日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

おすすめ

犬と熱中症 汗かけず呼吸で体温調節 仙台のアイリス動物病院・獣医師 高松優さん 湿・温度管理や新鮮な水の用意も忘れずに

2026年7月28日【くらし】

今年もすでに暑い。人だけでなく、ペットの熱中症も心配ですね。路面はジリジリと焼け、どの時間帯に犬の散歩をすればいいのかも悩みどころ。犬と熱中症について、仙台・アイリス動物病院獣医師の高松優さんに教えてもらいました。

熱中症とは、体温上昇に適応しきれず、高体温による熱ダメージと脱水による循環不全が、多臓器障害をもたらす疾患です。

犬では5~8月ごろの発症が多く、この時期は特に気をつけて予防する必要があります。致死率は約50%と報告されており、時間経過とともに重症化するため、発症時は迅速な対応が大切です。

正常では、体温調節機能により熱産生と熱放散のバランスがとられ、犬の平熱はおよそ38~39度に保たれています。

犬は汗をかけないため、パンティング(口を開け舌を出した浅く速い呼吸)で気道の水分を蒸発させ、気化熱で体温を下げます。体温上昇に熱放散が追いつかないと高体温になり、41度を超えると細胞障害が起きます。

また、パンティングによる水分喪失から脱水になると、血液循環の悪化が内臓の虚血を招きます。このように高体温と脱水が進行することで多臓器が障害され、犬の熱中症は重症化します。

◆症状

初期では意識状態は正常で、普段より激しいパンティング、結膜や口腔(こうくう)粘膜の充血、大量のよだれ、心拍数の増加などの症状が見られます。

重症化すると、嘔吐(おうと)、下痢、ふらつき、ぐったりして立てない、筋肉の震え、もうろうとした意識などの症状が現れます。より深刻な症状として、意識がない、けいれん発作、出血傾向(吐血、血便、血尿、皮膚の紫斑)などが挙げられます。

熱中症を疑う時は、屋外なら日陰に移動するか、できれば屋内や車内でエアコンを20度くらいのかなり低めに設定して涼ませ、十分に飲水させます。誤嚥(ごえん)する可能性があるため、自力で飲水できない状態のときに無理に飲ませてはいけません。これらの応急処置をしながら、動物病院に連絡して受診してください。

受診前から、冷却処置を始めるよう指示されるかもしれません。推奨される冷却方法は、氷のうやタオルを巻いた保冷剤を大きな血管が走る首、脇の下、内股にあてがう、スプレーなどで常温の水を体にかけて扇風機やうちわで送風するなどが、簡単で安全です。

冷水や氷水の使用、水に体を浸ける方法は、熱放散の効率を下げたり冷やしすぎたりと逆効果になることがあるため、推奨されません。

◆治療

動物病院では、直腸温度に応じた冷却処置と脱水に対する点滴をして、検査により臓器障害を確認します。輸液だけで元気に回復することもあれば、集中治療のため入院が必要なこともあります。また、熱中症では発症の数日後に臓器障害が現れる場合もあり、注意深い経過観察が必要です。

熱中症のリスク要因は多岐にわたります。高温多湿や換気不足の環境、子犬、高齢犬、短頭種、大型犬、被毛の特徴(長い、厚い、暗い色など)、持病(心臓病、腎臓病、慢性呼吸器疾患など)、肥満などが挙げられます。また、これらに該当せずとも、運動や興奮による体温上昇が引き金となり発症することもあります。

◆予防

熱中症は予防が重要です。屋内飼育では、温度は25度程度、湿度は50%前後を目安として調節します。屋外飼育では、通気性のよい広い日陰を作ります。新鮮な水がいつでも十分に飲めるようにしましょう。

散歩や運動は気温の低い時間帯にして、なるべく地面が芝や土の場所や日陰を選びましょう。パンティングなどの様子を見て、こまめに休憩と飲水をさせます。

飲み水の他に、応急処置用の水やうちわを携帯するのも良いでしょう。車内は特に高温になりやすいので、わずかな時間でも犬を放置しないようにしてください。