2004年12月28日(火)「しんぶん赤旗」

秋田県知事

生活保護停止の処分取消す

母子世帯の請求実る 車保有認める


 中古軽自動車の処分を求めた指導指示に従わなかったことを理由に生活保護を停止した秋田市福祉事務所長の処分を不服として、同市内の母子世帯女性(34)が指導指示と保護停止処分の取り消しを求めていた審査請求で、寺田典城秋田県知事は二十七日、「指導指示及び保護停止処分を取り消す」と裁決しました。

 女性と代理人の鈴木正和県生活と健康を守る会連合会会長(全生連会長)、奈良知秋田生健会会長らが記者会見して明らかにしました。全生連の調べによると、審査請求で、指導指示を取り消した裁決は全国で初めて。

 女性は、五、四、二歳の子どもとの四人ぐらし。昨年九月の保護申請却下処分取り消し裁決によって、女性は保育園などへの送り迎えや化粧品販売の仕事、日常生活に車を活用。同市は十一月一日から保護の無期限停止をしていました。

 裁決は、▽就労実態を把握していない▽ケースワークとして形式的▽車保有認否は慎重に判断する必要があったとして指導指示内容は「適切さを欠いていた」とし、停止処分についても「保護を継続しながら、自立に向けた取り組みを促すケース」と判断しました。

 鈴木会長は、「車保有を二回にわたって容認し、指導指示を取り消した画期的裁決だ。生活保護世帯の人権を守るうえで大きな意味をもつ」と話しました。

 女性は、「正直、ほっとしています。市民に優しい秋田市であってほしい」と話しました。

 指導指示 生活保護独特の制度で従わないときには保護の停・廃止できることになっています。不況下で保護受給者が増える中で就労指導や車処分指導などが全国で乱発されています。一九九三年四月の秋田地裁判決(確定判決)は、指導指示が生活上の努力義務にとどまらない場合には、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたる、と判断しました。



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