2005年2月28日(月)「しんぶん赤旗」

偽造カード 銀行が補償の動きも

救済基準あいまい


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 偽造カードや盗難カード不正使用などのカード犯罪対策に金融業界もやっと重い腰を上げ始めました。しかし、金融機関に被害を訴えていた被害者は「まだ銀行からの補償するという連絡はない」とし、申し入れ書に対する回答を待ったうえで、回答がない場合は集団提訴する方針です。

被害者に責任ない場合のみ

 カード犯罪でこれまで補償されたケースは、二百八件中十八件(金融庁調査)。全体の8・7%にとどまっています。

 批判のなかで東京三菱銀行は十五日、偽造キャッシュカードについては、場合によっては補償すると発表。借り入れをされている事例もふまえて「全額補償もありうる」としました。十八日には、三井住友銀行も「犯人検挙の有無にかかわらず」補償することを打ち出しました。他の大手銀行にも同様の動きが見られます。

 しかし、「お客様に責任がないと判断される場合」(三井住友)と、各行とも預金者に責任がない場合に限定しています。この基準はあいまいで、カード犯罪被害者の会の「ひまわり草の会」中林由美江代表は「いつカード情報を取られたか分からない人もいる」と疑問を呈し、「銀行の責任はどう考えているのか」といいます。

 他方、盗難カードについては従来の補償しない姿勢を変えていません。東京三菱は「盗難カードについての補償は今のところ考えていない」といいます。

 自宅においてあったキャッシュカードが盗難に遭い七百万円が引き出された大阪府の女性(51)は、「暗証番号は絶対に分からないものにしていたのに、一回で合わされ下ろされていた。夜中に盗難されて連絡しても銀行が対応できないまま引き出されていた。銀行は暗証番号を管理しろというが、使うたびに暗証番号を変えろというのか」といいます。簡単に破られた銀行のATMシステムに憤りを隠しません。

 銀行側は自身の責任を免責した現行の約款そのものを変更しようとしません。全国銀行協会の西川善文会長も二十二日に行った記者会見で「補償問題は、約款の運用上の取り扱いによって解決できるものが相当数ある」としています。

 「ひまわり草の会」は十八日、申し入れ書を金融機関に送りました。内容は、偽造カードで不正に引き出された預金の返還と、無断で借り出されたお金の債務がないことの確認を求めるもの。記者会見した被害者の一人田中結香さん(41)は「被害者に責任を負わせる銀行の態度に怒りを感じる」と銀行側のこれまでの態度を批判しました。

 田中さんは自身のUFJ銀行のカードは手元に持ったまま、偽造された旧富士銀行のカードで、百十五万円を引き出され、八十万円の借り入れがされました。奪われたのは「一家の生活と、事務所の新設」のためのお金でした。

 会には問い合わせもあいついでいます。中林代表は「全員が補償を勝ち取れるまでやっていく」と話しています。



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