2005年1月18日(火)「しんぶん赤旗」

迷彩服着た米兵が銃口
生きた心地しなかった

米軍に威嚇された漁師さん語る

静間久尚さん


 広島県江田島市沖で、米軍岩国基地警備艇に銃口を向けられ、威嚇されたと通報した同市能美町の漁師、静間久尚さん(38)が十六日、本紙に心境を語りました。

 聞き手 中四国総局・前田泰孝記者


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「いまだに怖くて海に出られない」と語る静間久尚さん=16日、広島県江田島能美町

 ――銃口を向けられた時の状況は。

 朝に仕掛けた漁網の魚を捕獲し終え、別の網に向かおうと、船を動かし始めた五日の午後二時二十分ごろです。西から星条旗を掲げた小船が近づいてくるのを確認しました。乗組員は二人。甲板に立つ男が、私に銃口を向けているではありませんか。体格がよく、迷彩服。とっさに両手を上げていました。

 ――米兵は、あなたに何をしたのですか。

 じっとしていると、米兵の船が間近まで来ました。男は銃を構える手を緩めず、英語で私に怒鳴り散らしました。しばらくすると「HS…」と私の船体番号を読み上げました。その時に、外部と連絡が取りたくて、携帯電話に手をやろうとしましたが、今にも撃ちそうな勢いに、ひるんでしまいました。二―三分だったと思いますが、私にとっては生きた心地もしない、長い時間でした。追いかけていた船の番号と違うことを確認したのでしょうか。ようやく、米軍は岩国方面へ去っていきました。二時二十五分ごろ、広島の第六管区海上保安本部へ通報しました。

 ――細田博之・官房長官が米発表を根拠に「銃口威嚇はなかった」と発言しましたが。

 私は、海保や広島防衛施設局の聴取に「銃を向けられた」と言い続けてきました。これではウソを証言していると、言われているようなものではないですか。彼は「『おい、どうしたんだ』と言われて漁民に恐怖心が生じたのかもしれない」とも言ってましたね。私は漁師ですよ。それぐらいで驚かない。肩から銃をかけている状態だったとしても、手を上げるほど動揺しないでしょう。

 ――米軍が、あなたの漁船が所属する鹿川漁業組合に面会に来たそうですね。

 岩国基地の報道部長が来ました。私と組合長が応対しました。米側は、銃の携行は認めても、銃口を向けたことは否定しています。謝罪もありません。こちらの言い分は伝えましたが、米側に現場が分かる当事者が来ないから、話がさっぱり通じない。

 ――今、どんなことを望んでいますか。

 事件発生から二週間近くがたちました。米側の、謝罪と再発防止を誓う言葉がないので、怖くて漁に出られないでいましたが、今後の生活もありますので、すぐにでも仕事を再開します。早く安心して漁ができる海に戻してほしい。



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