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- とくほう・特報
- 2026.06.26
暗号資産 サナエトークン
首相後援会が宣伝 違法販売の疑い 答弁ころころ 真相の解明を

高市早苗首相の名前を冠した「SANAE TOKEN」(サナエトークン)を宣伝するホームページ
疑惑の渦中にある高市早苗首相は、国会答弁で逃げ回り、事実を突きつけられて訂正に追い込まれるなど迷走しています。自民党総裁選や総選挙での高市陣営による他候補に対する中傷動画疑惑のうえに、高市首相の名を冠した「SANAE TOKEN(サナエトークン)」(暗号資産・仮想通貨)の問題も再燃。真相の解明が焦点になっています。(伊藤紀夫)
「資金決済法違反に問われかねない金集めビジネスを、高市事務所公認のアカウントがXで大々的に宣伝に加担をしたことは重大だ」。日本共産党の辰巳孝太郎議員は22日の衆院予算委員会で追及しました。
「暗号資産を発行する、しかもそれがサナエトークンという名前である取引がされる、これは私も知らない、秘書も知らない」と言い張る高市首相。辰巳氏は「あなたの事務所で起こっていることですから、きちんと責任を持って解明を」と求めました。
急落で被害も
サナエトークンは2月25日、政治ユーチューブチャンネル「NoBorder」(ノーボーダー)のプロジェクトの暗号資産として発行されたもので、その責任者が松井健氏です。中傷動画を作製したと主張している人物でもあります。
高市首相は松井氏との関係について「私自身も秘書も面識のない方です」と答弁(5月11日、参院決算委員会)し、逃げ切ろうとしていました。
これを覆したのが、松井氏と木下剛志公設第1秘書がオンライン会議をしていたことを示す高市事務所の回答で、『週刊現代』(講談社)が報じました。
日本共産党の山添拓議員が5日の参院予算委員会で、この回答を指摘し、「秘書と松井氏との接点があることは、お認めなんですね」と迫ると、首相は「認めておりません」。

河野嘉誠さん(ジャーナリスト)
「自身の事務所が出した正式の回答を否定する答弁には、あぜんとしました」 そう語るのは、ジャーナリストの河野嘉誠さん。松井氏の働きかけで高市事務所が関与した疑いがあるサナエトークン問題を『週刊現代』で追及してきました。「高市事務所作成の文書は否定しようのない物証だ」と、自身に対する六つの回答書を公開しました。
4月3日の回答書は「12月17日のオンライン会議は、NoBorder側(松井氏側)からの求めに応じて行ったもの」と明確に認めています。
さすがの高市首相も「改めて秘書に確認しましたところ、高市事務所から回答した内容であるということでしたので、その点は訂正します」と答弁(10日の衆院法務委員会)せざるをえませんでした。
この回答書は、12月17日のオンライン会議で「(松井氏側から)最新のインターネット技術の活用を検討しているという話の中で、参加者へのインセンティブとして暗号資産を配布するというアイディアについて説明があったのではないかと思う」と記述。3月10日の回答は「グループLINE内で『SANAE TOKEN』について話が出ました」と書いています。
こうした松井氏側の働きかけを受けて、「チームサナエ」(高市事務所公認の後援組織)は、サナエトークン発行の2月25日、Xで「この取り組みに共感し」「共に日本の明るい未来を紡いでいきたい」と投稿しました。
ところが、高市首相は3月2日、Xに「私は全く存じ上げませんし、私の事務所側も、当該トークンがどのようなものかについて知らされておりません」と投稿。サナエトークンの価値は急落し、被害が出ています。
質問に答えず
サナエトークンについては、暗号資産の販売に必要な国への登録がなく、資金決済法違反(無登録営業)の疑いがあります。金融庁は「無登録で暗号資産交換業を行っていると疑われるものを把握した場合には、必要に応じて捜査当局に無登録の暗号資産交換業に関する情報を提供するなど、適切に連携している」と22日の衆院予算委員会で答弁しています。
辰巳議員の質問に、片山さつき財務相は、金融庁の利用者相談室に寄せられた損失の相談が18日までに3件寄せられているとし、「(この事業は)もうやめてしまって、損失を補償するという公示をしている」と答弁しました。
辰巳議員は「投資トラブルも起こしている人物と一国の総理大臣に最も近い公設第1秘書がグループLINEなどでやりとりをしているならば、それこそ危機管理上の問題だ」と批判しました。
首相は同日の衆院予算委員会で「近日中に秘書の陳述書と、暗号資産に関する記述などどこにもない相手企業から送られてきた唯一の提案書を提出させてください。それをもって答弁とさせていただきたい」と発言。具体的な質問に答えなかったため、「答弁拒否だ」「質問を圧殺するのか」と抗議を受けました。
国会審議を成りたたなくする首相の発言について同日の参院予算委員会で日本共産党の仁比聡平議員は「無責任もはなはだしい。自らの言葉で説明する責任があり、さらなる集中審議を求めたい」と述べました。
説明する責任
中傷動画疑惑とサナエトークン問題での高市事務所と松井氏との関係は、一体どんなものだったのか。
河野さんは「木下秘書は松井氏が総裁選で勝手連的に高市陣営を応援してくれたと私の取材に答えています。松井氏の目的は、総裁選や総選挙での中傷動画による貢献をアピールして高市事務所の信頼関係を得て、サナエトークンにつなげることだったのではないか」と言います。
逃げ回る高市首相については「スパイ防止法などインテリジェンス(情報の収集・分析)の強化を掲げる高市首相の事務所が、違法販売の疑いがある松井氏に振り回されているわけです。足元がこんなにボロボロで、危機管理能力がないなんて、ギャグみたいな話ですよね。だから、そんな失態は認められないので、虚偽答弁を繰り返し、いっそう行き詰まっているのでしょう。高市首相は認めるべきは認め、告発について具体的に説明すべきです」。

五十嵐仁法政大学名誉教授
「高市政権の正統性と首相の資格・資質にかかわる疑惑です」と言うのは、政治学者の五十嵐仁さん(法政大学名誉教授)です。
「高市首相は国会で、松井氏と面識がないとの一点張りでしたが、オンラインでのやりとりが分かってくると、面識とは直接会って名刺を交換することだと言い逃れをする。森友・加計問題や『桜を見る会』疑惑で、でたらめをいって逃げ回った安倍晋三元首相と同じような問題のごまかしです。もう逃げられない事実がでてきているわけですから、最低限、事実関係について、きちんと説明する責任があります。それができないのなら、国会に関係者を招致して、真相を徹底的に解明すべきです」
中傷動画疑惑とサナエトークン問題について、松井氏に質問状を送りましたが、25日までに回答はありませんでした。

