2005年1月30日(日)「しんぶん赤旗」

'05 東京都議選


少人数学級 東京だけが残される

拒み続ける都政と「オール与党」

他県では賛成の自民公約破る民主・公明

 一学級の子どもの上限を四十人よりも少なくする「少人数学級」。すでに四十二道府県が実施にふみだし、石川、佐賀は来年度からスタート、岐阜、香川も前向きに検討中です。

 学力向上や社会性を身につける上で効果がある三十人学級を、東京都だけはなぜ、拒みつづけるのでしょうか。

ひろがる背景に教育効果の期待

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「30人学級の実現を」と訴えた日本共産党東京都議団の署名・宣伝行動=昨年11月12日、東京・新宿駅西口

 少人数学級が全国的に広がった背景には、子どもへのきめ細かい対応が可能となるなど、教育効果への期待があります。父母、教員の要望は強く、実施にふみだした学校の関係者からは歓迎の声が相次いでいます。

 小学校で三十三人以下学級を実施している山形県では、父母の54%が「教育効果があがっている」と評価。校長からは「欠席の減少」「学級のまとまり」などの教育効果が指摘されています(山形県教育委員会の調査)。

 東京都内では、三十人学級を求める署名が毎年百万人分を超えています。小学校校長会も、一、二年生での三十人程度の学級を要望しています。

 日本共産党は「三十人学級は都民の願い」として、早期実現をくりかえし都議会で求めてきました。

 ところが、石原慎太郎都知事は「学級編成基準を四十人とする教育委員会の判断は妥当」とのべ、三十人学級を拒否。横山洋吉都教育長は「(三十人学級は)子ども同士の切磋琢磨(せっさたくま)する機会が不足するなど生活集団として望ましいものとはならない」(二〇〇四年十二月八日)と、かたくなな姿勢を変えていません。

サッカーの試合できなくなる?

 こんな都の姿勢を支持しているのが、自民、公明、民主などの都議会「オール与党」です。

 自民党は、「小規模な学級が社会性や競争心を養うために適切な規模であるとはいえない」(〇四年三月十二日、遠藤衛都議)と、都と同じ理由で拒否しています。

 ところが、三十三人以下学級を実施している山形県では、自民党県議が「少人数学級については、全国に先駆けて実施されたまさに目玉事業であり、県内でも非常に評判がいい」(野川政文県議、〇三年十月一日)と評価。「本県教育の真骨頂」(〇四年三月十一日)とまでのべています。

 公明党も、一九九八年には「文部省や都道府県が定めている一学級四十人制を早期に、二十五・三十人体制へ改善を行います」(党東京都本部「二十一世紀東京改革プラン」)と主張していました。

 ところが、都議会では、「(三十人学級になると)サッカーの試合もできない、ドッジボールの試合もできないというふうに、何か活気に乏しいクラスになってしまう」(野上純子都議、〇四年六月十一日)、「学校生活の基礎集団であるクラスには、一定規模が不可欠だ」(中嶋義雄都議、〇四年十二月八日)と石原知事と歩調をそろえてしまいます。

 民主党は、前回都議選直前の〇一年五月に都議会民主党が発表した「東京政策」で「30人学級、複数担任制の完全実施に向けて取り組みます」と明記。同党の〇四年参院選の選挙公約でも「少なくとも小学校3年生以下のクラスについて、すべて30人以下とします」としています。

 しかし、〇四年九月都議会で、日本共産党が提案した国に三十人学級の実現を求める意見書に、自民、公明両党とともに反対しました。

 他の道府県では少人数学級を実施しているのに、みずからの約束さえも投げ捨て、石原知事に足並みをそろえてしまう「オール与党」。いま、この異常なゆがみをただすことが求められています。


