日本民主青年同盟(民青)は11日、日本共産党の志位和夫議長を講師に、「Q&A 戦争への道をどう止め 平和をどうつくるか」と題した学習会を開催しました。党本部から全国に中継し、ユーチューブの同時接続数は2805件に達しました。今回の学習会は、「改憲・大軍拡を許さない運動をつくりたい」という民青の要望を受けて開催。民青の酒巻眞世副委員長と小泉伊知郎常任委員が、青年との対話の中で出された疑問や質問を踏まえて質問し、志位氏が縦横に答えました。(関連記事)
(写真)質問に答える志位和夫議長=11日、党本部
冒頭、志位氏は、「日本は大きな分かれ道に立っている」と指摘。戦争への歯止めとなっていた「平和国家」の原則が壊され、「戦争する国家づくり」という点で戦後、最も危ないところまで来ている一方、全国各地で平和を求める新しい国民運動が始まっていると指摘。広範な市民がSNSの告知を見て自主的に参加しており、「2015年の安保法制反対の運動のような新しい市民運動が起こりつつあり、ここに大きな希望があります」と述べました。
志位氏は「日本はいま『危険と希望が交錯する歴史的岐路』に立っています。一人ひとりの国民・若者の行動に未来はかかっています」と強調。憲法や軍事費の問題で意見が違ったとき、相手の考えを頭ごなしに否定するのではなく、「『戦争はいや』という思いから出発して戦争をどう止められるのか一緒に考える対話と学習が大切です」と訴え、四つの角度から話しました。
■第1の角度「トランプ大統領言いなりで平和はつくれるのか?」
志位氏は、米とイスラエル、イランによる「2週間の停戦」合意にふれ、「重要な一歩前進だ」とした上で「恒久的な戦争終結につなげるために『無法なイラン攻撃反対』の声をさらに強めよう」と語りました。
米・イスラエルによるイラン攻撃は国連憲章と国際法に違反する暴挙であり、170人を超す米国の国際法専門家の共同書簡(2日)でも、軍事作戦の開始は「国連憲章の明確な違反」で、小学校への攻撃などは「戦争犯罪になりうる」と糾弾していると紹介。NATO(北大西洋条約機構)加盟国をはじめ各国から批判が集中し、孤立が深まっており、「世界はトランプ大統領の『力による支配』に屈していません」と強調しました。
高市早苗首相が日米首脳会談で「世界中に平和と繁栄をもたらしているのはドナルドだけだ」と表明したのは「恥ずべき従属外交」だと指摘。在日米軍基地がイラン攻撃の出撃拠点となっている事実を示し、「日本政府は欧州諸国のように、米軍基地の使用を拒否すべきです」と訴えました。
志位氏は、イランのセアダット駐日大使との懇談(3月30日)で、(1)米国が対イラン攻撃を停止する(2)米国がイランを再び攻撃しないと保証する―の二つの前提があれば交渉を進められることを確認し、それを踏まえて田村智子委員長が高市首相に申し入れたことを紹介。「恒久的な戦争終結の実現につなげるため、日本政府に対し、積極的役割を発揮するよう引き続き要求していく」と強調しました。
志位氏は、「日米同盟が基軸」という表現は21世紀に入ってから使われたと指摘。韓国、豪州、欧州のどの国も米国との軍事同盟を「基軸」などとはしておらず、「『日米同盟』と聞くと思考停止に陥るのは日本だけです」と述べ、自主自立の外交への転換を訴えました。
■第2の角度「軍事的抑止力の強化で平和はつくれるか?」
志位氏は、「抑止力」の欺まんを徹底的に明らかにしました。
第1に「抑止力強化」は軍拡競争を招き戦争のリスクを高めることです。志位氏は、国連事務総長の昨年9月の報告書や、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)所長のインタビューを挙げ、軍事費の増額は武力紛争のリスクを高めると指摘したと紹介。150年間のデータに基づくカナダ・ブリティッシュコロンビア大学のマイケル・D・ウォレス教授の研究(1979年)では、軍拡競争をした場合に82%の確率で戦争につながったことが明らかになり、その後の研究でもウォレス氏の研究結果が「データによって支持される」と結論づけられていることを紹介しました。
第2に、「安保3文書」に基づく「日米同盟の抑止力」の危険性です。ミサイル防衛と敵基地攻撃を一体にした「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」について、ジョン・プラム米国防次官補(当時)が2024年4月に、安価なドローンを高価なミサイルで撃ち落とす費用対効果の悪さ=「落とし穴」を回避するため、“敵が発射する前の発射(先制攻撃)を重視する”と発言したと指摘。「米軍の指揮統制下に置かれた自衛隊も一緒に無法な先制攻撃を行う危険があります」と告発しました。
