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- 2026.06.09
体育嫌いと呼ばないで~仲間と楽しむ運動文化 小学校教員 川渕和美
(3)ニカの手が黒い理由
2026年5月15日【くらし】
体育嫌いは子どもの側の問題だろうか。子どもがどこにつまずいているのか、何があればわかりできるのか、子どもの姿からとらえ、授業づくりをしてきた。
アメフトをベースにつくられた、フラッグフットボール(以下FF)という教材がある。攻撃と守備の動きが入り乱れないため、役割がはっきりしやすく、作戦をたてて楽しめる。
2年生のニカは、体の使い方がぎこちなく、理解もゆっくり。FFの授業を始めた頃のニカは、のんびり集合し、感想には「◎になった」と書くばかりだった。しかし後半、授業の時間になると校庭にとびだしていくようになり、グループも安定して得点を重ねるようになった。変化の背景を読み解くため、毎時間の学習感想を中心に分析した。

イラスト 鴨下潤
すると、学習の中盤、攻めの動きの練習で、ニカがうまくいかないことに注目が集まった。その時グループの子たちは、なぜできないかを動きながら探り、相手の守備が動くことで自分の動きもわからなくなる、ニカのつまずきを発見した。そして、守備役は立ったままにしてニカに動いてもらい、わかりできるようにしていった。
それ以降、グループの子とニカの感想は「何が・なぜうまくいかないか」「だからこうしたらどうか」という記述に変わっていた。
「できないから仕方ない」ではなく、仲間とともにつまずきを探り、乗り越えていく技術を見つけていった子どもたち。そのやりとりを見つけた時、私はとてもうれしくなった。そして「みんながみんなでうまくなる」という過程の中で、誰もがうまくなる実感が、ニカと周りの認識を変化させていたのだと感じた。
まとめのゲーム前、「先生、見て!」とニカたちが手の甲を見せてきた。「ゲームになると、右と左がわからなくなることがわかったから、自分で確かめられるように手に書いた!」と笑う。その後、教室で流行し、みんな手の甲が黒くなっていた。(金曜掲載)

