米国の中間選挙で、国民は第2次トランプ政権の失政に明確なノーを突きつけました。野党民主党が連邦議会の上下両院で5年ぶりに多数派を確保するのが確実です。民主的社会主義者の候補らが歴史的躍進を果たしました。与党共和党の歴史的大敗です。
中間選挙には現職大統領に対する「信任投票」の性格があります。トランプ大統領自身が「投票用紙に私の名前があると思って」投票するよう呼び掛けてきました。
大きな争点となったのは、対イラン戦争と同戦争がもたらしたガソリン・軽油価格や物価の高騰などです。
■大統領自身に怒り
そもそも選挙で一度は退場の審判を受けたトランプ氏が大統領に返り咲いたのは、物価高による生活苦への国民の不満を背景に、自国第一や、長年にわたる対外戦争の終結を訴えたからでした。
トランプ政権は2月にイスラエルと始めた国際法違反のイラン攻撃で、物価高による生活苦を改善させるどころか、逆の事態を引き起こしました。解決の見通しは依然立たず、共和党地盤の州でさえ離反を招きました。
共和党の長年の牙城とされてきた州で今回、民主党の上院議員候補の勝利が相次ぎました。選挙公約に反しながら、自らは私腹を肥やし続けるトランプ氏への有権者の怒りと不信が予想を超えて広がった結果です。
トランプ氏は3日夜、「投票用紙で私が問われたわけではない」と述べ、自身の責任が問われる結果だという見方を否定しました。
民意をどう受け止めるかが、トランプ氏と共和党に何より問われています。一方、今回の結果が、民主党全体への信頼回復を意味するのかは、まだ見通せません。
選挙戦を通してトランプ氏が「共産主義者だ」と民主党を激しく攻撃したにもかかわらず、同党内で左派を構成する進歩派や社会主義者の候補者らが多くの重要な勝利を収めました。
■社会主義者が躍進
ニューヨークのマムダニ現市長が所属する政治団体「アメリカ民主的社会主義者」(DSA)が公認する下院議員は、現在の2人から大幅に増える見通しです。
DSAは声明で、新議会で「米議会は史上最大の社会主義者勢力」を擁することになると述べました。
首都ワシントンの市長選では、同じくDSAの公認を受けるルイスジョージ市議会議員が勝利しました。
こうした候補らが掲げた、国民皆保険制度の実現やイスラエルへの軍事支援停止は、生活苦やイラン戦争を受けて変容しつつある国民の要求に応えるものでした。
発達した資本主義の大国で奮闘する市民や社会主義者の友人たちの活躍は、平和と進歩を目指す世界と日本の運動を大きく励ますものでもあります。
もちろん、自国と自身の利益を上に置き、法の支配の破壊を試みてきたトランプ政治に終止符が打たれたわけではありません。米国民のたたかいに呼応しつつ、国際法秩序を守るための国際連帯がいよいよ重要になります。

