2005年1月17日(月)「しんぶん赤旗」

米軍、バビロン遺跡破壊

人類の遺産踏みつぶす

大英博物館が告発


 【ロンドン=西尾正哉】大英博物館が先月行ったイラク現地調査で、バグダッド南方百三十キロにあるバビロンに米軍が基地をつくったことで古代遺跡に重大な被害が出ていることが明らかになりました。報告書は「米軍主導の軍隊は古代都市バビロンの遺跡を破壊した」と告発しました。

 英紙ガーディアン十五日付によると、イラク古代専門家の招きでバビロン遺跡を調査した同博物館のジョン・カーティス学芸員(古代中東部門)は、貴重な遺跡に「重大な損傷が加えられた」と語りました。報告書は「エジプトのピラミッドか英国のストーンヘンジ(先史時代の環状列石)の周辺に兵営を設けるのに等しい」と基地化を批判しました。

 同氏が指摘した破壊のなかには、イシュタル門の有名な竜を形作る装飾タイルをはぎ取ろうとしてつけられたとみられるひび割れや亀裂もあります。二千六百年前に造られた古代の石畳が軍用車両で押しつぶされ、遺跡の破片が周辺に散らばっていたといいます。

 また、遺跡の破片が混じっている大量の土砂が掘り出され、土のうづくりに使われました。この作業が終わると今度は大量の土砂が他の場所から持ち込まれ、遺跡周辺にまかれました。今後、考古学研究への障害が懸念されます。

 カーティス氏は、占領軍による損傷をすべて記録しておくためにイラク側が選任した考古学者による国際的調査を呼びかけています。

 バビロンには紀元前二〇〇〇年ごろから繁栄した世界的に貴重な遺跡があります。米軍は二〇〇三年四月にバビロンを基地に選定し、少なくとも二千人の軍隊が同年九月まで駐留、ポーランド軍に引き継ぎました。



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