どうなってるの? 自公民


自民党

 山形県議会では…「(少人数学級は)全国に先駆けて実施された目玉事業であり、県内でも非常に評判がいい」

矢

 都議会では…「(三十人学級は)社会性や競争心を養うために適切な規模であるとはいえない」

公明党

 党都本部「二十一世紀東京改革プラン」(一九九八年十一月)…「早期に、二十五・三十人体制へ改善を」

矢

 都議会では…「(三十人学級では)ドッジボールの試合もできない活気に乏しいクラスになる」「一定規模が不可欠」

民主党

 都議会民主党「東京政策」(二〇〇一年五月)…「(小学校での)30人学級、複数担任制の完全実施に向けて取り組む」

矢

 都議会では…三十人学級の実現を国に求める意見書に反対



介護保険 利用料減免を実現

共産党が欠陥認めさせる

さらに負担軽減へ全力

 「保険料も利用料もこれ以上、上げないで」「利用料を下げてほしい」。介護保険をめぐる切実な都民の声にこたえ、日本共産党東京都議団は、区市町村議員団とも連携し、都民と力を合わせて利用料の減免を実現しました。減免にふみだした東京都の自治体は94%と全国平均28%を大きく上回っています。

基盤整備費は「充実」せず削減

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介護問題でお年寄りから実態を聞くふるだて和憲都議(右端)

 いま国では、利用料の本人負担引き上げ、特別養護老人ホームの利用料引き上げなど、介護保険の大改悪が検討されています。

 こういうときこそ、都民生活を守る自治体本来の役割を果たすことが求められているのに、石原都政と「オール与党」は、あべこべに福祉切り捨てに拍車をかけています。「充実する」と約束していた基盤整備費は、予算が増えるどころか削減です。特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型施設の三施設の整備率は全国最低。東京都の高齢者人口は20%も増えているなかでの切り捨てです。

 国と都の福祉切り捨ては、都民生活にずしりと重くのしかかっています。日本共産党都議団が昨年おこなった高齢者の介護状況調査では、「お金のあるなしで、必要な介護を切らないで」「とても生活できない」と悲痛な声が寄せられています。

 板橋区の本間友子さん(58)も、要介護度5と認定された母親(92)を、姉(68)といっしょに世話しています。「おカネがなければいくら要介護度が高くても利用できない。介護が必要な人が安心して受けられるようにするのが行政のあり方ではないでしょうか」と負担軽減の必要性を強調します。

 日本共産党都議団は、お年寄りが住みなれた地域で生きがいをもって生活できる東京をめざし、在宅でも施設でも安心できる介護基盤整備、介護予防やリハビリテーションの充実などを求めています。介護保険の利用料・保険料の負担軽減も、介護保険制度がスタートしたときから求めてきたものです。

 都議会での追及は十回にも及び、最初は負担軽減制度の実現を拒否していた石原慎太郎都知事も、ついに「(介護保険制度は)人間のつくった制度だから、最初から十全、百パーセント正しいというのはありえない」(二〇〇一年三月十四日)と欠陥を認めるようになりました。そして、不十分ながら、国の制度を活用した都の利用料負担軽減制度が実現したのです。

 生活困難者を対象に、10%の自己負担を5%に軽減。訪問介護、訪問看護など九サービスを対象に、区市町村支援策として、〇一年度にスタートしました。

 「独自に保険料や利用料の軽減策を安易に講ずるのはいかがか」(〇〇年十二月八日、自民党・新藤義彦都議)、「制度の根幹を揺るがすことにつながっていく」(〇一年十月十一日、民主党・河西信美都議=当時)とする自民、民主などの反対を乗り越えての実現でした。

03年見直し時に値上げおさえる

 〇三年の介護保険料いっせい見直しの際には、区市町村で保険料の値上げが計画されました。日本共産党都議団は、区市町村に七十四億円もの積立金があることを明らかにし、区市町村の判断で積立金を取り崩せば値上げをおさえることができると都に認めさせました(〇二年十月十八日)。これを力に十四区市町村で保険料を据え置かせることができたのです。

 日本共産党都議団はひきつづき、保険料・利用料の引き上げに反対し、利用料の軽減を大幅に拡充して、保険料についても減免制度を確立するよう求めています。

 都内各地で介護保険制度の改善運動に取り組んでいる東京社会保障推進協議会の後藤嘉輝事務局長はいいます。「自治体によって財政力に格差があるので、自治体の負担を軽減するよう都の施策の拡充が必要です。介護で困っている人は社会的にも弱く、声を上げられない人が多い。こういう声をほんとうに行政に反映させていくためにも、夏の都議選は大切です」



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