巨大与党の権力者である父親にクリーンな政治をめざす娘が問います。「お父さんが大事にしている国って国土?政府?国民? 私の考えはこう。国は国民のためにある。だから、国民のために政治をする人に総理大臣になってほしい」▼テレビドラマ「ポリティカルパン」の一場面です。政界の汚い金を大泥棒が盗み出す物語ですが、狙うのは官房機密費や政治資金パーティーで集めた裏金。エンタメとして楽しめながら、この国の政治の闇がわかってくるように▼国民1人あたり250円の税金を取る政党助成金について、登場人物の人生から250円の価値を説き、その重みを描いた回は秀逸。企業献金を廃止する約束で導入したのに裏切っているとも▼脚本は野木亜紀子さん。数々のドラマや映画で社会問題に切り込んできただけに、今回もゆがんだ政治の本質を鋭く突きます。この国の失われた30年も織り込みながら▼官房機密費の使途不明な実態は現実でも。直近の官房長官5人の使い方を本紙が分析したところ、自分たちの勝手で定期的に引き出す“つかみ金”ぶりがあらわに。高市内閣も発足以来、毎月1億円ペースで支出しています▼今も政治とカネをめぐる不正は相次ぎ、国民よりも自分を大事にする政治家たちの姿も。ドラマを通して野木さんは問いかけます。「楽しめるのか、楽しんでいる場合じゃなくなるのか。未来はどっちだ。未来は僕らの手の中に、まだあるのか」
2026年11月8日

