市販薬と同等の効能があるとされる処方薬(OTC類似薬)を巡り、自民党と日本維新の会は、新たな患者負担増の仕組みをつくることで合意しました。この問題は国民に公開されている政府審議会で議論が継続中。にもかかわらず、頭越しに負担増を押し付けるのは民主主義のルールを踏み外すものです。
自維両党の政調会長が合意したOTC類似薬の患者負担増は、77成分・約1100品目と多岐にわたり、2026年度中に実施するとしています。負担増の仕組みは極めて国民に分かりにくいものになっています。
対象医薬品の価格の4分の1が患者の追加負担となり、さらに、残る4分の3の3割(被用者保険の場合)が健康保険上の自己負担となります。
この場合、例えば、1000円の医薬品(図参照)の患者の追加負担は4分の1の250円。ただ、この追加負担は保険がきかない「自由診療」扱いになるため、消費税10%分の25円が上乗せされ、計275円が患者負担となります。
これに健保上の自己負担分(残り4分の3=750円の3割、225円)が加わります。結局、合計500円が患者負担となり、現行の3割負担300円に比べ約1・7倍もの負担になります。
OTC類似薬の患者負担については、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で審議が続いています。
同部会では、OTC類似薬の保険除外を主張する保険者と財界側、保険継続を求める医療関係者側で意見が割れていました。11月20日に患者団体からのヒアリングがあり、発言した4人全員が保険除外に反対・慎重意見を表明。その後、同部会は保険継続で意見が一致しました。患者に追加負担を求める声も一部の委員から出ましたが結論は出ていません。
同部会は、YouTubeで中継され、詳細な関連資料も厚労省のホームページで公開。後日、議事録も開示され国民の検証が可能です。
一方、19日に開かれた自維両党の政調会長間合意は非公開。国民が知ることができるのはメディアのぶら下がり取材にもとづく報道のみで、国民の検証が不可能なところで患者負担増をごり押ししました。
こうした手法には患者・医療団体から撤回を求める声が出ています。(参照)

