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日本共産党

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赤旗

37、環境

持続可能な経済・社会を実現するため、環境問題に真剣に取り組みます

2022年6月

 人為的な影響を疑う余地がない気候上昇は、世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大きな被害をもたらし、まさに非常事態です。

 破局的な気候危機を回避するために取り組める時間は長くありません。2030年までに、全世界のCO₂排出を半分近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっているのです。

2021年9月1日、「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表しました

 全文は以下のURLでご覧ください。

 https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/09/post-882.html

38、気候危機」もご覧ください。

 21世紀の世界を持続可能な経済・社会とするためには、私たち一人ひとりの決意と行動で気候危機に立ち向かうとともに、国内の原発事故への対応や公害被害の早急な救済、アスベスト対策や大気・土壌汚染対策など身の回りの環境対策に真剣にとりくむことが必要です。将来にわたって良好な環境を維持していくために、環境汚染を規制し、生態系を守るとりくみを強化します。そのためにも環境汚染問題の解決には、 (1)汚染者負担の原則、(2)予防原則、(3) 国民・住民の参加、(4)徹底した情報公開──の基本的な視点が欠かせません。その立場で次のようなとりくみを強めます。

廃プラスチック対策を強化し、"焼却中心主義"から脱却し、ごみを出さないシステムの確立をめざす

 プラスチックは、手軽で耐久性があり安価に製造できることから、大量に生産し、製品や包装材、緩衝材としても広く使われてきました。しかし、多くは「使い捨て」されており、利用後、きちんと処理されず、環境中に流出してしまうことも少なくありません。世界の年間生産量は4億トンをこえ、捨てられたプラスチックのうち毎年800万トンが陸から海へと流れ込んでいると推計されています。海へ流出したプラスチックは、海洋生物がポリ袋やプラスチックストローを飲み込み、衰弱し死に至るケースだけでなく、プラスチックに含まれる有害な添加剤に加え、海を漂っている間にPCB(ポリ塩化ビフェニール)など海中に残留する有害化学物質を吸着し、生態系に深刻な影響を与えていることも明らかになってきました。自然環境に流出したプラスチックは、紫外線や海流などにより細かく砕け、5ミリ以下のマイクロプラスチックや、それよりも細かいナノプラスチックとなり、プランクトンや魚、貝などにも取り込まれ、それらを餌とする哺乳生物や海鳥などが毒されていることもわかってきました。海洋プラごみをはじめプラごみ対策は、地球環境の将来がかかった大問題です。

 有害廃棄物の国境を越えた移動を規制するバーゼル条約が改定され、2021年1月から汚れたプラスチックごみが規制対象に加えられ相手国の同意のない輸出は禁止されて、国内処理が原則となりました。日本は年間850万トンのプラごみを排出していますが、そのほとんどが焼却処理されています。再生利用されるのは約2割、わずか180万トン余り、そのうち約80万トンが東南アジアに輸出されています。ところが東南アジアなどの途上国に輸出された大量のプラごみが、きちんと処理されず、環境や海洋汚染を引き起こしていることが明らかになり、多くのプラごみの処理を輸出に委ねてきた日本は、従来の対策を大本から見直すよう迫られています。

 日本は、プラごみの再利用分を除いて7割を焼却処理し、残りを埋め立てています。政府は、焼却処理の8割弱はエネルギー回収しているから、リサイクルだと主張していますが、国際的には焼却によるエネルギー回収はリサイクルとは認められていません。そもそもプラスチックの焼却は化石燃料を燃やすことと同じであり、二酸化炭素の排出により温暖化へ深刻な影響を与えます。政府も最終手段と述べるなら、焼却によるエネルギー回収をリサイクルだとする考えは改めるべきです。

 行き場を失いつつあるプラスチックごみの拡散・流失を抑制するためにも、生産の段階から環境に負荷を与えるプラスチックを減らすことが不可欠です。政府はプラスチック資源循環戦略で使い捨てプラスチック25%削減を掲げていますが、2050年、CO2排出「実質ゼロ」に見合うものではありません。

