「消費税・支援金法案」の審議が衆院で進み、新たな問題点も明らかになってきました。法案の問題点や狙い、暮らしを守るための抜本的な対策について衆院財務金融委員会で質問に立った辰巳孝太郎議員に聞きました。
(写真)辰巳孝太郎衆院議員
--食料品の高騰は深刻です。少しでも安くなってほしいとの声は切実な願いです。高市内閣が提出した法案は、2年間に限定し飲食料品のみ減税するものです。
過去5年間で、酒と外食を除く食料品の価格は平均して30%程度上昇しています。日々の生活に必要な食料品の価格を抑えてほしいと国民が期待するのは当然です。
しかしながら、減税を2年間に限定したことで、2年後には大増税が国民を襲うことになります。高市早苗首相は税率が戻るだけだと言っていますが、価格が単純に元に戻るだけではすみません。シンクタンクなどは今後も食料品の価格上昇は続くとの予測を立てており、値上がり分に加え消費税が増税されるのですから、国民の負担感は大変重くなると思います。
--高市首相は、飲食料品の消費税率が1%から8%に戻っても、減税時の支援額以上の給付をするので消費に影響しないと主張します。
支援金の対象者はごく一部で、大半の国民には増税となります。2年後に本格導入するという「就業者負担軽減支援金」の仕組みについて、政府は詳細を明らかにしていないため、具体的な人数や支援額は分かりません。考え方の一つとして例示された「欧米にならって勤労者の3割程度」とすると2000万人程度が対象となります。
病気や家族の介護などで働きたくても働けない人や年金で暮らす高齢者世帯など、本当に節約の余地もなく生活に困っている低所得世帯が支援金の対象から外されました。就労促進の対象となる勤労者ではないからとの理由です。その結果、残りの1億人が対象外となるのですから、2年後の増税が個人消費に影響がないというのはごまかしでしかありません。
大企業の内部留保に課税を
(写真)パネルを示して質問する辰巳孝太郎議員=10月28日、衆院財金委
--「就業者負担軽減支援金」の制度について教えてください。
中低所得者の就労を促進するために設けられたものです。しかし、消費税率をゼロにするためのレジ対応が間に合わないとの理由で、飲食料品の消費税率を8%から1%に下げて残りの1%相当分を給付せざるを得なくなり、その給付の仕組みに、就業者負担軽減支援金の制度を前倒しして活用されることとなりました。
支援金の詳細不明
現時点でも、支援金の制度について対象者の収入条件や支援額など詳細は全く決まっていません。国会の質疑の中で見えてきたのは、対象者の収入条件の上限は年300万円ぐらいで、下限は年53万円から年106万円という程度です。政府が先日提出した資料によると、勤労者で年収100万円以下を対象外とすると、おおむね500万人弱の人が外れます。
つまり、2年後の本格導入になれば、勤労者でも低所得者の一部や勤労者から外された年金生活の高齢者など6000万人が対象から外れ、消費税減税の恩恵も終わり支援金も支給されないことになります。消費税減税は私の悲願だと言い、物価高対策に取り組む姿勢を強調しながら、2年後には、真に支援を必要とする低所得者や高齢者世帯には冷たい制度となっています。
--2年間だけ飲食料品の消費税率が引き下げられます。
飲食料品の消費税率引き下げにより価格を抑えることは必要です。ただ、減税額は、平均的な勤労者世帯で年6万円程度、単身勤労者で2万~3万円程度と見込まれます。とても十分とは言えません。
近年は、飲食料品以外の物価も含めると毎年3%程度の上昇をしています。今年は、トランプ米大統領が始めたイランでの戦争の影響で世界的に原油価格高騰によるインフレも加速しています。輸送コストなども食料品の値上げの要因になっていることをみても、飲食料品に限らずあらゆる価格を引き下げる措置が今は有効だと考えます。
農家には深刻なダメージがあります。農家の場合、売り上げの8割が仕入れと言われており、売り上げにかかる消費税が1%となると、肥料や飼料、輸送コスト、包装資材、ハウス栽培の重油などにかかる消費税を転嫁できないので身銭を切るしかありません。
外食産業も深刻で、消費税率は店で食べると10%、持ち帰れば1%と差が広がるので、テークアウトが増えるのではと懸念されます。お店の話を聞くと、タッパーや包装資材などの値段が爆上がりして、テークアウトが増えるとむしろ赤字が増えると頭を抱えていました。
一律5%が効果的
いずれにせよ、2年間だけの飲食料品に限定した減税が問題を複雑にしています。現状を考えると、消費税率を恒久的に一律5%引き下げる方がより効果的で混乱を生まないことは明らかです。
--政府は消費税減税の財源を示すことができません。
社会保障の財源は消費税しかないように思わせているからです。2012年に発足した第2次安倍政権以来、法人実効税率は大幅に引き下げられ、研究開発減税などの大企業減税の措置が拡充されました。その結果、大企業の利益は4倍の約78兆円と過去最高の利益を出したものの法人税収は経常利益に比して伸びず、大企業は労働者の賃金にも利益を回していません。
一方で、配当金は約4倍の約45兆円にまで急拡大し、内部留保も561兆円にまで積み上がりました。例えば、消費税率の一律5%への引き下げに必要な財源は16兆円程度です。大企業や富裕層に応分の負担を求めれば十分できます。
そもそも自民党自身が5年前に、法人実効税率の引き下げをはじめとするさまざまな税制上の取り組みが「意図した成果を挙げてこなかった」と反省をしていました。低所得者ほど税の負担率が重い逆進性のある消費税を減税し、大企業の負担を聖域とせずに応分の負担を求めてこそ、GDP(国内総生産)の6割を占める個人消費を温め、経済の好循環をつくれます。
--賃金を引き上げることも重要です。
インフレが続く現状では、インフレを冷ます金融政策とともに、国民の賃金を引き上げることが最も重要な対策です。大企業は過去最高の利益を出しながらも、国内の設備投資や賃金に利益を配分しなかったため、国内で利益は循環せず内部留保が積み上がりました。
日本共産党は、賃上げをしない大企業に対して、これまで減税のおかげで積み上がった内部留保に課税をしてその財源で中小企業の賃上げを支援する対策を提案しています。あらゆる手だてを尽くして、賃上げを実現させなければなりません。

