2005年1月16日(日)「しんぶん赤旗」

仏極右党首 ナチス犯罪容認

法相が予審調査命令

「歴史わい曲」とマスコミも


 【パリ=浅田信幸】フランスの極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首が、ナチスによる仏占領を「格別非人道的ではなかった」と発言したことが大問題になり、世論の総批判を浴びています。マスコミは「歴史わい曲の危険を軽視してはならない」(ルモンド紙十四日付)とキャンペーンを張っています。


 ペルベン法相は十二日、この問題で「人道に対する犯罪の否定」を理由に予審調査を命じました。フランスでは第二次大戦中のナチスによるユダヤ人虐殺を否定することは犯罪であり、最高一年の刑と四万五千ユーロ(約六百万円)の罰金の対象になります。ルペン氏は過去にもガス室の存在を第二次大戦史の「ささいな問題」と発言し、罰金刑を受けています。

 問題の発言は七日発売の極右週刊誌『リバロル』のインタビューで述べたもの。ルペン氏は「五十五万平方キロの(広い)国(フランス)ではやり過ぎも避けられなかった」「もしドイツ人が各地で大量処刑をやっていれば、政治的流刑者の強制収容所は必要なかっただろう」と、大量虐殺の存在そのものを否定。またナチスの政治警察ゲシュタポについても仏国民を保護したかのように述べました。

 十二日午後発売のルモンド紙がこの発言を報じると各報道機関が後追いする形で連日報道。ペルベン法相は「犠牲者をはじめ、この暗黒時代に苦難を体験したすべての人を侮辱するものだ」と非難。各党指導者や人権団体なども相次いで非難声明を発表しました。

 第二次大戦中、ナチスによる占領下にあったフランスでは七万七千人のユダヤ人をはじめ、何万人というレジスタンス(抵抗運動)闘士などがポーランドのアウシュビッツや、その他の強制収容所に送り込まれ、多くの人が殺されました。また子ども二百七人を含む住民六百四十二人が虐殺されたオラドゥール村の事件など、ナチス占領軍による蛮行は枚挙にいとまがありません。



もどる
日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ

著作権についてリンクについてメールの扱いについて
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7  TEL03-3403-6111 FAX03-5474-8358 Mail:info@jcp.or.jp