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2026年11月4日

主張

生活保護減額違法
最高裁判決に従い全額補償を

 国の生活保護費減額を最高裁は再び違法と断じました。2度にわたる最高裁判決を重く受けとめ、国は直ちに被害の全面回復をすべきです。

 2013年から15年にかけて安倍晋三政権は、生活扶助基準の最大10%という大幅な引き下げを行いました。

 生存権を保障する憲法25条に反するとして全国各地で国を訴えていた「いのちのとりで裁判」で、最高裁は10月23日、秋田、兵庫、佐賀、熊本の四つの訴訟で引き下げを違法とし、減額処分の全面取り消しを命じました。25年6月の最高裁判決に続くものです。

 25年の判決を受けて国は、減額された生活保護利用者に対し、違法に減らした保護費を追加支給しています。ただし、原告が求めている減額された分の全額ではなく約半分に値切っています。

■国は司法判断黙殺

 国は保護基準の大幅引き下げの際、▽厚労省が恣意(しい)的な数字を使って過大に導き出した物価下落幅に対応するとした「デフレ調整」▽低所得世帯との均衡を図るとする「ゆがみ調整」―の二つの方法で減額幅を決めました。

 25年の最高裁判決は、デフレ調整を違法としました。ゆがみ調整は違法とはしませんでしたが、引き下げ全体を違法として減額処分そのものを取り消しました。国は判決に従い、減額決定前と決定後の差額をすべての利用者に、さかのぼって補償する責任があります。

 ところが国は、ゆがみ調整は違法とされなかったとして再実施したうえ、違法とされたデフレ調整に代えて別の理由(低所得者の消費水準との比較)に基づく再計算を行って新たな減額を行い、補償額を減らしています。裁判の原告とそれ以外の利用者にも差をつけています。25年の最高裁判決を黙殺する対応です。

 いま全国各地で、国の対応は不当だとする不服審査請求が広がっています。

■国の根拠は崩れた

 今回の最高裁判決はゆがみ調整について言及せず、25年の最高裁判決から、違法とは言えないという判断について述べた部分を削除しています。原告・弁護団は「(ゆがみ調整を再実施した)国の対応を追認しない姿勢を明確に示した」「国が全額補償を拒む根拠が崩れた」と評価し、改めて、すみやかな全面補償を求めています。

 また、今回の最高裁判決は、熊本訴訟について、デフレ調整とゆがみ調整の両方を違法とした熊本地裁判決を「正当」だとし、地裁判決が確定しました。

 そもそも、生活保護を利用していない低所得者との均衡を図るという考え方は問題です。自公政権は00年代半ば、生活保護基準を一般世帯の消費水準との比較から所得下位10%の低所得層との比較に変えました。日本の生活保護の捕捉率は低く、生活保護を使わずに保護基準以下の生活を送る低所得者が多くいます。その層との均衡を図れば保護基準はどんどん下がり、「健康で文化的な最低限度の生活」は保障されません。

 国は、保護利用者に被害を強い、自己責任論を広げた責任を正面から受けとめ、全面回復に踏み出すべきです。