政府は24日、2026年度の臨時改定で、介護保険サービス事業者に支払われる介護報酬を2・03%、障害福祉サービス等報酬を1・84%引き上げることを決めました。
両報酬は、本来3年に1回の改定で、次回は27年度の予定でした。医療機関と同様に、長引く物価高や他産業の賃金上昇を踏まえ、職員の処遇改善に関わる部分を前倒しで引き上げる異例の対応をしました。
介護報酬について、前回の24年度改定は全体でプラス1・59%でしたが、訪問介護の基本報酬は2~3%引き下げた結果、訪問介護事業者の倒産件数が過去最多を更新。事業所が「ゼロ」の自治体が急増するなど、地域の介護体制が深刻な危機に陥りました。
今回、1年前倒しで臨時改定するのは、介護保険制度開始以来、初めての措置です。
背景には、介護職の賃金が他産業と比べて著しく低い問題があります。厚労省によると、24年の介護職員の平均月給は全産業平均より月8・3万円も低く、賃金格差は前年よりさらに拡大。介護職員数は制度開始以来、初めて減少に転じています。
この危機を受け、高齢者団体や介護・女性団体などは、厚労省審議会や国会内の院内集会で、訪問介護の基本報酬引き下げ撤回や、利用料に影響しない形での介護報酬全体の底上げ、全額国庫負担による介護職員賃金の「全産業平均」並みへの処遇改善を求め、精力的に運動を展開してきました。