 「実質ゼロ」と整合するプラスチックの削減目標にするべきです。2021年5月に「プラスチック資源循環法」が可決・成立しました。同法では、容器包装か製品かに関わらず、プラスチックのリサイクルを進めるとしています。企業に対し、ストローやスプーンなどの使い捨てプラ製品の削減、リサイクルしやすい製品づくりや代替素材への転換を推進するとしています。また家庭から排出されるプラスチックごみの回収については、企業による自主回収と、自治体が行なう容器包装プラの回収と一緒に回収しリサイクルを行なっていくとしています。しかし、今回の新法でも企業の負担は限定的で、自治体と住民に負担を押しつける仕組みは変わっていません。改めて「拡大生産者責任」の立場で抜本的に見直すことが必要です。海へのプラごみ流出についても、日本の現行制度の、どこに欠陥があるのか、徹底した調査と検証を行い、本腰を入れた対策を急ぐべきです。

 世界では、使い捨てプラスチック製品の製造・販売・流通の禁止に踏み込む流れが広がっています。一方で日本は、1人当たりの使い捨てプラスチックの廃棄量が米国に次いで2番目に多い国です。レジ袋など使い捨てプラスチック製品を含むプラごみを削減するためには、企業の自主的努力に任せるのではなく、発生元である企業の責任において不必要なプラ製品を生産しないなどの適切な規制が必要です。そのためには、各国・各地での先行する経験をふまえ、容器包装プラの削減につながるデポジット制度の導入など、大量生産、大量消費という経済・社会のあり方の転換により、プラスチックの生産量・使用量の根本的な削減をめざすべきです。

廃棄物の違法投棄を許さないルールづくりを

 有害物質が混入した安定型処分場や土壌汚染処理施設による環境汚染、産業廃棄物の不法投棄に歯止めをかけます。違法行為の「やり得」を許さないために、都道府県が徹底した立ち入り検査を実施し、違反者への厳格な監督と行政処分をおこないます。不法投棄のルートと関与者の解明、違反者など排出者の責任による撤去など実効ある措置を実施させます。財源確保のための制度見直しを行い、早期処理を進めます。

 2019年10月から「食品ロスの削減の推進に関する法律」(食品ロス削減推進法)が施行されましたが、貧困の拡大で空腹を抱えた子供たち・高齢者が増えるのとは対照的に、大量の食品廃棄物に、多くの人が心を痛めています。各地に展開しているコンビニでは、オーナーが賞味期限を見計らって、売れ残りそうになった商品を値下げして売る「見切り販売」で、廃棄される量を減らしたいと思っているのですが、コンビニ本部がみずからの利益を増やすために、見切り販売を認めないため、大量の廃棄ロスを生む要因となっています。廃棄は一般廃棄物として処分されるため、環境への負担になるだけでなく、処分費用に少なくない税金が投入されています。こうした社会・環境への負担を減らすため、コンビニ本部がオーナーのみなさんの要望に応えるよう求めます。小売りなど流通段階だけではなく、食品メーカー段階でのロスの削減も重要です。廃棄食品の不正転売を防止するため、国は規則の見直しを行いましたが、一連の再生利用の工程が適切に行われるよう、排出者である食品関連事業者の責任を法律上、明記すべきです。

アスベストなど、身近にある有害物質への規制を強め、化学物質基本法を制定する

 アスベスト(石綿)公害については、被害者とその関係者の長年のたたかいが実り、2021年5月に最高裁は国と建材メーカーの責任を認め断罪しました。最高裁の判決を受け、国はようやく被害拡大の責任を認め被害者に謝罪しました。昨年6月に「建設石綿給付金法」が全会一致で成立、裁判を起こさずとも救済される基金の仕組みができました。

