高市早苗政権が年末に改定を予定する安保3文書の一つ、「防衛力整備計画」で、2027~31年度の5年間の軍事費総額が80兆円規模になるという報道が相次いでいます。23~27年度の現行計画が定めている総額43兆円の1・8倍にもなります。
北東アジアの軍事緊張を一層高め、軍拡競争を激化させるとともに、日本の経済と国民の暮らしを押しつぶす亡国の道につながるものです。
■文教費の3・5倍
22年末に策定された現行の安保3文書は、軍事費に関連経費(軍事利用する公共インフラの整備費など)を加えた予算水準を27年度に「国内総生産(GDP)の2%」(当時で11兆円)にすると明記しました。27年度までの5年間の軍事費については43兆円にすることを決めました。
これは、それまでの「中期防衛力整備計画」(19~23年度)の軍事費総額27・5兆円の1・5倍に上りました。このため、22年度の軍事費は当初予算で5・4兆円だったのが、26年度には9兆円にまで膨れ上がっています。
軍事費に関連経費を含めた「GDPの2・5%」目標は、25年度に補正予算と合わせ前倒し達成しました。
新たな防衛力整備計画で軍事費総額が80兆円規模になれば、年平均では16兆円規模になります。22年度の軍事費の当初予算と比べ、3倍近くに上ります。
16兆円という規模は、26年度予算の社会保障費のうち医療と介護の予算を合わせた額(16・6兆円)に迫り、文教費(4・6兆円)の3・5倍近くになります。
国会で審議中の「消費税・支援金法案」で飲食料品の消費税を1%にした場合の国と地方を合わせた減収額は年4・3兆円です。高市政権はこれを穴埋めする財源さえ示すことができません。
それを大幅に上回る軍事費の新たな財源をどこに見いだすのか。国債に頼るにしても、増税するにしても、国の財政と国民生活を大きく圧迫するのは必至です。
しかも、トランプ米政権は日本など同盟国に軍事費をGDPの3・5%にするよう迫っています。これに応じるには年24兆円規模の予算が必要です。新たな防衛力整備計画で示す軍事費に関連経費を加えても届かない額です。
しかし、政府内には「GDPの3・5%」を5年間より長期の目標として示すべきだという声も上がっていると報じられています。
■敵基地攻撃を強化
新たな防衛力整備計画では▽長射程ミサイルなど敵基地攻撃も可能な「スタンド・オフ防衛能力」の強化に現行計画の倍近い9兆円超▽人工知能(AI)と無人アセット(兵器)の能力強化に現行の6倍になる7兆円―が必要になると試算していると報じられています。
無人アセットは5万2千機の導入を検討しているとされ、長距離攻撃が可能な無人航空機、長射程ミサイルを発射できる無人水上艇や潜水艇などが含まれます。
米国の対中国軍事戦略に付き従い、高市政権が推し進める「戦争国家づくり」阻止の世論と運動を高める時です。

