2005年1月22日(土)「しんぶん赤旗」

財界人宅への実弾郵送事件

暴力による言論封殺

テロ許せば戦前への道


 再び卑劣な事件が起きました。経済同友会の前代表幹事・小林陽太郎富士ゼロックス会長宅に拳銃の実弾のようなものが郵送されたのです。小林氏宅では、玄関前の植え込みの中で燃えた火炎瓶二本が見つかったばかりです。

 代表的財界人を狙った犯行。犯人はどういう目的で仕掛けたのか。ある政治的な意図をもった卑劣な脅しのようでもあります。

 小林氏は、「新日中友好二十一世紀委員会」の日本側座長を務めており、小泉純一郎首相の靖国神社参拝中止を求めていました。このことから、小林宅には、昨秋から右翼団体がおしかけ街宣をしていました。

 暴力によって言論を封殺しようというのは、民主主義を破壊する行為。もってのほかです。

連鎖の増幅

 この種のテロ行為は、正論を述べる人たちを震えあがらせるのが目的です。つきつけられた切っ先から目を背ければ暴力が暴力を呼ぶ連鎖が増幅していくことを忘れてはいけません。

 歴史は、そのことを教えています。一九三二年二月九日、日銀総裁の要職を務めた井上準之助が銃弾を受け暗殺されました。戦前の代表的財界人で三井財閥の最高指揮者だった団琢磨は同年三月五日に射殺されました。この二つのテロ事件とも犯行は右翼でした。世に言う「血盟団事件」です。犬養毅首相が暗殺された五・一五事件は、それから数カ月後におこりました。そして、日本は侵略戦争拡大への道へますますのめり込んでいきました。

戦後の出発点

 戦後の世界秩序は、日本・ドイツ・イタリアの侵略戦争を世界が断罪した基礎のうえに成り立っています。戦後の日本企業のアジア進出も、この基礎があったからこそ可能になりました。

 ところが今、小泉首相による靖国神社参拝がおこなわれ、侵略戦争や植民地支配を美化する発言が繰り返されています。戦後の出発点を破壊するこのような動きが、暴力・テロの温床になっているとしたら重大です。

 今、必要なのは、アジアの人々とともに平和な関係を築いていくことです。それは、言論をテロで封殺するこうした行為を許さないことにもつながります。

 金子 豊弘記者



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