 しかし法律は成立したものの、建材メーカーは基金制度の参加を拒んだままです。今年6月には基金制度の参加を拒む建材メーカーの責任を追求する訴訟が全国10地裁において一斉に提訴されています。また、昨年5月の判決では、屋根工など屋外作業者は救済の対象から除外しましたが、石綿は少量のばく露でも重大な健康被害を及ぼすことから、問題がある判決と言わざるを得ません。建材メーカーの未参加や、対象職種・期間の制限など残る課題の早期解消へ、国の責任で道筋をつけることが求められています。

 建材メーカーと国は、少量の暴露でも中皮腫、肺がん、石綿肺など、生命に関わる重篤な疾患を招くアスベスト建材の危険性を早くから認識しながら規制を行わず、企業利益のために使用を拡大するにまかせ、暴露防止対策を怠りました。それが、多数の被害者と今後の解体作業における重大な危険性を生じさせています。2006年に石綿の使用は全面的に禁止となっていますが、住宅を含む多くの建物で使われている石綿を含んだ建材はそのままです。今後10年間でそうした建築物の解体がピークを迎えると言われています。飛散防止対策を怠る違法な工事をなくすため、石綿障害予防則、大気汚染防止法、建築基準法、廃棄物処理法など、アスベスト関連法制の抜本的強化が必要です。アスベスト除去作業の資格制度化、厳格な調査・報告の義務付けは急務です。また、違法な工事を防ぐためにも、断熱材等飛散性の高い建材だけでなく屋根材や外壁材などのあらゆる石綿含有建材の除去に対して、公的な費用負担が重要です。

 大規模災害では、事業所からの有害化学物質の流出や解体工事によるアスベストの飛散などが問題になります。阪神・淡路大震災では、解体工事にかかわり、アスベスト特有のがんを発症した労働者が労災認定されています。安全確保の規制を強化します。

 販売・譲渡元事業者に化学物質の有害性や取り扱い方法を示すよう義務付けた、国の「安全データシート(SDS)制度」には罰則がなく、作業で扱うすべての化学物質の内容を示された事業所は全国で半数にとどまっています。化学物質を扱う職場の詳細な実態調査の実施と、SDS制度の厳格化をもとめます。

 豊洲市場でのベンゼン等による土壌汚染や、大阪のダイキン工業の工場周辺をはじめ全国で確認されている難分解性有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)汚染に見られるように、土壌や水質の汚染対策が問題となっています。環境省は、産業界などの要望を受けて閣議決定した「規制改革実施計画」に基づき、臨海部の工場敷地内の土壌汚染に対して規制緩和を行っています。本来、工場操業等によって発生した土壌汚染は、事業者の責任で処理業者に委託して適正に処理しなければならないのに、過去の埋め立てなどに由来する土壌汚染が点在する敷地内を事業者自らが移動させ、汚染状態を事実上放置できるようになっており、事業者の処理責任を曖昧にするものです。

 化学物質審査製造等規制法で新たに禁止された物質について、代替物質への転換を政府が責任をもって促すべきです。産業界の負担を軽減することを理由に、リスク評価の対象を危険性評価が必要な全化学物質(約7,000種)に対する網羅型評価ではなく、約1,000種の物質に絞った「スクリーニング型評価」としています。化学物質が一度環境に影響を与えてしまえば取り返しがつきません。危険性評価が必要な全ての化学物質に対して、予防原則の視点から科学的な評価を基本として取り組むべきです。産業界からの事業の効率化、低コスト化要求を優先にした「総量規制の見直し」を行った規制緩和は、国際的な合意にも逆行したもので許されません。また10億分の1メートル単位の微細粒子であるナノ物質については、健康被害を拡大したアスベストの苦い教訓を踏まえて、健康への影響について対策をとります。予防的原則を明文化し、化学物質の製造や使用量の削減、安全性のデータがない化学物質は市場での流通・使用を認めないなどの理念をもりこんだ化学物質基本法を制定します。

 化学物質による環境汚染がひきおこすとされているアトピーや化学物質過敏症、ダイオキシンや難分解性有機フッ素化合物をはじめとする環境ホルモンの悪影響、シックスクールやシックハウスなどへの健康被害の調査と安全対策を強化します。地球環境サミットでも確認された予防原則にたって、遅れている化学物質の有害性にかんする研究と規制を促進します。工場跡地や不法投棄が原因とみられる地下水の汚染などの環境汚染にたいして、住民の健康被害に関する調査と情報公開、新たな被害補償制度などを求めます。

