2004年12月28日(火)「しんぶん赤旗」

自主申告なければ放置

労政審が意見書

過労死予防策を大幅後退


 働かせすぎによる過労死を予防する対策の法制化にむけ議論してきた労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は二十七日、現行の対策内容を大幅に後退させる意見書を尾辻秀久厚労相あてに提出しました。

 意見書は、時間外労働が月百時間を超えても、労働者が医師の面接指導を申し出た場合に限って、事業者は医師の指導を受けさせなければならないとしています。それ以外の場合は事業者の法的義務は生じません。

 通達による現行の過労死予防対策「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(二〇〇二年二月十二日)は、事業者にたいし時間外労働を月四十五時間以下とすることを前提に、これを超える場合に産業医の助言・指導を受けるよう詳細に定めています。労働者の申し出は不要です。これは、時間外労働が月四十五時間を超えると、過労死(脳・心臓疾患)の発症リスクが高まるとの医学的検討結果により定めたもので、この内容に基づき行政指導が行われてきました。

 ところが、意見書は事業場の労資が自主的に定めた基準に該当または労働者の申し出があった場合、事業者は面接指導に準じた措置を行うよう努めるとしています。これでは今後、労資の自主的とりくみが中心になります。

 同省は、意見書の内容を労働安全衛生法「改正」案にまとめ、来年の通常国会に提出する見通し。罰則は設けない方向です。



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