2005年1月11日(火)「しんぶん赤旗」

米原潜

日本へ寄港15隻51回

04年 大西洋配備の艦も


 二〇〇四年の米海軍原子力潜水艦の日本への寄港が十五隻五十一回に及んだことが、寄港地を抱える自治体の集計で分かりました。寄港地別の回数は、神奈川県の横須賀基地、長崎県の佐世保基地、沖縄県のホワイトビーチ(勝連町)のいずれも十七回。横須賀は前年比三増、佐世保は同六減、ホワイトビーチは同五増でした。

停泊1時間未満が増加

 際立った特徴は、五十一回の寄港のうち、一時間未満の短時間の停泊が二十八回にのぼっていることです。とくにホワイトビーチでは十七回中十六回、佐世保では十七回中十一回とその大半を占めています。

 自治体に通知された目的の大部分は「人員の移送」。特殊部隊や偵察部隊の要員の輸送、通信傍受などによる極秘情報の伝達などを行っているとみられます。

 このほか、ホワイトビーチでは、「病人の移送」「人道上の移送」といった目的も含まれていました。

 一時間未満の停泊は二〇〇〇年九回、〇一年十九回、〇二・〇三年各二十一回と年を追うごとに増加しています。中国や北朝鮮などを対象にしたアジア太平洋地域での特殊作戦や諜報活動の増加を示唆しています。

 一方、横須賀では長時間の寄港が特徴です。

 長時間滞在の目的について「休養・補給・維持」のためと説明されており、横須賀が引き続き、乗組員の休養や艦船修理の拠点になっていることを示しています。

地球規模の出撃拠点に

 寄港した原潜数(十五隻)も〇一年十二隻、〇二年十隻、〇三年十一隻などと比較して増加しています。

 注目されるのは、米大西洋艦隊に所属するロサンゼルス級攻撃型原潜二隻(アレキサンドリア、オクラホマシティ)が寄港したことです。残り十三隻は、米太平洋艦隊に所属する同級の攻撃型原潜でした。

 米大西洋艦隊所属の二隻はいずれも、北極の氷の下を通って大西洋から太平洋に展開しました。

 アレキサンドリアは六月に、ロサンゼルス級原潜として初めて北極を通過。日本に寄港後、横須賀基地所属のミサイル巡洋艦カウペンスなどとともにインド洋まで航行し、インド海軍との演習を実施しました。

 八月に太平洋に展開したオクラホマシティの指揮官は「より多くの潜水艦を西太平洋に配備する必要があった」とし、「どこに基地を置いているかにかかわらず、(世界の)どこにでも派遣するのが潜水艦部隊の任務だ」と、地球規模での展開を強調。日本がその中継・補給・出撃拠点になっていることを示しました。

先制攻撃の計画具体化

 〇三年三月のイラク戦争開戦時に巡航ミサイル・トマホークによる第一派攻撃に加わったシャイアン、第二派攻撃を行ったコロンビアも寄港しました。

 コロンビアは、先制攻撃戦略の迅速な発動を目指す米海軍の「艦隊反応計画」に基づいて通常の運用サイクルを短縮して展開。途中にホワイトビーチで「人員の移送」を行っています。

 米太平洋艦隊は〇二年五月、グアムを第一五潜水艦中隊の母港とし、これまでに三隻の攻撃型原潜を配備。そのうちシティ・オブ・コーパスクリスティが初めて寄港しました。サンフランシスコは、昨年に続いて二年連続で寄港しています。



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