高市早苗内閣は26日、2026年度政府予算案と「税制改正大綱」を閣議決定しました。高市内閣にとっては初めての予算編成です。7月の参院選で当時の自民・公明与党は過半数割れとなりました。消費税減税を求める政党が多数を占めたのにもかかわらず、その要求に背を向け、軍拡と大企業優遇を続けます。一方、社会保障など国民生活を支える予算は抑制する「逆立ち予算」です。日本共産党の小池晃書記局長は同日、談話を発表しました。
26年度政府予算案の一般会計総額は122兆3092億円で過去最大を更新しました。120兆円を超えるのは初めてです。国債費は6年連続で過去最大を更新し、31兆2758億円と初めて30兆円を超えました。失政による金利上昇を受け、想定金利を25年度の2・0%から3・0%に引き上げるためです。
26年度の予算編成では物価高騰を受け、概算要求段階で各省庁の政策判断で使用できる裁量的経費について、前年度当初予算から1割削減することを前提としてきたこれまでの基準を改め、「前年度当初予算に相当する額」を要求できるとしました。それにもかかわらず「予算全体のメリハリ付け」などとして暮らし関連予算を削減しています。
社会保障関係費は25年度当初予算比7621億円増となる39兆559億円でした。概算要求時には4000億円と見積もっていた自然増を、▽高額療養費制度の負担額を引き上げる▽OTC(市販)類似薬の保険給付はずし―などの制度改悪で1500億円も圧縮しました。文教予算では教員不足が深刻になっているのに、公立小中学校の教員定数を2548人も削減します。
一方で軍事費は突出して増やし、過去最大の9兆353億円を計上しました。米国の対中国戦略に基づき、日米の軍事一体化を狙い、長射程ミサイルや小型無人機(ドローン)を大量取得します。
内閣官房は情報収集衛星等の開発・運用として622億2600万円を計上。内閣府は準天頂衛星システムの開発・整備・運用の推進として169億600万円を盛り込みました。
大企業優遇も目立ちます。経済産業省はAI(人工知能)・半導体への支援に1兆2390億円を計上しました。次世代半導体の量産化に向け、ラピダスを念頭に1500億円を出資することなどが盛り込まれています。GX(脱炭素)を口実に、次世代革新炉の技術開発などの支援に25年度比331億円増の1220億円を盛り込むなど、原発推進にも固執しています。
米トランプ政権との関税交渉のなかで押しつけられた5500億ドルの対米投融資への対応として、日本貿易保険に1兆7800億円の交付国債を投じます。民間投資のリスクを国民に押しつけることになります。
「税制改正大綱」では軍拡財源として、防衛特別所得税(仮称)を創設し、27年1月から徴収するとしました。「大胆な投資促進税制」を創設し、大企業などに平年度4100億円もの減税の恩恵を与えます。所得税の課税最低限を現行の160万円から178万円に引き上げます。ただ、参院選で国民要求が強かった消費税減税には触れていません。

