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2005年1月7日(金)「しんぶん赤旗」 図書館を企業に渡してええんか民営化反対運動広がる文化活動の拠点守りたい大阪・堺市
いま全国で公立の図書館や保育所、学校給食、学童保育などの民営化が急速にすすんでいます。小泉「構造改革」のもと、地方自治法「改正」で指定管理者制度が始まったためです。大阪・堺市では、「私らの図書館を民間企業に渡してええんか」と民営化に反対する運動が広がっています。 内野健太郎記者 「市議会を傍聴してきたで」「どやった」。夜も更けた会議室ににぎやかな声が飛び交います。 八十万都市の同市で、図書館の民営化反対の運動をすすめている「堺市図書館を考える会」の例会です。図書館や学校でおはなしボランティアをしている人、地域文庫や文化活動をしている人、図書館の司書や元図書館員、新日本婦人の会の会員、労働組合の役員…。地域の図書館を守りたいの一心で週一回のペースで集まっています。 「改革」の名で
同市で図書館の民営化計画がだされたのは、一年前の二〇〇四年一月。市の行財政「改革」の一環です。〇九年までの五年間で、中央図書館を除く、地域の図書館すべてに指定管理者制度を導入し、司書は希望により、他の事務職に配置転換していくというものです。 図書館で読書会などをしてきた「考える会」代表の吉田マリ子さん(50)。 「図書館を『コスト削減』の対象としてしかみない市のやり方には、本当に腹が立ちます。図書館は、市民が長い間かけて一緒につくってきたものです」といいます。 「全国で図書館が充実している自治体」と評判が高い堺市。地域に十一館の図書館が整備され、さらに今春もう一館がオープンする予定です。 同市では、司書の専門職採用を実施し、窓口業務をすべて司書で運営しています。専門知識を生かして読書相談に応じたり、国立国会図書館から本を取り寄せたり、地域になくてはならない知識と情報の中継地として役割を果たしています。 図書館整備がすすんだ背景には、ニュータウン地域などを中心とした市民の図書館づくりの運動があったからです。いまでも子ども文庫や図書館友の会、読書会などが活発に開かれています。 おはなしサークルの活動をしている杉本和美さん(50)は「図書館が民間の運営になれば、私たちの活動はどうなるんやろと不安です。職員の人たちも、労働条件は悪くなるやろから、長く勤められる人はおらんようになるんでは…。図書館まで民営化しようなんて、いまの日本には正規の労働者はいらんということやろか」といいます。 署名よびかけ図書館運動をすすめてきた酒井和子さん(64)は「私たちが税金を払ってきたんですよ。市は、それを使って市民みんなで共有できる文化活動の拠点をつくっているのと違うの。民営化なんておかしいわ」といいます。 市民たちが連絡をとりあい、「堺市図書館を考える会」の活動を再開させたのが昨春でした。その場で「どないなんねん? わたしらの図書館」と題したシンポジウムと講演を開こうと決め、案内ビラをつくり、図書館前で配布しました。 七月からは、「民営化」に反対する署名を始めました。図書館前での宣伝と違い、図書館を利用しない人もいる街頭での署名は「大反響」というわけにはいきません。それでも、スーパー前や駅前で署名のよびかけをつみ重ねてきました。 「図書館が有料になるの」と関心を寄せる市民に「いまの法律では、利用料はとれないんです。でも営利会社が運営すれば、これまで無料だったサービスが有料になったり、手間のかかることはやらなくなるかもしれません」と説明します。 利用者のプライバシー問題が発生し、運営にも支障をきたして、市民の声が届けにくくなると話すと、「そら困るわ」と署名に応じてくれます。 運動がすすみ、九月議会に一万一千人分を、十二月には一万四千人分の署名を提出しました。 市は当初、〇五年度から指定管理者制度を導入したい考えでしたが、その後、窓口業務委託化を行いたいと内容を変更。それも断念し、〇五年度については市直営で業務を行うと表明しました。 同市の司書で、市職員労働組合教育支部の竹田芳則副委員長(44)は「公立の図書館は、地教行法(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)で『教育機関』と位置づけられ、教育委員会が管理し、職員を任命するとしています。図書館法で館長や専門的職員(司書)を置くとしており、民間企業への『丸投げ』はできません。指定管理者制度が導入されれば、公立図書館のあり方そのものが破壊されることにつながる」と指摘します。 しかし政府は民営化の流れを加速させようとし、文部科学省は昨年七月、現行の図書館法のもとでも図書館に指定管理者制度は導入できるという“新解釈”を主張。これを受けて、堺市も〇六年度から同制度を導入したいとしており、事態は予断を許しません。 「市が民営化を断念するまで市民はあきらめへんで。職員さんもがんばらんと」と杉本さん。竹田さんは「図書館を守る草の根の運動を住民のみなさんと手を携えていきたい」と力を込めます。
指定管理者制度 地方自治法の「改正」に伴い、二〇〇三年九月から始まった制度。住民の税金でつくられた公立の図書館や保育所、学校給食、学童保育などを民間企業が管理、運営できるようにしたもの。 |




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