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2026年10月30日

主張

原子力潜水艦保有
憲法にも専守防衛にも反する

 高市早苗政権が年内に改定する国家安全保障戦略など安保3文書に、長射程ミサイルなどの垂直発射装置(VLS)を搭載する原子力潜水艦について「導入」や「検討」を明記する案が出ています。しかし、原潜の保有は、憲法や、原子力を平和利用に限った原子力基本法に反し、「専守防衛」の原則とも相いれません。膨大な費用がかかるという点でも重大です。

 原潜は、ディーゼルエンジンの通常動力型潜水艦と違い、燃料を補給する必要がありません。そのため、長期間・長距離の移動や潜航が可能です。速力も大きく、隠密性、機動性に優れます。海上自衛隊は現在、通常動力型潜水艦しか保有していません。

■「日本防衛」と無縁

 原潜の導入をめぐっては、昨年10月の自民党と日本維新の会の連立政権合意書で「次世代の動力を活用したVLS搭載潜水艦の保有にかかわる政策を推進する」と明記しています。

 安保3文書の改定を議論している政府の有識者会議では「VLS搭載潜水艦には原子力推進が必要。次期3文書に導入を明記すべき」「原潜の必要性は理解できる。3文書には『検討する』と書いてしかるべき」との意見が出ています(9月17日)。

 高市首相は今月14日の衆院予算委員会で、「早急に原潜を導入すべきだ」と党として提言している維新の議員の質問に対し、「太平洋側の防衛体制の強化」などのため「具体的かつ現実的な検討を深めていく」と述べました。

 民間シンクタンクの新外交イニシアティブが発表した安保3文書改定への提言(柳沢協二元内閣官房副長官補ら執筆)は、これまで海自は「日本と周辺海域の警戒監視・防衛を主任務としていた」と指摘。「原潜の保有は、海自の役割が敵基地攻撃や日本周辺から遠く離れた海域での作戦に変貌することを意味している」と批判しています。

 歴代政府は、憲法9条により「性能上専ら相手国国土の壊滅的な破壊のために用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することはいかなる場合にも許されない」とし、その例として長距離戦略爆撃機や攻撃型空母を挙げてきました。敵基地攻撃が可能な長射程ミサイルを積んだ原潜もこれに当たります。

 西太平洋や南シナ海などの遠洋での活動が「専守防衛」の枠を逸脱することも明白です。アジア太平洋地域の軍事緊張をいっそう高めます。

■1隻当たり1兆円

 原潜の保有は、原子力利用を平和目的に限り、自主・民主・公開を原則にする原子力基本法にも反します。

 原潜の建造費は、1隻当たり少なくとも約1兆円とされます。通常動力型潜水艦の数倍から10倍以上です。整備や訓練の期間が必要なため、常時運用を可能にするには、最低でも3隻が必要とされています。維持管理費も巨額に上ります。

 福島原発事故が示すように、重大事故が起これば放射能汚染は極めて甚大なものとなります。放射性廃棄物の処理の問題も生じます。

 いかなる点でも原潜の保有は許されません。