 日本での研究結果がまとめられる前でも、米国などの先進的研究に学び、原因物質を含む合成洗剤、柔軟剤、シャンプー等について注意喚起するとともに、製品への使用禁止・規制などの対策を講じる必要があります。

あわせて化学物質過敏症や「香害」当事者の原因物質やさまざまな症状、それに伴う生活上の困難、対策の必要性について、社会的な理解が広がるよう周知啓発をすすめます。

 児童のアレルギー疾患については、保護者と学校、主治医などが理解を共有するために「学校生活管理指導表」が活用されています。文部科学省自身が、アトピー性皮膚炎などと化学物質過敏症の関係を認めており、この指導表に、化学物質も含めて活用すべきです。

 電磁波による健康への影響について、WHO(世界保健機関)は、2007年6月、新たな環境保健基準を公表しました。各国での医学的調査を基に、平均3~4ミリガウス(ガウスは磁界の強さの単位)以上の磁界に日常的にさらされる子どもは、もっと弱い磁界で暮らす子どもに比べ、小児白血病にかかる確率が2倍程度に高まる可能性を認めています。予防的考え方に基づいて磁界の強さについての安全指針作り、予防のための磁界測定などの対策をとるよう各国に勧告しました。日本でも、この勧告にもとづいて、電磁波に関する環境基準を早急に設定すべきです。そのさい、日弁連が提言したように、電力・電波を利用する側の企業を所管する総務省や経済産業省から独立した組織として「電磁波安全委員会」を設置し、中立・公平な立場から電磁波にたいする安全規制を行い、予防原則にたった暫定規制、住民協議や電磁波放出組織に関する情報公開を制度化し、取り扱うという方式は、原発事故の痛苦の教訓からも妥当です。携帯電話用の無線基地の建設など電磁波の発生源が急増しているなかで、国民の不安にこたえるためにも、電磁波の健康への影響にかんする研究・調査を積極的にすすめるよう求めます。

 高速道路の騒音、振動、低周波音によって、不眠、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りなど住民の健康被害が出ています。高速道路床全体の振動を抑える制振装置を設置し、低周波音の健康への影響については、調査・研究を強め、環境アセスメントでの影響調査に反映させるなど、本格的な対応が必要です。

水俣病被害者の全面的な救済に力を尽くす

 水俣病は公式確認から66年の歳月がたったいまもなお、補償、救済を求める被害者が多数存在しています。同じ海の魚を食べていたのに、住んでいる地域で線引きされ、患者と認められないために苦しんでいる人たちが大勢います。

 すべての水俣病被害者を救済するためには、一刻も早く、水俣病特措法判定における地域や年代ごとの申請件数や該当者数、非該当の判定理由、症状などを公表、分析することが必要です。何よりも不知火海沿岸の住民の健康調査を実施することは不可欠です。

 公健法に基づく認定基準(1977年の判断条件)が厳しすぎるために患者として認められず、低額の一時金や医療費などの救済しか受けられなかった被害者が7万人以上います。今なお認定申請や裁判に訴える人も多数いるのは国の認定制度に問題があるからです。水俣病問題の全面解決とすべての被害者救済のために、患者や被害者の声に耳を傾け、国の新指針や認定基準をあらためます。被害者が高齢化しているなかで、一刻も早く救済が迫られており、すべての水俣病被害者を救済する恒久的枠組みの救済策が必要です。

 水俣病が深刻な健康被害や環境汚染をもたらしただけでなく、被害者への差別や住民間の軋轢による地域社会の疲弊など様々な影響を今も与えています。水俣病に対する偏見、差別を解消するため、水俣病問題で疲弊した地域で、人と人、人と自然の結びつきを再生し、普及啓発活動などを引き続き行っていくことが大事です。

