2004年12月31日(金)「しんぶん赤旗」

座間への移転 危険

第一軍団から司令部要員も

イラクで死傷者多数 米軍部隊


 今月二十一日、イラク北部モスルで起きた米軍基地内での自爆攻撃で多数の死傷者を出したのは「オリンピア任務部隊(タスクフォース)」と呼ばれる部隊でした。同部隊は、在日米軍再編で神奈川県のキャンプ座間への司令部移転が狙われている米陸軍第一軍団(米ワシントン州)に所属しています。同部隊はイラクでどんな作戦をおこなってきたのか、また第一軍団司令部のかかわりはどうか――。


 「オリンピア」(約一万人)は今年一月からイラク北西部に展開しています。同地域での軍事作戦を担当している多国籍軍の中核部隊です。

朝鮮戦争いらい初

 司令部要員も、第一軍団司令部から派遣。このため、米陸軍のニュース(二月十日)は「第一軍団司令部が朝鮮戦争以来初めて戦闘の最前線に派遣された」と誇っています。

 「オリンピア」を構成する主力部隊は、二つの旅団(第二歩兵師団第三旅団、第二五軽歩兵師団第一旅団)が交代で担ってきました。現在は、第二五軽歩兵師団第一旅団(約四千人)が派遣されています。

 両旅団はいずれも、中型輸送機での空輸が可能な最新鋭の戦闘装甲車「ストライカー」を配備。数日内で世界各地に展開し、戦闘を直ちに開始できる「ストライカー旅団戦闘チーム」に指定されています。

 このほか「オリンピア」は、米本国の他の陸軍部隊や、米海兵隊、オーストラリアの陸軍部隊、イラク治安部隊も指揮下に置いています。

 「オリンピア」は、イラクで武装勢力の「掃討」を口実にした戦闘作戦を展開してきました。同部隊のホームページは、今月だけで数百人を拘束したなどと誇っています。一方で、「オリンピア」側の死傷者も多数にのぼっています。二十一日に自爆攻撃で死亡した米兵十三人のうち六人は、第二五軽歩兵師団第一旅団に所属していました。

アジアで統合作戦

 第一軍団司令部のキャンプ座間への移転について、西元徹也・元自衛隊統合幕僚会議議長は「第一軍団司令部は、沖縄にいる第一特殊作戦群の第一大隊(グリーンベレー)、ハワイの第二五軽歩兵師団と第一特殊作戦群の本隊、さらにイラクにも派遣されたワシントン州の第二歩兵師団第三旅団などをそっくり座間から統制することになる」と指摘しています(「日経」十一月十七日付)。

 キャンプ座間が、第二歩兵師団第三旅団や第二五軽歩兵師団第一旅団のイラク派遣のように、海外での無法な戦争に米陸軍戦力を投入するための司令塔になるというのです。「オリンピア」のように、キャンプ座間から司令部要員そのものが派遣されることも想定されます。

 しかも、西元氏は「さらに、陸海空・海兵隊による統合任務部隊が編成された場合、第一軍団司令部がその指揮統制を任される」と指摘しています。

 アジア太平洋地域への軍事介入で、米四軍の統合作戦を指揮する司令部になるというのです。「オリンピア」がイラクで行っているような多国籍軍の指揮を担うことも想定されます。第一軍団司令部の移転が強行されれば、まさに“地球規模の戦争司令塔”がキャンプ座間に置かれることになるのです。



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