第3に「抑止力強化」の大軍拡は、暮らしの予算の大削減か、大増税、国債大増発による財政破綻に進むしかなく「絶対に両立しない」と強調しました。
第4に、政府は必ず、「抑止が破れた場合」(国家防衛戦略)を想定して戦争準備をしていると指摘。「継戦能力強化」や「自衛隊基地強靱(きょうじん)化」、「自衛隊員葬式準備」、「住民避難計画」などをあげました。
第5に、この議論が、核保有国を「抑止」するには、日本も核兵器に頼るという議論(「核抑止」論)にいきつくとしたうえで、核兵器禁止条約をあげ、「核抑止」論を乗り越える新しい流れが世界で生まれていると紹介しました。
志位氏は「『抑止力強化』こそ平和をつくるというのは大ウソです。相手に『恐怖』ではなく『安心』を与える外交が必要であり、憲法9条を持つ国として、軍縮に切り替えようとイニシアチブを発揮すべきです」と訴えました。東南アジア諸国連合(ASEAN)が進めている(1)“対話の習慣”を育む(2)「ASEANの中心性」―自主独立と中立の重視(3)平和協力の流れを域外に広げる努力―にふれ、「対話と包摂で平和をつくることこそ、日本と東アジアに平和をつくる一番確かな道です」と強調しました。
■第3の角度「中国との関係をどうするか?」
志位氏は、日中関係悪化の直接的な原因は、「台湾有事は存立危機事態になり得る」という高市早苗首相の答弁だと指摘。憲法に反し、日中国交正常化の土台となった1972年の日中共同声明の合意を壊すもので「発言を撤回し、両国間の一連の合意文書の再確認が必要です」と語りました。
「中国は脅威」という議論をどう見るかと問われた志位氏は、「互いに脅威とならない」という日中首脳合意を、日中両国が実行することが重要だと強調。日本は敵基地攻撃能力の保有など大軍拡をやめ、中国は東シナ海などでの力を背景にした現状変更の動きをやめるべきだとし、「『互いに脅威にならない』という原則の実行が、友好と協力の関係をつくるうえで要の問題です」と訴えました。
志位氏は、“対話の習慣”を北東アジアでつくることが重要だと指摘。その第一歩として「日中韓サミット」の発展を提案しました。その上で日中韓、米国、ロシア、北朝鮮の6カ国による平和の枠組みを追求することを訴えました。
■第4の角度「憲法9条を守り、生かすことがどうして大切か?」
志位氏は、「憲法とは何か」を議論することの重要性を強調。とりわけ9条で(1)武力による威嚇、武力行使の放棄(2)戦力不保持(3)交戦権の否認―を明記し、「ここまで恒久平和主義を徹底したのは日本国憲法しかない」と指摘しました。
志位氏は、9条には、(1)再び戦争国家にならない(2)「戦争のない世界」をつくるという理想を世界に先駆けて実行する―という二つの決意が込められていると指摘。憲法成立後、日本は戦争に直接参戦したことは一度もなく、自衛隊は1人の外国人も殺さず、1人の戦死者も出していないとして、9条は「国民の命、自衛隊員の命、そして相手国の命を守る盾となって働いてきました」と訴えました。
さらに、憲法前文で平和的生存権を規定していることの意義を強調。敵基地攻撃ミサイルの配備で報復攻撃の危険にさらされている現実に対して、住民が「平和的生存権」を行使して声をあげる権利があると主張しました。
志位氏は、「9条に自衛隊を書き込む」という改定案の危険性を告発。自衛隊の海外での武力行使が無制限に行われることになると指摘し、「1人の戦死者も出さないという自衛隊の歴史が終わってしまう。『平和国家』から『戦争国家』への大変質を絶対に許してはなりません」と力を込めました。
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「どうすれば戦争を止め、平和がつくれるか」―こう問いかけた志位氏は、「バラバラではなく、力を合わせることが大切です。どんな困難な情勢でも、揺るがず平和の立場を貫く確かな組織を大きくすることが必要です」と述べ、党をつくって104年、反戦・平和を貫いてきた日本共産党への入党、ともに反戦・平和を貫いてきた共産青年同盟の流れをくむ民青への加盟を訴えました。
志位議長の講演後、会場とオンライン双方の参加者から、「さまざまな角度から、平和をつくる展望が学べた」「憲法に込められた意味が勉強になった」「憲法9条が平和を守るために大きな役割を果たしてきたことがよく分かった」「抑止力論についてまとまった反論が聞けた」「戦争の道か平和を回復し広げるのかの岐路にあることが分かった」等の感想が寄せられました。

