の連帯を具体化することを確認し、双方の活動内容、理論・学習活動の交流でも一致したと説明しました。

 志位氏は、全米第3の都市圏・シカゴでのDSA支部との懇談についても報告。DSAは、ストリート対話や全戸訪問とともに公園などにテーブルを置いて市民と対話する「テーブリング・オペレーション」を加えた三つを戦略的に行っていると説明。『資本論』学習会も2週間に1度行っていると紹介しました。

 100年以上の歴史をもつ日本共産党から学びたいと参加したDSAメンバーからは、「科学的社会主義の立場とは」との質問が出され、志位氏が、旧ソ連からの干渉とたたかってきた党の歴史を語り、ソ連共産党解散時には「もろ手を挙げて歓迎」との声明を出したことを話すと、大きな歓声が沸き起こったことも紹介しました。

 ニューヨークでもたれた左翼誌『ジャコバン』幹部との懇談では、同誌と「しんぶん赤旗」との協力関係をつくることで合意したと報告。マルクス、エンゲルスが追求してきた「自由な時間」などで議論が盛り上がり、「ディスポーザブル(自由に処分できる)タイムに乾杯」と意気投合しました。

 また、アメリカ共産党(CPUSA)のシムズ共同議長と会談し、両党関係の強化を確認したことを報告しました。

 志位氏は、(1)世界最大の帝国主義、資本主義の「総本山」とみなされる国で、「社会主義」を公然と掲げる勢力が、ニューヨーク市長を獲得するほどの躍進を遂げている意義は大きい(2)アメリカの左翼・進歩勢力との本格的な協力関係をつくったのは日本共産党の歴史でも初めてだ―と指摘。党綱領路線の実現―対等、平等、友好の日米関係をつくることを展望してもきわめて大きな意義があると強調しました。

科学的社会主義の理論交流について

 志位氏は、アメリカ、カナダ両国での、科学的社会主義についての理論交流について報告しました。

 シカゴでは、アンドリュー・ハートマン、イリノイ州立大学教授と対談。志位氏の英語版『自由に処分できる時間と「資本論」』、ハートマン氏の『カール・マルクス・イン・アメリカ』の著書をもとに多岐にわたる問題で語り合いました。

 志位氏は、ハートマン氏の著書について、アメリカで、マルクスが150年にわたり読みつがれ、受容され、影響力を与えていることを、「無数の歴史的事実を丁寧に紡ぐように叙述している」と評価。近日中に日本語版が発売されることにふれ、「日本人にアメリカに対する新しい見方を提供するものだ」と指摘しました。

 また、自著の英訳本のなかで「自由に処分できる時間こそが真の富」だという考え方をマルクスが未来社会論にすえていたと指摘したことについて、ハートマン氏が、「まったく同意します」と述べたことを紹介。「核心部分で見解の一致をみたのは大変、うれしいことだった」と感想を語りました。

 志位氏らはシカゴで、シカゴ大のノーマ・フィールド名誉教授らと懇談したことも報告しました。

 カナダ・トロントのヨーク大では、今年の「しんぶん赤旗」新春対談に登場した、マルチェロ・ムスト同大教授が企画した討論企画「今日の日本の左翼、マルクスの『資本論』に帰る」で発言したことを報告。案内ポスターが学内に数多く張り出され、教授、研究者、社会活動家、学生、ジャーナリストなど多彩な顔触れが予想を超えて参加したことを紹介しました。

 ムスト氏はスライドを使って代表団の活動や日本共産党について紹介。第1部の質疑応答では、「軍拡への政治シフトの現状は?」「日本政府は右にシフトし、トランプは国際法を順守しないなか、日本共産党の戦略は?」などの参加者の質問に、志位氏は丁寧に答えました。第2部は、「自由に処分できる時間と未来社会論」と題し、志位氏が英語で講演。マルクスが、「人間の自由で全面的な発展」を未来社会の最大の特徴・目標に据えたこと、その保障を、資本主義的な搾取をなくすことで、各人が「自由に処分できる時間」をもつことに求めたことを『資本論』『資本論草稿集』などの理論的足跡に沿って話しました。講演に対しても、多くの質問が寄せられたことを紹介しました。

 志位氏は、今回の理論交流は、「『自由に処分できる時間』を軸にすえた未来社会論が、世界でも共感を広げる生命力をもっていることを確信させるものとなった」と指摘。マルクスの理論はインターナショナルな力をもっており、国際的な理論交流を強めることは党の理論を豊かにし、世界の運動の貢献にもなりうるとして、「さらに発展させたい」と抱負を語りました。

 最後に志位氏は、訪問で感じたこととして、日本共産党の綱領路線が、世界論でも、民主主義革命の路線でも、未来社会論でも、21世紀の世界で生命力を発揮していると強調。このことに「確信をもって強く大きな党をつくろう」と訴えました。

 講演後、参加者の質問に志位氏が答え、活発な質疑となりました。

NPT再検討会議への要請文

1、すべての締約国が、「国際連合憲章に従い、武力による威嚇又は武力の行使を慎むこと」(NPT前文)、誰によるものであれ国連憲章に反する行動に反対することを表明し、順守する。

2、すべての締約国が、「核兵器の使用または使用の威嚇を行わない保証を非核兵器国に与える」(2010年再検討会議)ことを再確認し、具体化・履行す

る。

3、NPT第6条の履行の停滞、後退を打開するために、これまでの再検討会議で確認された次の諸点を、再確認し、具体化・履行する。

 ――「核兵器の全面廃絶に対する核兵器国の明確な約束」(2000年再検討会議)。

 ――「核兵器の使用による破局的な人道上の結果に関する深い懸念の表明」(2010年再検討会議)。

 ――「核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するための特別な取り組みを行う」(2010年再検討会議)。

4、中東を非核・非大量破壊兵器地帯にする1995年の再検討会議の決議を再確認し、具体化・履行する。