2005年2月9日(水)「しんぶん赤旗」

06年度米予算教書

「対テロ戦」費を増額

生活関連は1%減

ハッブル望遠鏡も維持困難


 【ワシントン=浜谷浩司】ブッシュ米大統領は七日、総額二兆五千六百八十億ドル(対前年度当初予算比3・6%増、約二百六十七兆七千億円)の二〇〇六会計年度(今年十月―来年九月)予算教書を議会に提出しました。

 同予算は「対テロ戦争」をたたかう軍事費や国土安全保障費を聖域扱いとして増額。国防総省予算とエネルギー省核兵器予算を合わせた軍事費は、前年度比4・8%増の四千二百九十二億ドル(約四十四兆六千億円)にもなります。

 一方で農業補助金をはじめ教育や医療、住宅など低所得者向け施策を中心にした国民生活関係費は、約1%減と、大ナタをふるいました。

 低所得者や障害者を対象にした医療制度(メディケイド)を十年間で四百五十億ドル(約四兆七千億円)削減するのをはじめ、低所得者向け住宅、高校生の職業訓練などへの補助を切り捨てています。農業補助金も約六億ドル(約六百二十四億円)減額します。

 また鉄道旅客公社(アムトラック)への補助金は廃止。航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡も維持が困難とみられています。

 こうした国民生活切り捨て予算に、国民からの批判の高まりは必至です。また、厳しい財政運営を強いられている各州からも、地方への負担押しつけに厳しい目が向けられそうです。

 予算教書は、財政赤字について、過去最大となった〇五年度の四千二百七十億ドル(約四十四兆四千億円)から三千九百億ドル(約四十兆五千六百億円)に圧縮するとし、「緊縮型予算」(チェイニー副大統領)を掲げています。しかし、今後、イラク・アフガニスタン戦費に約八百億ドル(約八兆三千億円)を追加支出するとしています。ブッシュ大統領が力を入れる社会保障「改革」には膨大な支出も必要です。

 赤字の主因である金持ち減税と軍事費膨張にメスを入れない以上、〇九年度までの「赤字半減」との公約の実現は見込めないとの見方が支配的です。


予算教書

 米大統領が毎年二月の最初の月曜日までに議会に送る、次期会計年度予算に対する大統領の提案。教書を受けて議会が予算関連法案を作成、審議し、最終的に大統領が署名して成立します。



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