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2025年12月25日

医療危機打開の願い遠く

診療報酬2.22%増 介護も2.03%
12年ぶりプラス

 上野賢一郎厚生労働相と片山さつき財務相は24日、2026年度の診療報酬を全体で2・22%増とすることを決定しました。診療報酬全体の引き上げは14年度の消費税増税対応のプラス改定以来12年ぶり。一方、物価高騰や人件費の上昇を理由に医療団体は10%の引き上げを求めており、大きく乖離(かいり)しています。また臨時に介護報酬を2・03%、障害福祉サービス等報酬を1・84%引き上げます。(関連記事


 診療報酬は病院・診療所・薬局などが提供する医療サービスに支払われる公定価格で、原則2年に1回改定。医療機関の人件費や設備関係費に充てる「本体」部分と、医薬品の価格の「薬価」で構成されます。

 本体部分の引き上げは3・09%で、24年度の前回改定の0・88%を上回りました。3%台の引き上げは96年度以来30年ぶりです。

 一方、薬価は市場価格が公定価格を下回っていることから0・87%引き下げます。そのため診療報酬全体は2・22%のプラス改定となります。

 医療機関は、本業の医療サービスの収支(医業収益)で病院の7割、診療所の4割が赤字で、深刻な経営難に陥っています。診療報酬を審議する中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)では、医療機関側の委員が、医療機関の閉院・倒産が過去最悪のペースで「異常事態」だと警告。医療人材の他産業への流出も起きていると述べ、地域の医療提供体制をこれ以上崩壊させないために診療報酬の「大幅なプラス改定」を求めていました。

 日本医療労働組合連合会は「本体」部分の改定が3・09%と「微増」にとどまったことに対し、「医療現場の奮闘を顧みない政府の姿勢に強く抗議する」との声明を出しています。