日本共産党の山添拓政策委員長は21日、NHK「日曜討論」に出演し、各党の安全保障政策責任者と議論を交わしました。各党から「抑止力強化」だとして軍拡ありきの主張が相次ぐなか、山添氏は「際限のない軍拡競争になる。その行き着く先が政府高官の『核保有』発言だ」と厳しく批判し、軍事一辺倒の転換を求めました。(関連記事)
高市早苗首相が17日の会見で安保3文書の来年中の改定に向け議論を加速させる考えを示したことについて、自民党の小野寺五典安全保障調査会長は、安全保障環境が変化しているとし「戦略を見直すのは大事だ」と強調。日本維新の会の前原誠司安全保障調査会長は、最新技術導入で戦い方が変化したほか、中国が空母3隻体制になり「脅威が高まっている」と述べ、安保3文書改定が必要だと主張しました。
山添氏は、政府が主体的判断で軍事力を強化するというが、軍事費増額や敵基地攻撃能力保有、日米司令部機能の統合などは「米側の要求に基づき日米一体の戦争体制づくりとして進められてきた。米軍は先制攻撃まで戦略としており、大変危険だ」と強調。米国が新たな安全保障戦略で日本を名指しし軍事費増額の圧力をかけ、中国抑止戦略を日本に肩代わりさせようとしていると指摘しました。
「新しい戦い方が言われ、抑止力強化が言われるが、これは際限のない軍拡競争になる」と述べ、行き着く先が首相官邸の高官による「核保有発言」だと強調しました。「非核三原則を公然と否定することは唯一の戦争被爆国として絶対に許されない」とし、撤回させ罷免するべきだと主張。小泉進次郎防衛相が非核三原則の見直しについて「あらゆる選択肢を排除せず検討を進めるのは当然だ」と述べたことを挙げ、「たがが外れている。軍事一辺倒を改めるべきだ」と厳しく批判しました。
自民の小野寺氏は「核の議論から何も考えずにいることは政治として無責任だ」などと強弁しました。
「台湾有事」が存立危機事態になり得る、との高市首相答弁をめぐる日中関係について各党が意見を表明しました。「謝罪する必要はない」(前原氏)、「問題ない」(日本保守党の有本香事務総長)などと擁護する発言が出る中、山添氏は、「台湾有事」で米中の交戦になった際、日本が攻撃されていなくても米軍を守るために自衛隊が武力行使するということであり、「中国と戦争するという宣言にほかならない」と指摘。「戦争放棄をうたう憲法に反し、日中双方の国民に大変な被害をもたらしうる極めて危険な発言だ」とし撤回を要求。「互いに脅威とならない」など日中双方の合意を再確認し、関係を再構築する必要があると主張しました。
日本の安全保障に何が必要か問われ、参政党の松田学両院議員総会長は「防衛費は当然増大しなければならない」と述べました。
山添氏は、与党が決めた「軍拡増税」は軍事費GDP(国内総生産)比2%の財源だとし、トランプ米政権が要求するGDP比3・5%になれば「いっそうの負担増、社会保障削減、暮らしへの圧迫となることは間違いない」と指摘。「軍事費を削って暮らしに回し、戦争準備ではなく対話の外交を」と訴えました。