 救済を求める被害者がいる中で、チッソが、100%子会社である「JNC株式会社」の株を他に譲渡することを認めることは、加害企業としての責任の放棄を認めることになり、到底認めることはできません。また、チッソの後藤社長(当時)が「水俣病の救済は終わっている」と発言しました。撤回されたもの加害企業の責任を放棄する暴言であり許されません。改めて加害企業として被害者救済の責任貫くことを求める必要があります。

 水俣病特措法以降も水俣病問題は深刻な状況にあり、超党派による「水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会」が活動を続けていますが、深刻な状況を十分知っている国会議員が多いとはいえません。被害者を一刻も早く救済するためにもさらに多くの議員の参加する場を設けることが必要です。

大気汚染患者を救済し、自動車メーカーに社会的責任を果たさせる

 大気汚染公害の裁判は大阪・西淀川、川崎、兵庫・尼崎、名古屋南部で判決があり、2007年には東京で和解が成立したにもかかわらず、解決はすすんでいません。大気汚染の被害者は、長期にぜんそくに苦しみ、重い医療費に苦しんできました。

 「全国公害患者の会連合会」や各地の大気汚染被害者94人が、全国一律の医療費助成制度を求めて、国、自動車メーカー7社を相手に、公害紛争を取り扱う公害等調整委員会に、公害調停を申し立てました。ぜんそくは治らないともいわれる病気で、発作のたびに入退院を繰り返し、薬代もかかります。

 東京都は和解が成立した後、国や自動車メーカーなどと協調して2008年から患者の自己負担を全額助成する独自の制度を始めました。しかし東京都以外では、医療費の助成制度がない自治体がほとんどで、今も未救済の患者が大量に発生し、放置されている全国一律の助成制度は不可欠です。都の助成額も縮小されてきて、2018年度からは月6,000円までは自己負担にされました。

 患者を放置してきた国に対して大気汚染公害医療費救済制度の創設を要求し、自動車メーカーには相応の財源負担を求めます。

大規模開発による環境破壊をやめさせ、生物多様性を守る

 国営諫早干拓事業(長崎県)をめぐり、最高裁は2019年6月、潮受け堤防の開門を認めない判決を出しました。これにより、開門を命じた2010年に福岡高裁の判決で確定判決とあい反する判決が併存する事態が継続していました。今年3月、国がこの確定判決の執行力排除を求めて提訴した請求異議訴訟で、福岡高裁は国の言い分を認める不当判決を言い渡しました。たたかいの場は再び最高裁に移ります。

 堤防閉め切りにより潮の流れがせき止められ、赤潮が増えてヘドロが堆積し、干潟の生態系が大きく毀損されています。タイラギ漁ができなくなり、ノリ養殖の色落ち被害が広がっています。漁民の収入も激減しており、漁業共済などの今の制度では救済されません。国は1,000億円投じて対策をとりましたが、水質は改善されず、有明海を再生するには開門しかありません。こうした大規模公共事業による環境破壊を繰り返してはなりません。

 東京外環道の建設工事やリニア中央新幹線建設で行われる大深度地下工事に対しては、当初から様々な懸念が示されていました。東京外環道の建設工事では、大深度地下工事によって住宅街の一部が大規模に崩落する事故も発生しています。JR東海が建設主体であるものの自・公政権が巨額の公的マネーを投入しているリニア新幹線建設は、環境省も「環境影響は枚挙にいとまがない」という意見書を出しています。また、沿線7都県(東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知)の住民や自治体なども、地下トンネルで貫く工事によって処分先が決まっていない大量発生する残土による災害の懸念や、大深度地下工事による住宅地域での酸欠空気の発生、建設による水枯れの問題や、大規模工事の期間中多くの車両が行き交うことによる環境破壊など、多岐にわたる問題を具体的に指摘しています。ところが、JR東海も政府も、まともに答える姿勢がありません。リニア建設や残土処理によって南アルプスなど地形が大きく変わり、災害を拡大させる危険を警告する研究者も少なくありません。リニア建設ルートには糸魚川―静岡構造線など日本でも有数の活断層が多く存在しており、時速500kmという超高速走行中に、断層が大きくずれる巨大地震に直撃されたらどうなるのか、安全上も問題があります。本格着工前の今のうちに、政府は見直し・中止を検討すべきです。

