こども性暴力防止法の施行(12月25日)まで2カ月を切りました。子どもに接する職場で、性犯罪歴者をチェックして就業させないようにする日本版DBS制度の創設と、子どもの安全確保措置を事業所に義務づけるものです。
性暴力は被害者の尊厳を深く傷つけます。とりわけ弱い立場にあり、被害の認識が困難な子どもへの性暴力は許されないと、2024年の国会で全会一致で成立しました。
同時に国会審議では、この制度が完全ではなく、これだけでは解決できない問題が残ることが指摘されました。施行を前にそれが浮き彫りになり、導入をすすめる事業者から不安の声が出ています。
■困難を極める現場
一つは制度の対象が、義務事業者(学校・幼稚園・認可保育所・児童福祉施設など)と認定事業者(学童保育・病児保育・学習塾など)に分かれていることです。認定事業者の場合、認定を受けるかは任意です。このすみ分けは、性犯罪歴を持つ者や子どもに性的嗜好(しこう)を持つ者が、未認定事業者に集まりかねない危険と不安をうんでいます。
子どもの人権保障の観点から、通う施設によってこうした格差があることは許されません。そのため、できるだけ多くの認定事業者が認定を受けることが求められます。
しかし、実情は困難を極めています。認定を目指す事業者からは「実務が膨大で、人件費や専用パソコンなどの費用もかかる」「経営が困難な中、認定申請の費用が出せない」との声が出され、申請を諦めるところも出ています。
こうした声を受け、さいたま市では学童保育所の申請費用支給を実現させました。導入に必要な費用負担に悩む声は義務事業者からもあり、国が支援を行うべきです。
二つめに、犯歴の情報管理への不安です。日本版DBS制度では、「特定性犯罪前科」の確認が義務付けられ、現職と就労希望者について、こども家庭庁を通じ法務相に犯歴を照会・確認します。
個人情報を扱う担当者の配置、犯歴が判明した場合に業務に就かせない対応、就業規則の変更などが必要です。高度な個人情報管理の責任は重く、人手不足の中、防止法の中身すべてを実施することが難しいとの声が出ています。
三つめに、安全確保措置として職員の研修や子どもが相談しやすい体制づくり、被害の調査、対応などが義務付けられていることです。「弁護士など専門家の協力がなければできない」との要望がよせられています。現場の人員を増やすための予算措置が必要です。導入にあたり公的相談体制の増強が急がれます。
■人権尊重の性教育
日本版DBS制度では、初犯や未成年時の犯罪歴は確認できません。性犯罪の9割は初犯と言われ、本来、その対策が強く国に求められます。カギはジェンダーや人権尊重に基づく包括的性教育です。制度を機能させるためにも、その推進が不可欠です。加害者更生の継続的支援、性犯罪治療への支援も必要です。
子どもへの性暴力をなくす一歩となるよう、事業所まかせにせず、国がその責任を果たすことを強く求めます。

