2005年2月28日(月)「しんぶん赤旗」

3年目の盧武鉉政権

“韓国の宿命変えねば”

歴史見直し、対等な対米関係へ


 韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が二十五日、発足から二年を迎えました。盧大統領は同日の国会演説で、昨年三月の野党による弾劾訴追や支持層から強い批判を浴びたイラク派兵に触れて「波瀾(はらん)万丈の二年間だった」と回顧。残された三年間の任期中に「歴史の見直し」や「対等な対米関係」を追求し、社会のいっそうの民主化を進めるという姿勢を明確にしました。

ゆがんだ百年

 盧政権が進める歴史の見直しは、日本の植民地支配による被害、朝鮮(韓国)人自身の植民地支配への協力、韓国政府樹立後の軍事独裁政権による弾圧まで、約百年にわたる全面的なものです。大統領は「真実を明らかにし和解を追求することは、全世界が行っている普遍的な歴史の清算の方法だ」(二十五日の国会演説)と強調します。

 経済政策と行政を私物化する大企業と政治家・政権の癒着、政党の支持基盤が特定地域に偏る「地域主義」、反共主義を制度化した国家保安法、米国に左右される外交政策―。一見ばらばらの問題ですが、大統領は韓国が抱えてきた問題の根源が自国のゆがめられた歴史にあると考えています。

 大統領は昨年八月二十五日、「植民地支配の真相究明だけでなく、(韓国の)国家機関による不法行為、歴史的犯罪も必ず明らかにする」と宣言しました。

 韓国大統領府を担当する韓国メディアの記者は、「植民地支配に協力した『親日』勢力は、解放後に米国の支持を受けた李承晩(イ・スンマン)右派政権の要職を占めた。『ご主人』を日本から米国に変え、南北分断と朝鮮戦争をへて韓国で米国の反共政策の先頭に立った。この構図は朴正熙(パク・チョンヒ)軍事独裁政権に続き、『親日』勢力は反共勢力に受け継がれ、民主主義の欠如は不正腐敗がまん延する社会をつくりあげた」と説明します。

 民主化勢力と軍政勢力がそれぞれの出身地域で地縁、人脈、学閥を動員した結果、政党は政策とは関係なく特定地域で圧倒的な票を得るようになり、その構図は現在も続いています。盧大統領は国会議員選挙の小選挙区制がこの傾向を助長しているとして、比例代表制の大幅拡大を呼びかけています。

国民を信じて

 盧政権は、「北東アジアの経済中心国家、日米両国と中ロなど大陸国家の懸け橋国家」をめざす「平和繁栄政策」を外交安保政策の基礎に据えています。

 大統領諮問機関「北東アジア時代委員会」の文正仁(ムン・ジョンイン)委員長は一月十二日、経済団体主催の討論会で「韓国、中国、日本、ロシア、北朝鮮の共同体を構成するのが大統領の考えだ」と述べ、「北朝鮮が核兵器を保有すれば北東アジアは核の火薬庫になる」と危機感をにじませました。

 対北朝鮮政策では米国、日本との共同歩調が原則です。しかし、六カ国協議での解決という原則は同じでも、先制攻撃戦略を持つ米国と「いかなる戦争にも反対する」という韓国の間には溝があります。

 三日にソウルで開かれた、同盟のあり方を再検討する「米韓安保政策協議」の初会合。先制攻撃戦略に合わせて在韓米軍を柔軟に活用したい米国に対し、韓国は「在韓米軍が国外で行動する場合は、韓国政府と事前協議をすること」を求めたといいます。

 「韓国の宿命を変えなければならない」。盧大統領は昨年一月、中央省庁の幹部を集めた席でこう呼びかけました。二十五日の国会演説では「私は国民を信じている。十年後の韓米関係は今より均衡のとれた発展を遂げているだろう」と自信をみせました。

 就任三年目のキャッチフレーズとして打ち出したのは「先進韓国」。盧大統領が強調しているのは、歴史問題も対米関係もタブー視せずに「成熟した民主主義」をめざす道です。(面川誠)



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