2006年7月11日(火)「しんぶん赤旗」
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 （写真）ドイツの国旗を振りながら巨大スクリーンで観戦するファン＝６月20日、ベルリン |
Ｗ杯が開かれた一カ月間、ドイツ国内は黒、赤、金色のドイツ国旗に文字通り覆われました。
ベルリン市内では、窓に小さな国旗をはためかせる車やベランダに国旗を垂らすアパートが多く目につきました。ドイツ戦のある日は、「ドイチュランド！ ドイチュランド！」と叫び、手に持った国旗を大きく振りながら街中をかっ歩する若い人たちの姿が至る所にありました。
どれもＷ杯前には考えられなかった光景です。
第二次世界大戦中、ヒトラー支配下のナチス・ドイツによる数々の残虐行為と侵略の歴史を持つドイツでは、戦後、愛国心を表現することが広く疎まれてきました。学校教育で自国の加害の歴史を身につけた国民にとって、愛国表現は国粋主義の復活を意味するものとなっていました。
それが、Ｗ杯の開催を機に一変しました。お祭りムードの盛り上がりとともに、ドイツ国旗が街中に広がりました。
この変化に国内だけでなく世界中のメディアが注目しました。『シュピーゲル』誌（六月十九日号）が「ドイツが違う国に生まれ変わったみたいだ」と書いたほどです。
｢Ｗ杯は､ドイツ人がずっと内に秘めていた愛国心を表に出すきっかけを与えてくれた｣｡四日､屋外スクリーンでドイツ対イタリアの試合を観戦するためにハンブルクからベルリンにやって来たユンゲルさん（４９）は話しました。
ドイツチームのユニホームを着た高校教師のレナータさん（４４）は、「大事なのは、きちんとした歴史認識をもって愛国表現をすること」と強調します。学校では生徒たちに国歌の内容や国旗の意味を詳しく説明するといいます。（ベルリン＝中村美弥子 写真も）
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