政権与党による事実上の独裁政治に道を開きかねない危険な道です。
現行の衆院選挙制度見直しの政党間協議で、自民党が示していた衆院議員定数の比例のみ31削減に国民民主党と日本維新の会が合意しました。今国会で削減を強行する構えです。他の野党は反対で一致しています。選挙制度は民主主義の土台です。「数の力」で削減を押し切ることは許されません。
現行選挙制度の見直しと言いながら、この間、民意をゆがめる小選挙区制の抜本改革は棚上げされ、民意を反映する比例定数の削減がもっぱら標的にされてきました。
45減、31減、19減と“バナナのたたき売り”のような案が飛び交ったあげく、合理的な根拠もなく、政治的思惑から31減案に3党が合意したものです。民主主義破壊の与党に加担した国民民主の責任は重大です。
■「人口減」言うが
国民の代表である国会議員を減らすことは、地方の議席を減らし、中小政党を排除し、若者や女性の政治進出を妨げ多様な民意の反映を困難にします。国会の行政監視機能を後退させる点でも重大です。
3党は「人口減少」を理由にします。しかし現行の衆院定数465は、日本の過去100年で最少です。1925年の普通選挙法制定時の衆院議員定数は466で議員1人が代表する人口は12万人でした。現在は1議員当たり26万人です。人口にあわせて議員数を決めるというなら定数増こそ必要です。国際的にも、人口あたりの日本の国会議員数は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中36番目という最低水準です。
自民党は削減に反対する野党を取り込もうと、「中小政党に議席が反映されやすい」として、比例の議席配分方式を「修正サンラグ方式」に変えることを提起しました。
しかし2月の衆院選結果で試算すると、自民党の総議席占有率は現行の70・97%から71・43%、維新は7・10%から7・37%に高まります。得票率の倍以上の議席占有率を生む小選挙区制を温存したうえで大幅に比例定数を減らすためです。
■狙いは悪政の強行
自民・維新は連立政権合意書で社会保障切り捨てや大軍拡、9条改憲を掲げます。国民の多様な声を排除してそれを強行することを「決める政治」だとし、「決める政治の実現のために小選挙区の比率を重視すべきだ」と主張します。
3党合意案は、▽中国、四国ブロックの統合▽比例で当選者不足が出たら欠員とする▽小選挙区で敗れた候補の比例復活基準の引き上げ―なども含みます。比例定数削減に加え、比例を小選挙区にいっそう従属させて「虚構の多数」をつくり出し、政権与党の強権を加速させます。議会制民主主義の根幹である選挙制度大改悪の企てです。
比例定数削減を突破口に、強権政治、国民への悪政、痛みの押し付けを行うことを絶対に許してはなりません。
民主主義破壊の暴挙を阻止するため、「定数削減反対」の一点での世論を結集し、共同するたたかいを急速に広げなければなりません。