 日米両政府は、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地の建設を強行しようとしていますが、名護市辺野古・大浦湾一帯が世界でも極めて生物多様性の高い貴重な地域です。その保全は、生物多様性条約の締約国である日本の責務です。新基地建設に反対し、辺野古沖の貴重な干潟やサンゴなどの保全のために力をつくします。

 またアメリカ軍がオスプレイの着陸帯を建設する沖縄県の北部訓練場は、国立公園の指定(米軍基地をのぞく)に続き、2021年7月26日、世界自然遺産に登録された「やんばるの森」のなかでも自然度が最も高い地域です。着陸帯や軍事訓練で自然が破壊されることに断固反対し、移設条件なしの全面返還を要求します。

 急激な気温上昇による気候危機を回避するためには、再生可能エネルギーへの転換が求められていますが、再エネが拡大する中で、各地で起きている環境破壊の問題も見過ごすことができません。特に地方は自然エネルギーの適地として太陽光発電施設や風力発電施設が急激に増えています。同時に、無謀な森林伐採を伴う開発による土砂災害や、居住環境や生態系を無視して開発されることによる住民の健康被害や生活環境の悪化などの懸念が広がっています。背景には、地域外の企業による利益優先の開発があります。住民合意どころか、開発予定地域の住民を脅迫まがいの行為で同意を迫る、調整池など必要な治水対策を怠るなどの法令違反などの問題も起きています。一方で、適切な環境アセスや、住民との丁寧な意見交換、地域経済への還元などにより、合意のもと進められる再エネ開発も行われています。再エネへの転換には住民が主体となる取り組みが必要です。施設の建設にあたっては保全エリアの設定を前提とした適切なゾーニングや無謀な開発を規制する仕組みを作ります。

 2019年に公表された生物多様性に関する国連の報告書では、人間活動によって今後数十年間で100万種の動植物が絶滅のおそれにあると報告しました。同報告書では生物多様性の喪失は人間にとっても世代を超えた地球規模での脅威となると述べています。2010年の生物多様性条約COP10の「愛知目標」で掲げられた目標は、日本も含めほとんどが未達成です。日本政府が目標を達成したと言う保護区についても、生物多様性上の保全地域とは言えず、十分な管理ができるのか懸念されます。海洋保護区についても、そのほとんどが海底資源開発による保護区の見直しを認める余地を残した海洋水産資源開発促進法や漁業法に基づく共同漁業権が設定された地域です。昨年から今年にかけ、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が開かれ、ポスト2020枠組み合意に向けた作業が進行しています。10月には新たな枠組みが提示され、日本を含めた締約国の国家戦略にも大きな影響をあたえることになります。地球規模の生態系喪失の危機をこれ以上進行させないために、野心的な目標を掲げ、実行ある対策を行なっていかなければなりません。

 これまで開発の対象とされた湿地は、水の浄化など、自然の恵みをもたらし、二酸化炭素(CO₂)の吸収にも重要な役割を果たしていると再認識され、保全が重視されてきています。ラムサール条約に登録ずみの湿地の保全にとどまらず、広い視野で、環境について考えることが求められています。干潟などの保全法をつくるとともに、環境NGOが求めている「野生生物保護基本法」の制定を目指します。

 人類生存の基盤である生態系を守るため、環境破壊をひきおこすような大規模開発をやめさせることが必要です。現行の環境アセスメントは、事業計画立案時に実施されるものであり、また、事業規模によってはアセスメントの手続きが違う、もしくは対象外となるという仕組みになっています。最も厳格に行われる法律にもとづく第1種事業のアセスメントでも、事業実施の可否も含む複数案の検討は義務付けられていません。生態系や住民の居住環境を保全し立地規制をかける区域と事業実施が可能な区域を明らかにしていく環境保全型のゾーニングの実施が必要です。欧米で導入されている「政策の検討段階からの環境アセスメント(戦略的アセスメント)」の完全導入を求めます。

