2005年1月9日(日)「しんぶん赤旗」

三菱地所と経団連の要望通り

東京・大手町の合同庁舎跡地利用

“入札なしの取得は問題” 地元批判


 小泉内閣が進める「都市再生」。“都市再生バブル”といわれるなかで、その恩恵を最も受けるのは、大手の不動産会社やゼネコンです。東京・大手町合同庁舎跡地を利用した「都市再生」プロジェクトはその典型です。


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容積率が「1690%」と記載されている大手町合同庁舎跡地を利用した再開発の、本紙入手の計画案

 一昨年八月ごろ、都市基盤整備公団(現、都市再生機構)に一通の要請書が出されました。

 「大手町都市再生に向けた要請事項」

 提出したのは、「大手町まちづくり株式会社設立発起人」。三菱地所、日本経団連、日本経済新聞社が名前を連ねています。「大手町まちづくり株式会社」は大手町合同庁舎跡地での再開発を企画する会社です。同八月二十六日に設立され、代表取締役に日本経団連の和田龍幸事務総長、取締役に三菱地所の高木茂社長らが就任しています。

 「要望事項」は(1)再開発地での建築物整備は、民間がおこなうことを基本にする(2)合同庁舎跡地の取得にあたっては、現行容積率700%を前提とした評価をもとに交渉をおこなう(3)開発メリットは、事業施行者や参画地権者の貢献度に配慮し、適正に配分する――など。

 要するに、都市再生機構に国有地を安く入手してもらい、そこで民間が再開発をおこない、開発利益は事業への貢献度に応じて山分けする――というのです。

 再開発で、跡地に移転する日本経団連は昨年五月の第三回定時総会で、問題になっている「再開発計画への参画の条件」を報告しました。それは、「新たな資金拠出なしで、日比谷通り沿いに現会館と同等の床面積が確保できる」こと。経団連は「都市再生に協力している」といいますが、一円の持ち出しもなく、現在と同じスペースを表通りに確保できます。

 計画案では、こうした要望が基本的に盛り込まれています。

 これには地元の東京・千代田区でも疑念が出ています。

 千代田区まちづくり推進部は昨年八月に出した文書で、同プロジェクトについて国有地を随意契約で取得する「極めて公共的性格の高い事業」「公平・公正・透明性のある手法・手順で行われるべきである」と主張。同区の幹部は「『事業パートナー』とされた企業が保留床を入札なしで購入できることは、この点から問題がある」と批判します。


「都市再生」の看板が泣く

 区画整理・再開発対策全国連絡会議の遠藤哲人事務局長の話 大手町合同庁舎跡地事業の具体的中身を知って、これが「都市再生」なのかと驚いた。内容は、大手の建設会社や不動産会社の仕事づくりだけが目的のようにみえる。住民の生活環境向上に貢献すべき「都市再生」が、容積率をもてあそびこの実態では情けない。容積率を都内でも最高クラスの1690%まで引き上げ、再開発ビルの規模を大きくすることは、既存の都市計画法や建築基準法の規制を大きくはずす「都市再生」の諸制度を利用してできるものなのだろう。政府のいう「都市再生」の看板が泣く。



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