2004年12月27日(月)「しんぶん赤旗」

定率減税の縮小・廃止

言い出したのは公明党


 公明党は定率減税の扱いについて、縮小・廃止による日本経済への悪影響を懸念する声が高まるなかで、自民党との協議の最終盤、あわてて「二〇〇五年度の縮減幅は三割に抑えろ」と“抵抗”してみせました。しかし、それも“失敗”におわり、いまは言い訳に大わらわ。それもそのはず。縮小・廃止の言い出しっぺは公明党だからです。

 公明党は、〇三年九月に「年金100年安心プラン」を発表し、基礎年金の国庫負担引き上げの財源に定率減税の縮小・廃止を充てることを一貫して主張してきました。

 同党は、このプランを昨年の総選挙でも大々的に宣伝し、「定率減税を3段階で廃止して約2兆5000億円、一部の高額所得者への年金課税で約2000億円を確保します」(法定ビラ)とマニフェスト(政権公約)の目玉として打ち出していたのです。

 昨年末の与党「税制改正大綱」にも「平成17年度及び平成18年度において、…いわゆる恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止」を盛り込みました。

 今年七月の参院選マニフェストでは、この「所得税の定率減税及び年金課税の見直し」によって国庫負担の段階的引き上げが実現したと成果を誇り、「実現・大前進」の項目にあげています。


批判受け弁解に懸命

 公明党は縮小・廃止への批判が高まるもとで言い訳に懸命です。

 坂口力・公明党税制調査会長は「あたかも“増税”になるかのようにとらえられる方も多いかとも思いますが、あくまで縮減・廃止を前提とした時限的な減税が続いてきたのであり、新たな増税とは、事情が違う」(公明新聞十六日付)などと苦しい弁解。しかし、税負担が増えるのは間違いない話で、さすがに公明新聞十七日付では、「たしかに税負担は増加します」(定率減税の縮減Q&A)と認めています。

 さかんに定率減税が「時限的」なものだったかのように言いますが、定率減税は一九九八年度実施の「定額減税」に代えて「恒久的減税」として九九年度から実施されてきました。

 坂口氏は、年金財源に充てるから、「将来の年金制度の安心感は家計にもよい影響を与えます」とも言います。基礎年金の国庫負担を現行の三分の一から二分の一に引き上げることは、働き盛りの世代の負担軽減が目的だったはず。それを、働き盛りの中堅層に打撃を与える定率減税廃止によってまかなうというのは最悪のやり方です。もともと国庫負担引き上げは二〇〇四年までに実行するのが、法律の付則にも明記された政府・与党の国民への公約です。財源は当然、政府・与党の責任で手当てすべきだったのに、それを先送りしてきた責任こそ問われます。

 坂口氏は、縮小・廃止について、景気の動向を見極めて判断するという「見直し規定」を盛り込んだと言い訳しています。これこそ定率減税の廃止を率先して主張してきた同党の自己矛盾の最たるものです。

 坂口氏は苦しい言い訳の揚げ句、「現在の景気は踊り場的ではあるが、心配するほどではない」との竹中平蔵経済財政担当相の認識を紹介して、結局は定率減税縮小を押しつけています。


「確かに増税」幹部発言(すべて2003年)

 神崎武法代表 「確かに増税になります。国民のみなさんにご負担いただくことになりますけれども、安定的な財源を確保しなければ年金制度というものをしっかりした制度を構築できないわけですから、そこは私どももお願いする」(11月2日)

 冬柴鉄三幹事長 「定率減税を3年ぐらいかけて、恵まれた階層の方から減税をなくしていく。定率減税は国、地方合わせると3兆6千億ほどありますから、そのうちの2兆何千億を入れるべきだ」(10月12日)

 「(基礎年金の国庫負担引き上げの財源は)定率減税を縮減・廃止する」「(それだけで)足りないかも分からないから、その後にはまた消費税も考えなきゃならないでしょうと(与党間で)合意してますよ」(10月24日)

 北側一雄政調会長(当時) 「定率減税というのは、実際は中高所得者の方々に恩恵がいっている減税なんです。大衆課税だとかそんな批判されているが、とんでもない話だ」(10月19日)



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