衆院選挙制度に関する政党間協議で自民党、日本維新の会、国民民主党の3党が比例代表のみを31削減する案で合意しました。しかし、民主主義の土台である選挙制度を一部の政党による談合で決めることには、どこから見ても道理がありません。しかも、この削減案は四つの重大な害悪を日本の政治に持ち込むものです。国民的なたたかいで阻止しなければなりません。
第一の害悪
多様な民意を反映する比例代表だけを削減
比例代表は政党の得票数に応じて議席を配分するため、民意を議席に正確に反映できます。一方、小選挙区制は選挙区内で最大得票を得た1人しか当選できず、議席に反映されない多くの「死票」を生み出し、民意をゆがめる深刻な弊害があるため、比例代表と組み合わせることでバランスをとれると説明されてきました。
ところが、自維国の削減案は比例代表だけを31議席も減らします。比例代表を削れば、国民の多様な声が国会から遠ざけられ、民意をゆがめる小選挙区制の害悪がますますひどくなります。
第二の害悪
少数政党の議席獲得を阻む「足切り」を組み込む
自民が「少数政党に配慮した」などとして組み込んだ修正サンラグ式は、逆に少数政党の議席獲得をさらに困難にします。ブロックで1議席獲得を争う少数政党を国会から完全に閉め出そうとするものにほかなりません。
現行のドント式は、各政党の比例総得票数を1、2、3…と順に自然数で割り、算出された数値を大きい順に並べて、議席を配分します。それに対し、サンラグ式は、各党の総得票数を1、3、5…と奇数で割りますが、修正サンラグ式は最初に割る数1だけを1・4に置き換えるため、1議席目をとるために必要な票数が上がり、少数政党の議席獲得を阻む「足切り」となります。
少数政党には比例代表の定数削減に加え、修正サンラグ式の1議席目の「足切り」が直撃します。少数政党を狙い撃ちにして、議席を奪う仕掛けです。
重複立候補者の当選基準引き上げも、比例代表選挙を小選挙区制にいっそう従属させ、少数政党の当選を困難にします。
第三の害悪
自民・維新の議席占有率を高め、独裁政治を加速
比例代表が削られ、小選挙区中心の選挙制度になるため、自民・維新の議席占有率が現行制度よりも高まります。
2月の衆院選の得票に当てはめると自民の総議席占有率は現行で70・97%ですが、自維国の比例定数削減案にした場合、71・43%に増えます。同じく維新は同7・10%から7・37%へ引き上がります。自民・維新の議席占有率を高め、大軍拡や社会保障の負担増、さらには改憲などの強権政治がさらに進み、独裁政治が加速します。
第四の害悪
日本の国会議員定数は国際的にも歴史的にも少ない
国会議員は国民の代表です。議員定数を減らせば、国民の声がますます国会に届きにくくなります。
日本の国会議員の定数は、国際的にも歴史的にも多くはありません。主要国は人口10万~15万人に下院議員1人に対し、日本は人口26万人に衆院議員1人しかいません。
1925年の普通選挙導入時は、人口12万人に衆院議員1人を配分するとして定数466としました。しかし、その後、人口増加に合わせて定数を増やすことはありませんでした。そのため、現行の衆院議員定数465は、過去100年で最少となっています。
議員の数を減らすことは、国民の声を削り、地方の議席を減らし、若者や女性の政治進出を妨げ、多様な民意の議席への反映をいっそう困難にします。