 電力業界の要望を受けて、「既存の石炭火力発電のリプレースだから」という口実で、一年以上アセス期間を短縮する環境アセス手続きの規制緩和が行われ、石炭火力発電所の建設計画に利用される懸念があります。大量のCO₂や有害物質の排出で健康・環境破壊が懸念される石炭火力発電の環境アセスが、計画中止を含む実効あるアセスでないことは重大な問題です。温暖化対策に逆行する石炭火力発電所の計画はきっぱり中止すべきですが、環境アセスの制度としてもきちんと整備すべきです。電力業界の圧力に屈して、発電所を戦略アセスメントの対象からはずすようなことがあってはなりません。

 瀬戸内法が2021年の国会で改正をされました。瀬戸内海は、水質が改善されたものの窒素やリンといった栄養塩類が不足し、ノリの色落ちや漁獲高が減少、豊かな瀬戸内海が戻っていないとして、これまで削減してきた栄養塩類を管理しながら海に流すとしました。ただし、瀬戸内海の水質改善は一律ではなく、灘・湾によっては未だ汚染が解消していないところもあります。十分なモニタリングを行い海洋環境の変化に配慮し慎重な運用が求められます。瀬戸内海が豊かな海へと回復していない背景には、埋め立てにより、藻場・干潟が減少したことや、温暖化による海水温の上昇などが瀬戸内海の生態系に重大な影響を与えていることが指摘されています。法改正でも、「埋め立ての禁止」「海砂利採取の全面禁止」「廃棄物の持ち込み禁止」をしていくものとはなっていません。不要な埋立地の解消などによる、藻場・干潟など自然海浜の回復に取り組むことが重要です。

 生態系の回復・復元を計画的に進めていく過程では、環境影響をよく検討し、住民もふくめた関係者(ステークホルダー)の英知を集め、たとえば藻場、干潟、砂堆などの形成過程や条件、それが生態系でどのような役割をもっているのかなどの基礎的な調査・研究とモニタリングを繰り返し、その結果を一段と新しい計画に適切に生かしていきます。

 瀬戸内海の生態系を壊す辺野古への埋立て土砂の搬出や、岩国基地の拡大強化と艦載機移駐に反対し、瀬戸内海の静かな環境を守ります。

「オーフス条約」の早期批准で、環境保全・再生への市民参加を保障する

 「オーフス条約」は、1992年に合意された「環境と開発に関するリオ宣言」の第10原則に基づき、環境分野への市民参加の保障のため、情報へのアクセスや意思決定への市民の参加、裁判を受ける権利の保障などを盛り込まれています。2001年に発効し、EU諸国や旧東欧諸国など47の国と地域が批准を終えています。日本も早急に批准すべきです。

日本にも影響が及んでいる東アジアの環境保全のために、協力を強める

 東南アジアにおける海洋プラスチック汚染をはじめ、経済的なつながりをもつ地域としてのプラスチックごみ対策が問題になっています。また日本海や東シナ海を越えてくる黄砂や窒素酸化物が、日本国内の自動車排ガス対策の遅れと相まって、日本の国民ののどや鼻に影響をあたえ、酸性雨や光化学スモッグの原因になっています。モンゴルや華北地域の砂漠化がすすんでいることで悪化する黄砂被害や、急速な経済発展をすすめる中国での大気汚染の深刻化が、国境を越えて日本にも影響を与えているといわれています。

 東アジア全体の環境を保全するために、政府は、公害防止の経験や技術・研究の成果を生かし、緑化事業や東アジア諸国の人びとの健康を守るとりくみを提起し、実効性のある支援を強めるべきです。東アジア諸国に進出して活動している日本企業も、その国の環境にかかわる規制を遵守するだけでなく、適正な環境基準の設定に積極的に応じることで、社会的に貢献すべきです。

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