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物語いっぱいの教室で 公立小学校教員 青山きいろ
(2)それぞれ違う「苦手」

2026年3月13日【くらし】

あきとは自閉症の男の子です。2年生になったばかりの頃はいつも床に寝そべっていて、いきなり「あーーっ!」と叫んで教室を飛び出していきます。

「みんなぼくのことが嫌いなんだ! みんながぼくの悪口を言っている。ぼくは先生も2組のみんなも、学校も大っ嫌いだ!!」と言って、泣いて暴れます。

「だれもそんなこと言ってないよ。みんなあきとのことが大好きだよ…」。そう伝えてもロッカーの中に閉じこもって泣き、出てこない日もありました。

ある日、私はあきとからお手紙をもらいました。読んでみると、「みんなだいきらい。うったえてやる」と書いてありました。

       イラスト なかねひかり

授業中は、教科書もノートも出しません。ずっと絵本を読みながら、大きな声で独り言を言っています。他の子どもたちも、集中できません。

そんなときに、私はいつも子どもたちに身につけてほしい力について話していました。それは、「気にしない力」です。

私「みんなそれぞれ得意なことが違うでしょう? それと同じように、苦手なことも違うよね。先生は工作が好きだけど片付けは苦手! 見てよこの机!」

ぐちゃぐちゃの机を指差すと、子どもたちは大笑い。それぞれの苦手を聞いていくと、そらがハッとしたようにつぶやきました。

そら「おれは漢字と作文が得意だけど、絵が苦手だよ。きっとあきとは座っていることが苦手なんだ」

私「じゃあ、そらは絵が苦手みたいだけど、みんな気にしたことある?」

みんな「だれも苦手なこと気にしてない…」

それから、あきとが教室にいられるように、みんなでアイデアを出し合って、机の周りに布を貼ってあげることになりました。布の中に隠れてしまえば、そこはあきとの緊急避難場所になります。

気持ちがイライラしていて机の下に隠れても、もう子どもたちは何も言いませんでした。(金曜掲