2005年2月6日(日)「しんぶん赤旗」

事件リポート

愛知・幼児殺傷事件 なぜ…

子ども連れ意識した店づくり

安全対策問う声も


 「まさかこんな事件が起きるなんて…」。愛知県安城市のイトーヨーカドー安城店で起きた殺傷事件から一夜明けた五日、同店の各入り口には警備員が立ち、職員たちが店内を巡回する物々しさです。同店を訪れた買い物客も不安を隠しきれません。たくさんの人たちが出入りするスーパーでの事件。警備体制は万全だったのでしょうか。

 阿曽隆記者


写真
花が供えられたイトーヨーカドー安城店の子ども靴売り場前=4日、愛知県安城市住吉町

 同県岡崎市の会社員、青山圭一さん(34)の二男翔馬ちゃん(生後十一カ月)が殺された同店二階子ども靴売り場は、人が入れないように仕切られたままです。

 買い物に訪れた子ども連れの女性は「イトーヨーカドーにはよく買い物にきます。(現場近くの)ちびっこ広場もよくつかいました。何のかかわりもない人を襲うなんて。許せないですね」と怒りをあらわにしました。

 イトーヨーカドー安城店は、オープンして八年目。全国に展開するグループ百八十一店舗のなかでも早くから託児所を整備するなど、子ども連れの集客を意識した店づくりを展開していました。一日に約五千人もの買い物客が訪れる同店の防犯対策を問う声もあがっています。

 同店では当日六人の警備員がローテーションを組んで警備に当たっていました。不審な人物を外見だけで判断することは難しいというのが実情であるにせよ、この体制で十分だったのでしょうか。「駐車場も広く、子どもと気軽に買い物に行ける場所と思っていましたが、これだけ広いのだから、警備体制はもっと多くてもよかったのでは。安心して買い物ができるように、しっかり対策をとってほしい」という声も聞かれます。

 イトーヨーカドーの村田紀敏専務は、「このような残忍な事件が起き、残念でならない。警備体制の強化にいっそうつとめ新たな対策を練りたい」とのべました。

刑務所出所者のケアは

 住所不定無職の男性容疑者(34)は▽約一週間前に名古屋刑務所豊橋刑務支所を出所した▽所持金がほとんどなく、仕事を探したが見つからなかった▽二日前に安城市に入り廃車になった車のなかなどに寝泊まりしていた▽売り場にあった果物ナイフで犯行に及んだ―などと警察に語ったと報道されています。

 凶悪事件が起きる背景について指摘する声もあります。新日本婦人の会安城支部支部長の深谷恵子さんは、「小さな子どもが犠牲になり、本当にかわいそうです。他方で、競争社会から落ちこぼれた人は、全部ダメという風潮もあります。犯罪者をださない社会づくりをどうするか、考えていきたい」と話します。

 何の罪もない幼い命を奪った犯行は、決して許すことはできませんが、刑務所を出所した人のケアやサポートはどうなっているのか、犯罪から子どもをどう守るのか、など事件はさまざまな問題を投げかけています。



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