2005年1月29日(土)「しんぶん赤旗」

決断いまこそ

住宅再建への支援迫る

高橋議員質問


 「被災地の一番の関心は、住宅をどう再建し、元の暮らしを取り戻すか。住宅本体への支援の決断こそ、政治の責任です」――二十八日の衆院予算委員会。日本共産党の高橋千鶴子議員は、何度も足を運んだ新潟県中越大震災など被災地の生の声を伝えながら、政府に決断を迫りました。


自治体の声になぜ、
応えようとしないのか

首相「改善点あるか協議する」

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質問する高橋千鶴子議員=28日、衆院予算委員会

 高橋さんは冒頭、「災害への国の責任」について、小泉純一郎首相の基本姿勢をただしたのに対し、首相は「災害に支援していこうということには、各党は共有の認識ができているのではないか。できるかぎり手を差し伸べていかなければならない」と答弁しました。

住民の願いは

 この被災者支援という「共有の認識」を前提に、豪雪都市出身の高橋さんは、新潟の雪が水分が多く重いことや、新潟の避難所の住民が「雪のことが一番心配。冬の間に家がつぶれてしまう」とのべていたことをあげながら、被災住民にとって、いま一番切実な願いが、住宅の再建であることを強調しました。

 新潟県知事も、被災した住宅本体の建築・補修の経費に対する国の支援を「現時点で最優先の課題」としています。

 しかし、被災者生活再建支援法には、この住宅本体再建への国の支援が盛りこまれていません。そのため、昨年七月に豪雨災害を受けた自治体からは「これでは『被災者を支援しない法』だ」と怒りの声があがっています。

 被災地の実態を告発しながら高橋さんは、こう追及しました。

 高橋 現場で日々被災者と向き合っている自治体から、(被災者生活再建支援法が)「なかなか使えない」と声があがっている。なぜこの声に応えようとしないのか。

 首相 地方の実情を踏まえて、この支援法が生かせるか、生かせないか、改善点があるか、今後よく協議する必要がある。

 首相が、被災者生活再建支援法の「改善」に初めて言及した瞬間でした。

 高橋さんは「首相は『協議する』といったが、被災者はもう待てないんです。もう十年議論をしてきました」と訴えました。

個人の資産への補償
できない幅狭めてきた

防災担当相「歴史的に変わる」

 鳥取県西部地震(二〇〇〇年十月)では、地震発生から十一日後、いち早く住宅本体への支援を県が決断したことが、県民を励まし、地域を守ったと強調。首相も「知事の適切な対応が評価されたと思う」と、その意義を認めました。

 その後も宮城県などでも都道府県独自の支援策が広がっています。一方、阪神・淡路大震災では、住宅本体への公的支援がないことが、十年たったいまも苦しみの原因になっています。

踏み出すとき

 高橋さんは、阪神・淡路大震災で被災したケミカル工場を再建した女性が、震災のショックで夫が自暴自棄になったあげく病気になり、金策に追われ、「何度運河に飛び込もうと思ったか」「国の個人補償制度があったら」と訴えたことを紹介。震災当時、住宅再建への個人補償を拒否した村山富市元首相も、「(政治に残された課題は)住宅再建への国の支援」とのべていることも示し、「もう住宅本体への支援に踏み出していいのではないか」と迫りました。

 村田吉隆防災担当相 国の施策の体系として、個人の資産に税金をつぎ込むことについて、公平があるか、コンセンサス(合意)が得られるか、十分検討しなければいけない。

 高橋 十年前と変わっていない。なぜ、そこ(個人の資産に支援できないということ)にこだわるのか。本当にそうなのか。

 高橋さんは、今回の補正予算案に、個人の資産である宅地擁壁への支援事業が盛りこまれていることを指摘。国土交通省は、この特例措置に踏み切った理由について、いま求められている住宅本体への支援にも通じる三つの理由((1)被害が多数生じている(2)自力での再建が困難(3)周辺の住家および各種公共施設などに甚大な被害が生じるおそれがある)をあげています。

 高橋さんはさらに、かつて政府が直接支援を拒んでいた災害弔慰金制度が、一九六七年の新潟での集中豪雨で両親と二人の息子を亡くした自民党の故佐藤隆衆院議員らが訴えて実現したことを紹介。佐藤氏が、同制度の実現について「個人災害に対する公的給付が行われたということが、本制度の最大の特色であり、画期的意義を有する」「個人災害の補てんは個人の責任であるという大原則の修正」と評価していることをあげ、政府の姿勢に論拠がないことを追及しました。

 高橋 市民の大きな運動を背景に一つひとつ乗り越えてきた。(個人の資産へ支援は)できないという幅はどんどん狭まってきたのではないですか。

 防災相 私も防災担当大臣として(個人の資産の)公共性の定義、概念の幅について歴史的にまったく変わらないものではないと考えている。

 「個人の資産だから支援できない」という、住宅本来への公的支援を拒む政府の理屈は、市民の運動のなかで、変わりうることを認めた答弁でした。

首相も共感

 高橋さんは「『変わらないものではない』というが、いまがその時だ」と強調。「なぜここでは、総理お得意の『やればできる』といわないのか」と、首相に決断を迫りました。

 首相 被災者に支援の手を差し伸べなければならないという佐藤議員の迫力ある、説得力ある言葉は、いまでも耳に残っている。これから何ができるかという点についても、議論を深めていく必要がある。

 「政治の決断」を求めた高橋さんの追及に、質問終了後、自民党議員からも「いい質問だった」との声があがっていました。

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中越大地震で倒壊した家屋=04年11月、新潟県川口町

反響 「胸つまる思い」

 高橋議員の質問をテレビ番組で視聴するなどした各地の人たちから、電話やファクスで、感想が寄せられました。

 被災地、新潟・長岡市の女性は電話で「感激しました。共産党が国民の要求にもとづいて、身近な問題をよく調べていることが伝わってきました。住宅補償は切実な要求です。事実にもとづいての追及は、説得力のあるものでした」。

 埼玉県の男性も電話で「高橋さんの質問を胸の詰まる思いで聞いた。これまで共産党をおしたことはないが、共産党にはこういう人がいるのかと思った」との声を寄せました。

 京都・舞鶴市の男性からは「やっぱり共産党。ひたむきなところが違う。高橋さんの予算委員会の姿は、心優しさがあふれる、私たちの横にすっと並んでくれる議員と、とても親しみを覚えました」とファクスが届きました。




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