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みじかな野鳥観察のすすめ(1)髙野丈
365日、20年続けています

2026.1.6

シジュウカラの写真

シジュウカラ=2025年12月(写真はすべて井の頭公園で撮影)

身の回りでふつうに見られるシジュウカラという小鳥が、「言葉を使う」ことを解き明かした動物言語学者、鈴木俊貴さん(東京大学准教授)が一躍時の人となりました。これまでの研究とその道のりを一般向けにわかりやすくまとめた著書、『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)がベストセラーになったのです。

シジュウカラが「言葉を使う」といっても、もちろんヒトのように話すわけではありません。食べ物や天敵の発見などの状況に応じて鳴き声を使い分け、組み合わせることで意味をもたせるといいます。また鳴き声だけでなくジェスチャーも使い、仲間とコミュニケーションを取っていることに鈴木さんは気づき、長年の研究によって証明してきました。

具体的な内容については、鈴木さんの著書をお読みいただきたいのですが、身近な小鳥をよく見つめることで大発見を成し遂げ、世界を驚かせ続けていることに尊敬の念を禁じ得ません。

鈴木さんには遠く及びませんが、私も身近な野鳥を毎日観察し、発見したことを『探す、出あう、楽しむ 身近な野鳥の観察図鑑【増補改訂版】』(ナツメ社)などの著書で発表しています。

市街地の公園にも

私が野鳥を観察しているフィールドは、東京・吉祥寺の都立井の頭(いのかしら)公園。毎朝、仕事場へ行く前に1時間強観察し、その日のようすをエッセー風に書き、確認できた鳥の名前を一覧にして、撮影した写真とともに「いきものナビ(https://ikimononavi.com)」というブログで公開しています。悪天候の日や遠方へ出かけている期間以外、観察と記録の公開は日課です。

また、隔月で「井の頭自然さんぽ」という自然観察会を開催。広く多くの人に自然観察の楽しさと生きものの魅力を伝え、身近な自然の大切さに気づいてもらう活動に取り組んでいます。

私がこの「365日野鳥生活」を始めたのは2005年8月のこと。きっかけは当時、井の頭公園で始めたばかりの自然観察会の下見で、サンコウチョウに出会ったことです。

サンコウチョウは夏鳥(春に南方から渡ってきて子育てし、秋に南方へ渡る鳥)で、簡単に出会える鳥ではありません。私はそれまで、より自然の豊かな郊外の森や地方の山間部でしか、この鳥を観察したことがありませんでした。それが、吉祥寺駅から歩いて数分の市街地の公園にいて、観察会の下見を始めるなり、すぐに出会えたのです。

サンコウチョウの写真

サンコウチョウ。ホイホイホイという陽気なさえずりが聞こえると、ワクワクする=24年5月

日替わりの出会い

それまで、北海道や九州をはじめ、自然豊かな地域こそ動物や野鳥を観察するフィールドだと考えていました。正直、市街地の公園には期待していなかったのですが、この出会いがきっかけで興味が強まりました。

観察会の下見はふつう1回か2回なのですが、私は連日通うようになります。そして、サンコウチョウに会った翌日にセンダイムシクイという夏鳥を、その次の日にはツミというタカの仲間を見つけることができました。

その頃はあまりわかっていなかったのですが、渡り鳥が移動する時期だったので、ふだんは公園で見られない鳥に出会うことができたのです。日替わりでいろいろな鳥が見つかるのが楽しくて、私は毎日少し早起きするようになりました。

こうして毎朝、仕事の前に井の頭公園で野鳥を観察する生活が始まったのです。

(自然写真家・ネイチャーガイド)

(火曜掲載)

センダイムシクイの写真

センダイムシクイ。その名の通り、もっぱら虫を食べる=25年8月

 

ツミの写真

ツミ。日本最小のタカで、市街地の緑地でも見られる=24年9月