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2026年11月1日

比例削減 民主主義の土台壊す党利党略

少数政党排除 自維議席占有率は増
暴挙阻止へ国民的たたかいを

 一部の政党が談合し、民主主義の土台となる選挙制度をねじ曲げようとしています。自民党、日本維新の会、国民民主党の3党がまとめた衆院比例定数31削減案は党利党略の産物でしかありません。党利党略で、主権者・国民の代表である国会議員の定数を切り捨てることは許されません。国民的なたたかいで自維国の暴挙を阻止する必要があります。


表

 自維国の3党の狙いは、国会に議席を持つ少数政党の完全排除です。そのために比例代表の削減数を憲政史上最大規模の31議席としたうえに、少数政党の議席獲得を阻む配分方式まで導入しようとしています。

 比例定数を削減すれば1議席獲得に必要な当選ラインは上がるため、少数政党の議席確保は、より困難になります。

 そのうえ、自民が「少数政党に配慮した」として導入する修正サン・ラグ式も、実際には少数政党の議席獲得を阻む仕掛けとなっています。

 現行のドント式が各党の得票数を1、2、3と自然数で割るのに対し、サン・ラグ式は得票数を1、3、5と奇数で割ります。しかし、修正サン・ラグ式では最初の割る数だけを1・4に置き換えます。このため、最初の1議席をとるハードルだけが引き上がるのです。

 修正サン・ラグ式を提案した自民の鈴木馨祐議員は、1議席目のハードルをあげる狙いを「非常に小さな政党の乱立を防ぐには、修正サン・ラグ式が良いという評価がある。多党化、多様性は大事だが、乱立をさけなくてはいけない」とあけすけに語っています。少数政党の締め出しが狙いであることは明らかです。

 さらに、比例代表のみを削減すれば、小選挙区制の比重が高まるため、自民や維新の議席占有率はより高まります。2月の衆院選の得票に当てはめた自民の試算でも、自民の総議席占有率は現行で70・97%から71・43%へ、維新は7・10%から7・37%へあがります。

 自民、維新に有利な状況を広げ、日本共産党など少数政党を排除しようとするやり方には何の道理もありません。

 国民民主以外の野党は反対しています。サン・ラグ式を主張していたチームみらいも「定数削減とセットだと結局、死に票が増える」と反対を表明しています。反対の声を無視し、民主主義の土台となる選挙制度を「数の力」で押し切ることは、到底許されません。

国民民主が与党加担

自党の要求優先し方針転換

 自維国の3党合意で厳しく問われるのが、与党に手を貸した国民民主党の方針転換です。当初、与党が進める比例45議席削減案に反対し、他の野党とともに法案成立を阻止する立場を取っていました。ところが、制度の根本的な問題が解消されたわけでもないのに、反対の立場を投げ出し、与党にすり寄ったのです。

 自民・維新の与党にとって最大の課題は、法案成立に必要な賛成勢力の確保でした。参院で少数与党となるなか、野党の反対を押し切るには賛成勢力の拡大が必要です。そこで自民党は、当初の45議席削減案を31議席に修正した「折衷案」を提示。国民民主党が求めていた比例代表の「統一名簿方式」や中国・四国ブロックの統合などを盛り込み、同党の賛同を取り付けました。

 しかし、国民民主党の転身には何の道理もありません。

 国民民主党は先の特別国会で、与党が衆院比例定数削減法案の審議を強行した際、他の野党と一致して反対しました。玉木雄一郎代表は7月6日の東京・新宿駅前での街頭演説で、「選挙制度という民主主義を支える制度を合理性もなく変えようとするときは、体を張って抗議の意思を示す」と強調。「何が正しいか何が正義かは人によって違う。だから異なる意見を集めて熟議を尽くして解決策を見つけていく。そのプロセスこそが民主主義だ」と訴えていました。

 また、古川元久代表代行は10月6日、参院議員会館内で開かれた議員定数削減反対の緊急院内集会に出席し、「地方の声をもっと反映させていくためには、むしろ定数を増やすべきではないかという声もある」とまで発言しています。

 国民民主党が反対してきた定数削減の問題点は自民党の「折衷案」では何も解決されていません。ところが、国民民主党は自民党に歩み寄り、26日には比例19議席削減の独自案を決定。古川氏は「苦渋の判断として比例だけを削ることについて了とする」と表明しました。さらに28日には与党への同調を強め、31議席削減案への賛成を決定。29日に3党合意を結びました。

 榛葉賀津也幹事長は同日の会見で、「われわれが歩み寄らなければ、(与党は)45議席で間違いなく突っ込んできた。それは他の野党も望まなかっただろう。政治は妥協の産物だ」などと居直りました。

 国民民主党の方針転換に象徴されるように、今回の定数削減に確かな大義はありません。理念や道理よりも党利党略を優先した、国民不在の「ご都合主義」の産物です。

幅広い運動で撤回を

民意切り捨てに全国から声

 自維国の3党は、自らの党利党略のため、衆院議員比例定数削減を「数の力」で強行しようともくろんでいます。自らの不祥事や汚職によって政治不信を引き起こしている側が、「改革」と称して自らの権力拡大をはかる詐欺的手法に、幅広い批判の声が巻き起こっています。

 「読売」の30日付社説は「民主主義の根幹である選挙制度と議員定数を、一部の党の党利党略による駆け引きで決めるなど許されない」と強く批判。地方紙も同日付で「多様な民意を国政に反映させる回路が細る」(信濃毎日新聞)、「大義のない定数削減法案は廃案にすべき」(西日本新聞)と次々に批判の声を上げています。

 比例ブロックの統合が想定されている中国・四国地方からは、「自治体などへ意見を聴かない決定は乱暴」(29日付、中国新聞)「候補者との声は遠のき、国政に声が届きにくくなる」(30日付、高知新聞)といった懸念の声が上がっています。

 定数削減で削られるのは地方の議席です。そのため、地方の首長からも批判の声があがっています。5月に行われた衆院選挙制度協議会では、北海道網走市の水谷洋一市長が、定数削減で「多様な民意、地方の声は非常に届きにくくなっていく」と指摘。全国町村会の星学副会長(福島県下郷町長)も「定数削減は地方の切り捨てになる」と批判しています。

 市民にも定数削減に抗議する運動が拡がっています。早稲田大学名誉教授の浅倉むつ子さんなど各界を代表する識者が8月に呼び掛けた「議員定数削減反対!緊急アクション」は、女性やマイノリティーを中心に幅広い賛同を集めています(賛同者2925人、賛同団体153団体=28日時点)。

 定数削減が強行されれば、政権与党の「数の力」のみを頼りとした強権政治が横行します。国会は多様な民意を代表しなくなり、官僚や行政への監視機能も損なわれることになります。日本は事実上の独裁に陥りかねません。権力の横暴を許さない幅広い国民的運動こそが、自民、維新、国民の「数の力」による暴挙を止める力となります。